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何も考えずに、でも何かを求めて、鉄道の旅を続けています。今夜もmoonligh-expressが発車の時間を迎えます。

首都圏の電車を走らせている信濃川の発電

2020年09月04日 | ニュース・うんちく・小ネタ
以前にも大河津分水について触れたが、信濃川について勉強をしていると、興味深いのは信濃川の発電。河川施設とすれば治水や灌漑目的の施設が多いものの、水力発電施設も多く、日本屈指の発電量・発電施設を誇るのが信濃川だ。
決して「ダムマニア」ではない。「ダムの歩き方(ダイヤモンド社)」なる本は持っているが、川を語るには外せない施設がダムと水力発電所となる。

調べてみたところ、発電施設ごとでのランキングで、信濃川支流の清津川(カッサ川を含む)にある「奥清津発電所」は国内第2位の発電規模(160万キロワット)や、長野県大町市にある日本一のロックフィル式ダムである高瀬川ダムの水力を使用する「新高瀬川発電所」は発電量国内4位、揚水式の発電所も5か所建設された実績がある。(いずれ、これらの発電所が当該ダムも紹介できればと思っている。)
包蔵水力では木曽川に次いで2位であるものの、すでに開発されているエネルギー量は第1位。まさに日本一の流れを活用した水力発電・日本一の川なのだ(包蔵水力・既開発を含めて第3位は阿賀野川。)



今回、紹介するのは大好きなJR東日本の施設で「信濃川発電所」である。JRも信濃川に3か所の発電所44万9,000キロワットの発電を行い、JR東日本で使用する電力量の4分の1を発電しており、首都圏に電気を送っている。
写真は、信濃川が狭さく部分を抜けて越後平野に流れを落とそうとする小千谷市に設置されたJR東日本の「小千谷発電所(写真上:右が小千谷発電所、左手が新小千谷発電所)、もう1枚は発電所上の道路から)」。さらに上流の十日町市に「千手(せんじゅ)発電所」がある。

面白いのは、取水口である信濃川に建設された「宮中(みやなか)ダム」の取水口から、浅河原調整池を経て千手発電所へ水を導水し発電機を回す。その水を20キロ近い二本の導水路で小千谷市・山本山の中腹にある山本調整池に送り更に小千谷発電所で発電する仕組み。小千谷第二発電所も、宮中第二取水口から山本山の第二調整池に送られて発電している(写真下:山本調整池、第二調整池)。何だか複雑だが、密接に関係しているのだ。(詳しくは、JR東日本のホームページの図を参照→https://www.jreast.co.jp/shinanogawa/discharge.html



水力発電所には、国土交通省から許可された取水量があって、結果それを上回る取水をした上、社外に売電事業を始めたことなどが問題となったJR東日本信濃川発電所の不正取水事件。データ改ざんしていましたから、地域をないがしろにした行為ですよね。
新潟県の水資源(もちろん、上流の長野県も同様である)が、首都圏のために貢献していることは言うまでもない。雪深い暮らしを強いられて冬を耐え、山や緑の大地が水を貯え、そして魚などの生き物を慈しみ生態系や環境を守り続けてきた沿岸の人々を裏切ることなく、施設や運営の在り方を見直そうというきっかけにしなければいけない事案だ。
地方は頑張っている!ねえ、JR東日本さん!

コメント
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