〝 足柄山の山奥で けだもの集めて 相撲のけいこ ハッケヨイ ノコッタ ハッケヨイ ノコッタ 〟 童謡「金太郎」で知られる金時山(1212m)は、その名の通り金太郎が遊んだ山として有名であります。
金太郎は幼い頃「菱の腹掛け」ひとつで熊や 猪の待つ、この山へ毎日のように勇んで登って来ました。
ある日、金太郎は大石を落としてしまった。 この音にあわて驚き、岩に当たって死んでしまった大猪の鼻を金太郎は、ねんごろに弔ってあげたとのことであります。 そんな云われもあり、金時山を別名『猪鼻山』とも言うようです。
11月中旬に体調を崩し、走ることや歩くことを中止し、一寸良くなったかな と感じ、金太郎さんのように勇んで、箱根ジオツアー参加の皆さんと共に金時山に向かいました。
静かな山歩きには丁度良いコースです。 平らな歩き易い登山道が続き、最後に急登がある。 こんな感じを何度か繰り返し、足柄峠から金時山に向かう登山道のピークに合流する。 急に眼前が開け、富士山とご対面できる「猪鼻砦跡」に到着。
ここは御殿場側から望見すると、金時山が頭でここがちょうど猪 の鼻の先端部の形に見えるため「猪鼻砦」と名付けられたといわれています。 ここで休憩し体力を温存し、金時山山頂へ向かいます。
鳥居を過ぎると登山道は急登の階段に変わり、またその先にはアルミ製の急な階段が 12本も待ち構えています。 途中にはベンチも用意され、休み休み山頂を目指しました。
箱根ジオパークに今年の9月、新たに南足柄市編入が認可され 、神奈川県主催の編入記念ツアーであります。 金時山は箱根山の寄生火山で箱根外輪山の最高峰であります。
それだけに眺望は素晴らしく稜線を裾野いっぱいに広げたコニーデ(円錐形火山)の代表、日本一の富士山を前景に西に愛鷹連邦や駿河湾、南に向かえば足元に仙石原、芦ノ湖、白い噴煙をあげる大涌谷や箱根の山々、そして東には相模湾が広がり、遠くに南アルプスや丹沢方面など360度の大パノラマが楽しめます。
また、現在は山頂に 2軒の山小屋がありますが、当初は 1軒のみでした。 富士山の強力(ごうりき)で抜群の力持ちと云われた「強力のコミさん」が建てられた山小屋です。 そのコミさんは、昭和 16年 8月に北アルプスの白馬岳の山頂に 200キロ(約 55貫)の風景指示盤を背負いあげることに成功しました。 人間業では考えられないこの偉業は地元のボッカの協力を得ながら富士山の強力の名誉と足柄山の金太郎の再現を自分に云い聞かせ、決死の覚悟でやりとげられました。 がその時のハードな仕事が災いし、昭和 20年 2月 42歳の若さでこの世を去りました。 コミさんと親しかった作家新田次郎氏は、その後コミさんをモデルに「強力伝」を発表し直木賞を受賞した事は良く知られています。 現在も父(正さん)が建てた山小屋を金時娘(小見山妙子)さんが守り続けております。
長野県の白馬岳にある山小屋「白馬山荘」の食堂に向かう廊下の上部には、金時娘さんの色紙が飾られています。