■比叡山延暦寺(滋賀県大津市)
『至宝展』レポートの続き。なお、国宝殿のエントランスで、迦如来坐像の両脇を固めていた羅漢像からお気に入りを紹介しておく。白い肌が色っぽい美形の羅漢さんと、虎と仲良しの優しそうな羅漢さん。
比叡山に来た目的がもうひとつあったので、延暦寺会館に向かう。喫茶「れいほう」で梵字ラテが飲めると聞いていたのだ。自分の干支を伝えると守り本尊の梵字を入れてくれる。私は子歳なので千手観音を表すキリーク。
畏れ多くも守り本尊を飲み干して、体の中に取り込んでしまう。
お茶のあとは、東塔の諸堂を拝観。根本中堂は2016年から大改修(約10年間)に入っていて、薄鼠色の覆い屋に回廊ごとすっぽり覆われていた。覆い屋の中は、一部撮影OKの場所もあり、檜皮葺の回廊の屋根など、いつもと違う風景を間近に見るチャンスでもある。
この日は一日比叡山で過ごすつもりだったが、『至宝展』を見たら古い仏像が見たくなってしまい、東塔だけで下山することに決めた。シャトルバスで比叡山山頂に行き、ロープウェイとケーブルカーを乗り継いで八瀬に下りる。確か学生時代(約30年前)に初めて比叡山に来たときも、このルートを使ったように思う。ロープウェイの駅舎が古い上に、駅員のおじいちゃんがアバウトにお客を詰め込む(ように見えた)ので、ちょっと不安になった。しかし展望は素晴らしかった。緑のトンネルを下るケーブルカーも趣きがある。いつか紅葉の時期に来てみたい。八瀬駅から叡山電車、出町柳で京阪電車に乗り換え、祇園四条へ出た。
■補陀洛山 六波羅蜜寺(京都市東山区)
六波羅蜜寺はもちろん何度も来ているが、考えたら最近、宝物館に入っていない気がした。実は、今年1月、宝物館に寄ろうとして、受付終了時刻(16時半)に間に合わなかったので、そのリベンジでもある。久しぶりの宝物館に入って、おや?と思った。なんとなく記憶と違うのだ。調べたら2008年秋に改修されているので、なんと10年ぶりになるのかもしれない。いや来ているのに覚えていないだけか?
本堂の裏の宝物館は横に長い建物で、正面は、須弥壇ふうの長い展示台の上に、いくつかの仏像・彫像が並ぶ。完全密閉の展示ケースではなくて、四方(三方?)だけが低いガラス板で囲まれているので、水槽(いけす)に収まっているみたい。私はここの地蔵菩薩立像が大好きなのだ。同じ台に並ぶ慶派の地蔵菩薩坐像もいいけど。運慶坐像、湛慶坐像は、近年、さまざまな展覧会で見ているが、やっぱりホームでお会いすると懐かしい。
部屋の右隅には、大きな薬師如来坐像と四天王立像(どちらも平安時代)。四天王立像は、ある程度、形式化した品のよさが好ましい。ただ、増長天や持国天の持っている刀が、日本ふうの片刃なのは違和感がある(後補だろうけど)。左隅は完全密閉式の展示ケースで、最も重要な空也上人立像や平清盛坐像が収められている。と、平安・鎌倉時代の文化財が並ぶ空間に、なんとなく時代的に違和感のある肖像彫刻を発見。解説プレートを見たら「井伊直政像」とある。直政の死後、元和9年(1623)に次男の直孝が造らせて奉納したと伝えられるそうだ。不思議な縁で平清盛と井伊直政が並んだところは、近年の大河ドラマの名作が思い出されてちょっと嬉しい。
この日は、さらに 東寺(教王護国寺)を拝観することもでき、充実した見仏三昧の一日だった。
『至宝展』レポートの続き。なお、国宝殿のエントランスで、迦如来坐像の両脇を固めていた羅漢像からお気に入りを紹介しておく。白い肌が色っぽい美形の羅漢さんと、虎と仲良しの優しそうな羅漢さん。
比叡山に来た目的がもうひとつあったので、延暦寺会館に向かう。喫茶「れいほう」で梵字ラテが飲めると聞いていたのだ。自分の干支を伝えると守り本尊の梵字を入れてくれる。私は子歳なので千手観音を表すキリーク。
畏れ多くも守り本尊を飲み干して、体の中に取り込んでしまう。
お茶のあとは、東塔の諸堂を拝観。根本中堂は2016年から大改修(約10年間)に入っていて、薄鼠色の覆い屋に回廊ごとすっぽり覆われていた。覆い屋の中は、一部撮影OKの場所もあり、檜皮葺の回廊の屋根など、いつもと違う風景を間近に見るチャンスでもある。
この日は一日比叡山で過ごすつもりだったが、『至宝展』を見たら古い仏像が見たくなってしまい、東塔だけで下山することに決めた。シャトルバスで比叡山山頂に行き、ロープウェイとケーブルカーを乗り継いで八瀬に下りる。確か学生時代(約30年前)に初めて比叡山に来たときも、このルートを使ったように思う。ロープウェイの駅舎が古い上に、駅員のおじいちゃんがアバウトにお客を詰め込む(ように見えた)ので、ちょっと不安になった。しかし展望は素晴らしかった。緑のトンネルを下るケーブルカーも趣きがある。いつか紅葉の時期に来てみたい。八瀬駅から叡山電車、出町柳で京阪電車に乗り換え、祇園四条へ出た。
■補陀洛山 六波羅蜜寺(京都市東山区)
六波羅蜜寺はもちろん何度も来ているが、考えたら最近、宝物館に入っていない気がした。実は、今年1月、宝物館に寄ろうとして、受付終了時刻(16時半)に間に合わなかったので、そのリベンジでもある。久しぶりの宝物館に入って、おや?と思った。なんとなく記憶と違うのだ。調べたら2008年秋に改修されているので、なんと10年ぶりになるのかもしれない。いや来ているのに覚えていないだけか?
本堂の裏の宝物館は横に長い建物で、正面は、須弥壇ふうの長い展示台の上に、いくつかの仏像・彫像が並ぶ。完全密閉の展示ケースではなくて、四方(三方?)だけが低いガラス板で囲まれているので、水槽(いけす)に収まっているみたい。私はここの地蔵菩薩立像が大好きなのだ。同じ台に並ぶ慶派の地蔵菩薩坐像もいいけど。運慶坐像、湛慶坐像は、近年、さまざまな展覧会で見ているが、やっぱりホームでお会いすると懐かしい。
部屋の右隅には、大きな薬師如来坐像と四天王立像(どちらも平安時代)。四天王立像は、ある程度、形式化した品のよさが好ましい。ただ、増長天や持国天の持っている刀が、日本ふうの片刃なのは違和感がある(後補だろうけど)。左隅は完全密閉式の展示ケースで、最も重要な空也上人立像や平清盛坐像が収められている。と、平安・鎌倉時代の文化財が並ぶ空間に、なんとなく時代的に違和感のある肖像彫刻を発見。解説プレートを見たら「井伊直政像」とある。直政の死後、元和9年(1623)に次男の直孝が造らせて奉納したと伝えられるそうだ。不思議な縁で平清盛と井伊直政が並んだところは、近年の大河ドラマの名作が思い出されてちょっと嬉しい。
この日は、さらに 東寺(教王護国寺)を拝観することもでき、充実した見仏三昧の一日だった。