■長谷寺(奈良県桜井市)
室生寺、大野寺を後にして長谷寺へ。仁王門前で拝観受付をして、長い登廊(のぼりろう)を上がって本堂を目指す。
今回の関西旅行、長谷寺を訪ねようと決めたのには理由があった。私の実家の宗旨は真言宗豊山派なのである。総本山の長谷寺で、最近、四十九日を済ませたばかりの父の回向(廻向)をお願いしたいと思ったのだ。
しかし全国のお寺を趣味で訪ね歩いているものの、回向のお願いは初めてなので、けっこう緊張しながら本堂の窓口に申し出た。渡された用紙に戒名など必要事項を記載すると、チェックをして受領してくれた。普通の回向(月牌回向)5,000円と特別な回向(日牌回向)10,000円のどちらにしますか?と聞かれたので、普通の回向でお願いした。あとでお札(契証)を郵送してくれるらしい。豊山香というお線香もいただいた。
最後にお坊さんから「ご本尊のご参拝はされましたか?」と聞かれた。現在、本堂では「本尊大観音特別拝観」が行われていて、特別拝観料1,000円を収めると、本堂内部に入り、巨大な十一面観音のお御足に触れてお参りすることができる。しかし私は2009年にも体験したことがあったので、今回はパスでもいいかと思って、特別拝観券を買っていなかった。そうしたら、回向の特典(?)で「どうぞ」と特別拝観の入場口を通してくれた。ラッキー~(ただし記念の授与品はなし)。
境内は、桜には少し早かったが、白いコブシや黄色のミツマタ、濃いピンクの枝垂れ桜などが乱れ咲いていてきれいだった。
■山の辺の道:金谷の石仏~大神神社~大直禰子神社(奈良県桜井市)
近鉄・桜井駅で下車。スマホのGoogleマップをたよりに金谷の石仏を訪ねてみた。まわりは小さな公園みたいに整備されており、道の向かい側には美術館もできていた(入口は反対側)。
さらに北上して大神神社を目指す。むかしは「山の辺の道」の道標をたよりに歩いたものだが、Googleマップが違う経路を案内してくるので、Google先生に従う。無事、大神神社にたどり着いて、拝殿に参拝したが、拝殿の背後にあるという「三ツ鳥居」は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため拝観中止の措置がとられており、実見できなかった。
もう一箇所、見たかったのは、大直禰子神社(おおたたねこじんじゃ、若宮社)である。その場でスマホで検索して、二の鳥居から北上した突き当りにあることを確認し、行ってみた。この社殿が、もと大御輪寺(だいごりんじ)の本堂で、明治に入るまで、現・聖林寺安置の十一面観音菩薩立像が祀られていたところである。昨年、東博の『国宝 聖林寺十一面観音』展で知って、来てみたいと思っていたのだ。
十一面観音の高貴なお姿に思いを馳せて感慨に耽りたいところだったが、ちょうどお寺の方が賽銭箱の中身の回収に来ていらして、あまり風情がなかった。
このあと、JR三輪駅から桜井線で奈良市内へ向かったが、JRの車窓から巨大な一の鳥居が見えた。そういえば、一の鳥居は間近まで行ったことがない。次回は一の鳥居から大神神社周辺を踏破することも考えてみたい。