見もの・読みもの日記

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播州巡礼の旅(2):圓教寺、姫路城

2009-11-24 23:55:48 | 行ったもの(美術館・見仏)
■西国第二十七番 書写山円教寺(兵庫県姫路市)

 姫路駅で簡単な昼食を済ませ、午後は円教寺(圓教寺)へ。こちらのバスも満員。ロープウェイは乗り切れないのでピストン輸送状態だった。ロープウェイの山上駅から本堂(摩尼殿)までは20分くらい、ゆるやかな上りの参道を歩く。山門までの両脇には、西国三十三所の観音像が第一番から順に安置されている。よくある演出だが、第五番葛井寺、第六番壺阪寺あたりで、おや、と思った。それぞれ、びっくりするほどモデルに忠実なのだ。

↓特徴的な、第五番葛井寺の千手観音。


↓第十番三室戸寺の聖観音。似てる~。


 石山寺、三井寺(園城寺)なども、思わず唸るほどの出来栄え。逆に、まだ拝観していない中山寺や総持寺は、そうかーこんなお姿なのかーと、興味深く見入ってしまった。このレプリカ三十三観音の写真を使ったら、友人と名前当てゲームができそう(笑)。

↓しかし、第二十六番一乗寺のレプリカは左手に水瓶を握っていた。これは秘仏のご本尊でなくて、宝物館にいらした「御前立ち」のお姿である(水瓶を横に倒した握り方がそっくり)。ふだんご開帳しないご本尊については、御前立ちを写したもののようだ。それにしても、この徹底した模写の「こだわり」ぶりは称賛されていい。


 摩尼殿に到着。ここは追加料金なしで内陣まで入ることができる。ご本尊の六臂如意輪観世音菩薩は、昭和8年(1933)京都市立美術工芸学校時代の彫刻科教員であった石本暁海による新造。力漲る木の肌が溌剌として美しい。解説パンフを読んだら、この摩尼殿は、大正10年(1921)12月28日の火災で全焼しており、「関西建築界の父」武田五一の設計で復興された。このとき、現在の本尊も新刻されたそうだ。ただし、旧本尊は焼けてしまったわけではなく、調べてみたら、奈良博の『西国三十三所』展にも出陳されていた、小さくて美麗な如意輪観音坐像(鎌倉時代)がそれらしい。

 摩尼殿の裏道をたどって、大講堂、食堂、常行堂がコの字型に立ち並ぶ「三之堂」(みつのどう)地区へ。ここは初めて来たとき(7年前)勇壮な建築美にすっかり魅せられたところだ。映画『ラストサムライ』や大河ドラマ『武蔵』で円教寺が一躍有名になる直前のこと。観光客の喧騒をよそに、ぴたりと扉を閉ざした常行堂の内部では、この日も座禅修行が行われていたことに感銘を受けた。さらに開山堂のある奥之院まで行ってみたが、こちらは改修工事中だった。紅葉と瀬戸内の眺望を楽しんで帰路につく。

 姫路駅前に帰りついたのは、もう夕方。時間があれば登ってみたかった姫路城はもう閉門していた。ばら色の夕焼けに染まった天守閣の窓から、富姫さま(泉鏡花『天守物語』のヒロイン)が下界を見下ろしているような気がした。大手前公園の「姫路食博2009」で播磨のご当地グルメを物色して、一日の観光を終える。

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