さて、今回も鉄橋の話。只見川から少し離れて、阿賀野川の本流である「阿賀川(大川)」へ。実は、阿賀川と只見川の行ったり来たりを繰り返している。
上の写真は、会津鉄道・芦ノ牧温泉駅の写真と、国道121号の小谷(おや)橋上流部のもの。小谷発電所のダムがあるこの辺りは、阿賀川も只見川に負けないほど水を湛えている。
目的の橋は、芦ノ牧温泉駅のある会津若松市大戸町上三寄から、小谷橋を渡らずに、旧道を少し入った闇川(くらかわ)に架かる会津鉄道の「闇川橋梁」だ。
両岸から気が生い茂り、その橋の姿は何やら緑のベールに包まれているかのような謎めいた橋なのである。
長さは51メートル余りだが、結構、谷は深くてファインダー越しに橋から川底を覗くと足がすくむ。旧道自体が交通量少なく寂しいところで、木が生い茂っていることから奈落の底を見るかのようだから。
この深い谷のために僅かな橋長にありながら、中央に足場が取れなかったため橋脚が会津若松寄りに配され、桁や橋台が対称になっておらず、2径間の下部の曲弦プラットトラスだが実にいびつな形をしている(…らしい。ちょっと写真では分かりづらくて申し訳ない。)
これは、端部にカンターウェイト(アンカー)を配し、桁を張り出して架橋するカンチレバー式工法を用いたことによるもの。昭和6年(1931年)、私の亡き父の生まれ年に架橋。
といっても、橋脚の支承は確認できるが、橋台部分はどうなっているのか?また橋のトラスがどう組まれて、どんな形をしているのかはあまりよく見て取れない。(ネットで、図面(写真)がアップされているものもあるが、著作権が分からないので、興味のある人は検索して!)
第一、カンチレバー工法だとか、張り出し架設、跳ね出し桁といわれても、ピンとこない!まあ今後勉強しますが、とにかく珍しい構造を持っている橋梁なのです。(土木学会発行の「現存する重要な土木構造物2800選」の中では、「技術的に優れているわけではないが型破りの構造」と評されている。)
対岸の小谷発電所から闇川橋梁を渡る列車を見る風景は、実は鉄道ファンにとっては有名なポイント。ここにもあるんですね!