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神様がくれた素晴らしい人生(yottin blog)

空想歴史ドラマ 貧乏太閤記 52 秀吉と市姫の秘密

2022年11月03日 18時03分04秒 | 貧乏太閤記

「藤吉郎 会わせたい者がおる」信長が言った
「はは どなたでありましょうか?」
「市、入るがよい、儂と筑前(秀吉)だけじゃ」
襖が開くと、秀吉が小谷城から救い出した市が入ってきて横座に座った
「おお、これは御市さま、お体にお変わりはありませぬか?」
「木下殿、此度はありがとうございまいた、おかげで娘共々無事に戻ることができました」
「ははぁ、めでたいとも言えず、おいたわしいとも・・・口下手でうまく言えませぬ」
信長は「これ、藤吉郎、何をうろたえておるか、市は命がけの捨て身で救いに行ったお前に感謝しているのじゃ、儂からも礼を申すぞ」
市は26歳、3人の子を産んで今が最も美しく輝いている時だ、本当は憔悴しているだろうに顔は艶やかで女好きの秀吉の胸にぐさりと突き刺さってくる
しかし主君の妹であるし、自分には正妻も妾もいる
(くわばらくわばら、妄想が顔に出たら首が飛ぶやも)そう思うと思わず作り笑顔がおかしな顔にしてしまった
「これ藤吉郎、どこか痛むのか?」
「いえ、とんでもありません、いたって健康でございまする、あの時のことを思うと思わず込み上げてきたのでございます」
「うむ、そうであったか」
市も「ほほほ、泣いていても笑い顔に見える不思議な方ですね」と笑顔を見せた、
「茶々も、初も、すっかり木下様のお顔に惚れ込んだようで『あの人は来ないの?』などと会いたがっています」
「おお、そうなのか、それは上々じゃ、これ藤吉郎、子供に好かれる者は善人であるというぞ、善人は長生きできぬ、もっと悪人になるよう努めなければならぬぞ」
「なんと、お戯れを」
「ははは、その顔が良い、良いぞ、なあ市よ」
「ほほほ、見ていると楽しくなりまする、本当に良いお方でございます、あの時の凛々しいお顔とはまた違った顔で、どれが本当なのか見当がつきませぬ」
秀吉は軽輩で傍にも近づけなかった頃に、遠くから市のすました顔を一度だけ見て、鼻持ちならぬ嫌な娘だと思ったが、
こうして今日会ってみれば、はるか昔からの知人のような親しみを感じる、気さくな姫だと思って、引きづりこまれていった。
市も小谷を離れて2か月になり心の整理がついたのか暗い顔は消えた
信長にひれ伏して、夫だった長政と息子の万福丸の冥福と49日の経を岐阜の
寺に詠んでもらって心残りも消えた。

信長が中座して、部屋には市と秀吉が残された
市が辺りを伺ってから、やや近づくと小声で「万福丸はいかがなりました?」
「ご心配なく、文でお伝えした通り配下がぬかりなくやりました」
「それはありがたや、本当に此度のこと感謝してもしきれませぬ」
「お方様も、いずれかの後、寺に出向いてお会いできれば儂もやりがいがあったと満足できまする」
「ありがたや、ありがたや、いくら感謝してもしきれませぬ、生涯この恩は忘れませぬぞ」
「ははぁー もったいないお言葉、いたみいりまする」
「長政様は言っておられました、『織田家にあって木下秀吉という男こそ敵ながら信じるに足る男ゆえ、何かの時には頼るが良い』と」
「なんと!この儂を、それほどに」
僅か一刻ほどしか会っていないのに長政は秀吉の誠を見抜いた
秀吉は感激した(惜しい殿を亡くしてしまった、よき理解者、友ともなれたものを、戦国が恨めしい)

信長と小姓の足音が近づいてきた、市は一歩下がって元の所に戻った
「秀吉殿は、どこの生まれじゃ?」
聞きつけて信長が「ははは、市よ藤吉郎の昔など聞かぬ方が良いぞ、せっかくの恩人が台無しになってしまう」

市と秀吉の内緒話、信長も知らない、いや蜂須賀小六家政と三右衛門こと三蔵、そして死んでいった浅井長政しか知らない、小一郎、半兵衛さえも知らない
それは、市と浅井長政の長子万福丸の生死にかかわる話である、武家のならいで敵方の嫡子が殺されるのは普通のことであった
その昔、源平合戦の時、平家が源氏に大勝利したが子供であった源頼朝に
情けをかけて殺さなかったばかりに、成人した頼朝によって平家が滅ぼされた例もある
このままでは姫は助かっても万福丸は信長の甥であっても必ず殺されるだろう、だが秀吉は市姫をしらないながらも、ほのかな憧れを持っていた
あの日、垣間見たお高く見えた市姫であったが、なぜか憎めない、美しく冷たい顔が焼き付いてずっと消えなかった
(あの姫を泣かせてはならぬ)急にそう思えたのだ、そして自分が今、寄せ手の大将として浅井家の命運を握っていると認識した時、万福丸を生き延びさせる方策が浮かんできた
これが信長に知れたら秀吉ばかりか家族一族皆殺しに会うだろう
それでもやる価値があると秀吉は思った、あの最後の日に長政に会ったとき秀吉は前日したためた手紙を「信長様から長政様に充てた文である、しかと届けよ」と浅井の兵に託したのである

その内容は、「拙者の一命および一族の命を懸けて、浅井様に直訴いたすものなり、この文はわが織田家にも浅井家の誰一人にも知らせてはいない、信長様にすら言ってはおりませぬ
唯一拙者の腹心で此度の件の成功のため命を懸ける者、2名だけに伝えてあります、このままでは万福丸さまは必ずや落城後探索されて殺されるでしょう
しかし攻城の大将である拙者には御市様の悲しみを思うと殺すことなどできませぬ、できればお助けしたい
我らがこうして向かい合い、敵味方の目がここに集中している間に、浅井家に仕えている「某の某衛門」はわれらの間者ゆえ、それに万福丸様を百姓のせがれの姿にして託せば、城外で待つ配下が引き受けて必ずや安全に落としてごらんに入れます、その後はどこぞの寺に預かってもらい命を全うしていただきます故、ご安心願いたい
この木下秀吉を危ぶむも信じるも浅井様の自由でありまする、どうかご決断願いたい、もし承知であればわれらが放つ空砲3発のあとに空砲1発お放ちくだされ、それが合図でわが家臣が万福丸様救出に動きます
合図なき場合は、浅井様が万福丸様も道連れの道を選んだと、われらも諦めまする故、慎重に決断をなされますよう もし承諾なさるなら御市様にもお伝えください、されば市様も安心して城から離れることが出来ましょう
木下藤吉郎秀吉」
長政は秀吉の真心に賭けた、そして市を呼んで万福丸の命を秀吉を信じて託したことを伝えた、万福丸には仏門に入り浅井一族及び家臣の菩提を弔い天寿全うすること
恨みを持たず、復讐を思わず僧侶として心豊かに心健やかに生きることをいつぞや会えたら伝えてくれと言った
そして「織田家にあって、木下秀吉ただ一名、真の信に値する男である、なにか困れば一に織田様、二に木下に相談すればよいであろう」とも言った
市は会ったこともない木下秀吉を推す夫の言葉を信じた、そして迎えに来ていた男が木下秀吉と知って急に親しみを覚えた
秀吉は何も語らず、笑みで返した、それが市に安心感を与えた、秀吉の笑みにはそんな魅力が潜んでいる、後に「人たらしの名人」と言われる片鱗がもうここで現れていた。

こうして秀吉は万福丸の命を救うことができた、身代わりの子供は三蔵が病で死んだ子の遺骸をもらい受けて化粧を施し、身なりを整えたのちに処刑の姿にして晒した
信長はじめ万福丸の姿を知る織田方の者はいない、浅井方の者は知っていても大半は戦死したか遠国へ逃げ去ったはずだ、バレることはないであろう
信長も万福丸の死を聞いて安堵したが、御市の半狂乱の姿を見て心を痛めた
それが市の巧みな演技だとも知らず、その後、市が落ち着いたのを見て安心している。
秀吉は憧れの市と二人だけの秘密を持ったことに妖しい喜びを感じるのであった、市に信頼されたこと「男冥利に尽きるとは、まさにこのことだったか」
ほくそ笑む秀吉であった。
数日の後、市と3人の姫は叔父織田信次の居城、守山城に引き取られて行った。











空襲警報

2022年11月03日 11時28分49秒 | yottin日記
朝ごはんを食べていたら、突然スマホアラームが、けたたましましく鳴った
地震かと思いながら画面を見たら、北朝鮮のミサイルが来るそうだ
女房殿が驚いて、どうすればいい?と言うから、ここには来ないから大丈夫と言った
情報を見れば、山形、新潟、宮城の県境あたりらしい、蔵王の上空か?
ここからは300km以上北だ、弟が新潟にいるから複雑な気持ちだが

北朝鮮にしても日本に落とせば、日米は反撃必死だから、脅しなのはわかっている
北朝鮮や中国が日本領海を侵す度に日本の国防予算が増額されるから彼らも危険度が増していくはず
GDPの1パーセント程度、約5兆円が2パーセント10.5兆円も現実味を帯びてきた
国の防衛力がませばありがたいが、昭和の戦争で経験したように国民生活はどんどん苦しくなり、欲しがりません勝つまでは」に
勝てば良いが、昭和の戦争は負けてアメリカの属国になり、団塊世代は占領下の日本で生まれた
だから私などはアメリカ生まれの日本人かもしれない

しかし、役所のサイレンは毎日テレビで見ているウクライナの警報と同じで良い気持ちではなかった。