10月8日(日)、神奈川県足柄上郡山北町の大野山の麓、共和地区に古くから伝わる民俗芸能『お峯入り』が開催されました。
『お峯入り』は修験道の儀礼が芸能化したものと考えられており、起源は南北朝時代からといわれています。
口承で伝わってきた 11演目の歌舞が披露され、近年では 5年ごとに公演を実施と言うこと、また国重要無形民俗文化財と言うこともあり、これは見ておかなくてはと行って来ました。 道行き(入場)
以下は開催にあたっての、お峯入り保存会会長 池谷和美様の言葉です。
国指定重要無形民俗文化財『山北のお峯入り』は、山北町の旧共和村(皆瀬川・都夫良野)に伝承されている民俗芸能です。
その起源は「南北朝時代に宗良(むねなが)親王が、河村城に難を逃れた時にある」と伝えられています。
みそぎ
過去、神奈川県内最小の村で、県下最大の民俗芸能を維持して来たことは、大変な難儀と村民の執念とも思える総意にあったと思います。
棒踊り
お峯入りの保存・伝承にあたって文献を紐解くと、村全域から等しく演技者が出演できるよう配慮したり、それぞれの役柄を各地域、各戸に割り当て親から子へ、そして孫へと伝えさせる等、様々な工夫と知恵で守り続けて参りました。
鹿枝(かしえ)踊り(奴)
演技者は 80人を要し、それも男子のみであることから、現在の人口減少状況下での人選は難しさがあります。
鹿枝踊り(万燈)
そのうえ、演技の習得に時間がかかり、多額の経費も必要となることから、文久 3年(1863)から現在まで 19回しか公演されておらず、今回が 20回目となります。 (1964年、保存会が誕生してからはほぼ 5年ごとの公演)
演技は 80人が行列を組み、会場を一周する「道行き」から始まり、みそぎ、満月の歌、棒踊り、鹿枝踊り、棒踊り、修行踊り、歌の山、四節踊り、棒踊り、五色踊り、棒踊りの 8演目、11種類の歌舞が演じられます。
四節(しせつ)踊り
各演目はそれぞれが独立しており、前後の歌舞に対して何のつながりもありません。 演目の集合体が「お峯入り」であって順序、組み立ての素晴らしさを感じて頂けると思います。
修行踊り 能と狂言のように厳粛なるもの、静かなるものに加えて、華やかで、滑稽で更に幾何学的な要素を持ち合わせている珍しい芸能が「お峯入り」の素晴らしさと思います。
そしてフィナーレとなる「道行き」となります。
古典は何時の時代にあっても、見る人の心に「微笑み」と「感動」を与えてくれます。
どうぞ限られた時間ですが、ご堪能ください。
終わりにあたり、厳しい少子高齢化の時代に直面し、県下最大の芸能、しかも国指定の重要無形民俗文化財である『山北のお峯入り』が、地域のしきたりや掟と共に、保存と伝承に地域一体となって、最善の努力を傾注する所存であります。
皆様方におかれましても、どうぞ幾久しくご支援くださいますようお願い致します。
平成29年10月8日
山北町 (旧共和村)の皆様、素晴らしい歌舞の披露をありがとうございました。