先日東京出張の際、初めて口にする鍋料理「葱鮪鍋(ねぎまなべ)」をいただいた。「ねぎま」とは初めて聞く名前、料理。焼き鳥の「ねぎま」がどうしても思い浮かんでくる。鶏肉とネギの鍋かと思った。
写真を見てすぐにお分かりのとおり、マグロのトロの部分を使用する。なんとも贅沢な鍋料理ではあるのだが、江戸時代にマグロが食されるようになってから、江戸の庶民の中で食されていた鍋料理であるという。
名前の「ねぎま」は、ネギとマグロの「ま」を取ったものとされるが、ネギの味を楽しむため、その間(ま)にマグロを食べたという説などもあるそうだ。主役はどっち?調べてみると、どうやらマグロがメインではないような気もしてくる。
というのも、今でこそマグロのトロとかというと、日本人の好む食材の最高峰ともいうべきものの一つではあるが、江戸時代から戦前までは、トロや中トロは脂が強く、メインは赤身。脂身の多い部分は肥料にされるか捨てられていたそうだ。
そんな時に鍋にしてみたところ、ネギとマグロの脂身が程よく合わさり絶妙な味になるとのことで、ちょみんの中で広まった料理ということになる。嫌われ者のトロの部分にかろうじて光を当てることになったのだ。
味はすき焼き風のタレを出汁で割った感じのもの。確かに赤身だとパサパサいいそうだが、柔らかい触感で、ネギやその他お具材も美味しくいただける。初めての体験でした。
とはいっても、お刺身でいただいてもよさそうな脂のノリ。ちょっと勿体ない?これが戦前までは庶民の味だったとはねー。(写真上は「銀座しも田」のねぎま鍋。ここでは醤油、日本酒、みりん、出汁で鍋つゆにしている。せっかくなので下の写真で、その他の料理も紹介する。)