■大和文華館 特別企画展『福徳円満を求めて-中国 元・明時代の華やかな工芸-』(2019年7月12日~8月18日)
MIHOミュージアムのあとは、京都を素通りして奈良へ急ぎ、大和文華館に寄り道。鮮やかな色彩と多種多様な文様に溢れた中国元・明時代の陶磁器・漆器・染織を展示する。神話や戯曲を題材にした人物文が多くて面白かった。最後に、意匠からも技巧からも明清の工芸にしか見えない箪笥があって、江戸時代の『鎌倉彫手箪笥』だというのに驚いた。
そろそろ夕方、奈良へ出て、ホテルにチェックインし、夕食も済ませて散歩に出る。奈良国立博物館の前庭にたくさんの鹿が寝そべって休んでいる。「鹿だまり」と呼ばれてSNSでも話題になっているもの。初めて見た。
そして、もう少し暗くなると、鹿たちは起き上がって、三々五々グループになって、大仏前の交差点を渡って、春日野のほうへ消えていく。交差点がカオスになっていて面白かった。
交差点を斜めに渡った浮雲園地から奈良春日野国際フォーラムあたりが「なら燈花会」の本部会場。南に下って、浮見堂に行ってみる。このあたり、何年ぶりだろう? いつも来てみようと思いながら足が向かずにいた。
浮見堂から人の流れに従って、猿沢池方面へ向かう。全く歩いた記憶のない道(こんなに奈良に来ているのに)で、暗闇の中できょろきょろしていたら「江戸三」「四季亭」の灯りが見えた。ああ、大人になったらこういう高級旅館に泊まろうと思っていたのに、一向にその機会がないなあ…。
翌朝(8/13)は東大寺へ。朝の涼しいうちに境内を歩こうと思ったのだが、ぜんぜん涼しくない。久しぶりに大仏殿を拝観する。昨日、MIHOミュージアムで『紫香楽宮と甲賀の神仏』を見てきたので、いろいろ感慨深いものがある。とにかく大仏が造立できてよかったね、と聖武天皇に呼びかける。大仏殿では、8/15の万灯供養会に向けて灯籠の奉納受付けが行われていて、サンプルとして「奈良花子」「平成二郎」と並んで「大佛次郎」という灯籠があったのは笑ってしまった。
二月堂、三月堂、戒壇院を参拝。戒壇院はあまりいかないのだが、2日前に筑紫戒壇院に行ったので、あわせて参拝してきた。ここの四天王像は大好きな仏像だが、忘れられているようで気がかりである。二月堂の南東、斜面の上にある飯道神社も見つけて参拝した。看板には「飯道神社(いいみちじんじゃ)」とルビが振ってあった。
最後に東大寺ミュージアムへ。日光菩薩・月光菩薩が、三月堂の不空羂索観音像の脇ではなく、ここにいることには相変わらず慣れない。昨年秋のリニューアルから、聖武天皇の「大仏建立の詔」が映像で紹介されるようになっているのだが、紫香楽宮で建立するつもりだったんでしょ?と心の中でツッコミながら鑑賞する。
続きの奈良博は別稿で。