見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

2024年7-8月展覧会拾遺

2024-08-18 21:13:35 | 行ったもの(美術館・見仏)

五島美術館 館蔵・夏の優品展『一味涼爽』(2024年6月22日~7月28日)

 「夏」と「涼」をテーマに、夏の情景を詠んだ古筆、日本画に表された消暑風景、清雅な禅僧の墨跡などを紹介。陶磁器に季節はなさそうだが、青磁や青花には涼しさを感じる。南宋・龍泉窯の『青磁鳳凰耳瓶』は、この種の瓶の中で最も大きい作例とのことで圧倒された。

日本民藝館 特別展・朝鮮民族美術館設立100年記念『柳宗悦と朝鮮民族美術館』(2024年6月15日~8月25日)

 1924(大正3)年、浅川伯教・巧兄弟と柳宗悦が、京城(現在のソウル)に朝鮮民族美術館を設立してから100年の節目に当たることを記念し、その足跡をたどり、当時集められた品々を中心に、設立募金関連資料や開催された展覧会の資料を交えて展示する。大展示室だけでなく、2階の各展示室は、全て朝鮮の絵画・工芸がテーマになっており、名品の数々をたっぷり楽しむことができた。満州族っぽい人々を描いた狩猟図が面白かった。

 パンフレットの解説によれば、3,000点以上に及んだと言われる朝鮮民族美術館のコレクションは、伯教によって国立民族博物館(ソウルの?)に移管され、後に国立中央博物館に収蔵されたという。日本民藝館に残されたのは、陶磁器を中心とするおよそ100点とのこと。残念なようでもあるが、正しい持ち主のもとに戻ってよかったというべきか。

千葉市美術館 企画展『岡本秋暉 百花百鳥に挑んだ江戸の絵師-摘水軒コレクションを中心に』(2024年6月28日~8月25日)+企画展『江戸絵画縦横無尽!摘水軒コレクション名品展』(2024年6月28日~8月25日)

 岡本秋暉(おかもとしゅうき、1807-1862)は濃厚華麗な花鳥画、とりわけ孔雀の名手として名を馳せた江戸後期の画人。世界一の秋暉コレクションを擁する摘水軒記念文化振興財団の所蔵品を中心に、約100件の作品で生い立ちから画業を通覧する18年ぶりの回顧展。私も岡本秋暉といえば孔雀画しか知らなかったのだが、様々な鳥を好んで描いたことを初めて知った。『鳥類写生図巻』『鳥絵手本』『百花百鳥図』など、どれも楽しい。『十二ヶ月花鳥図』は他の画家にもあるが、秋暉の場合、鳥の存在感が目立つ。そして秋暉が逗留したことで知られるのが、柏村(現千葉県柏市)の名主であった摘翠軒・寺嶋家で、ここにル-ツを持つのが摘水軒記念文化振興財団(理事長・寺嶋哲生氏)であるという。

 今回、岡本秋暉展と合わせて、摘水軒コレクションの名品展も開催されている。又兵衛、若冲、応挙、蘆雪、北斎などのビッグネームもあり、肉筆浮世絵、風俗画、博物画など、ジャンルも多様だが、最大の魅力は「ちょっとヘンな絵」が適度に混じっていることだと思う。柴田是真の『葡萄栗鼠図』は、なぜか葡萄の樹から真っ逆さまに落下するリスを描いたもので、思わず手を添えて写真を撮ってしまった。

目黒区立美術館 生誕130年『武井武雄展~幻想の世界へようこそ~』(2024年7月6日~8月25日)

 武井武雄(1894-1983)の豊富な創作活動をふりかえる展覧会。黒柳徹子さんの創作物語に武井の過去作品を挿絵として編集した絵本『木にとまりたかった木のはなし』を知ることができてよかった。


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