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何も考えずに、でも何かを求めて、鉄道の旅を続けています。今夜もmoonligh-expressが発車の時間を迎えます。

100年のもの間、長野市を見つめ、そして潤す「往生寺浄水場」へ

2022年03月19日 | 土木構造物・土木遺産


出張で長野市を訪れる機会があった。1時間ほど時間が空いたので、どこか見に行くことのできる土木遺産が近くにないか検索してみる。今回も「現存する重要な土木構造物2800選(土木学会発行)」のお世話になる。
これまで水源を求めるためのダムや農業用水用の堰などは取り上げたことはあったが、上水道施設そのものを取り上げるのは今回が初めて。長野市水道局の「往生寺浄水場」を紹介することにする。
この施設、大正4年に長野県内では初めての近代水道施設として稼働し、未だ現役。100年以上も長野市民の水がめとして、立派にその役目を果たしているというものだ。

ここで取り入れられている方式は「緩速ろ過」方式。ゆっくりとした低流速のろ過装置の中で、微生物の力を利用し水を浄化していくというもので、地表水を使い浄水場などで広く使われている方式だ。
水源地は、飯綱や戸隠といった山々の水を集めた旧戸隠村の貯水池。長野市内に近いこの往生寺の小高い丘の上のスペースを利用して浄水場を作り、配水池を併設して長野市北西部の給水人口6万人に命の水を届けている。
飯綱・戸隠の豊富できれいな水量に恵まれ。市街地を形成する盆地の段丘上に適地を見出すことができた。長野ならではの地形がこの浄水場を作り、また長年にわたり配水運用をすることができた。ブラタモリみたいなこと言うな、俺も。

とは言っても大事な水道施設なので、中に入って十分に見学をすることはできない。張り巡らされたフェンスの外側をぐるぐると巡りって中を覗いてみる。この浄水システムは上から見ないと何ともただの広場にしか見えないのが難。
それでも段々に勾配をつけられているろ過装置が分かる。そのろ過池を管理するためのサイロ状の池弁室はレンガ造り。鬼瓦風の屋根飾りが施されているのが確認できる(写真下)。
このような目立たない公共的施設にも、往時の人は心を込めて誇りと愛着を持って、施設の設置にあたったことを伺わせる古典風なデザインが見て取れる。急坂を上っていった甲斐があった。(目的地まで上ったのはクルマですが、道が狭くて急なので、行く場合は注意が必要!)

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