今週、つい先日も仙台に行って2週間で4回目。前回ご紹介した米坂線を使ってはいいた三回目に訪れた場所、「アクアイグニス仙台」を紹介しておきたい。
仙台東部の沿岸は、ご承知のとおり3.11東日本大震災で津波の被害が甚大だった場所。実は、防災のため住民に集団移転を促し、市が買い取った土地(集団移転跡地)を魅力的な場所にすることを目的に安く貸し出そうとする復興のための制度があった。
何とかこの地を再生させたいとの思いを抱いたのが、地元で建設業を営む深松組の深松努氏。震災前に、すぐ近くの海岸で防波堤の工事も行っていた会社の社長が、地域建設業のネットワークを活かして既に三重県で実績のある「アクアイグニス」の誘致・建設に踏み切ったものだ。
さて、アクアイグニスとは?アクアイグニス(三重の公式ホームページから)は、「訪れる人々の心を癒す、食と人が交わる極上の休日空間」とある。仙台は全国で5番目のアクアイグニスとなるが、そのコンセプトは同じである。
「癒し」と「食」をテーマにした、複合温泉リゾート施設。温泉を使用した温浴施設を中心に、地元の食材を生かした和洋食のレストランなどが入る。温泉は地下1,000メートルから汲み上げ、休憩所はライブラリーカフェ。高級感漂うリラクゼーションもある。
食事は、全国から有名シェフを招集し、和食・笠庵(笠原将弘シェフ)、イタリアン・グリーチネ(日高良実シェフ)、スィーツ・コンフィチュール アッシュ&ル ショコラ ドゥ アッシュ(辻口博啓シェフ)と各店が別棟で並ぶ。ベーカリーやコーヒーショップ、マルシェなどもある。
このアクアイグニス仙台は、深松組・アクアイグニス、福田商会の三社が合同で出資し、運営会社の「仙台reborn株式会社」を設立。震災の被害が甚大だったこの地に、復興のシンボルとして作るという強い意志のものと建設に至った経緯がある。
「地域への思いと愛着を新しい形で表現し、愛される事業になれば」と深松社長は現地を案内しながら説明してくれた。SDGsの達成や、熱交換やその効率を求めてエネルギー問題にも挑み、地域の環境課題解決や地域雇用の創出にも力を入れているという。
正に、この事業全体をとおして、持続可能な地域の未来を創造する場所になることを目指している。総工費36億円。地銀や商工中金のシンジケートローン、他の融資もあったというが、国・県から3億3500万円の補助金を調達できたことも大きい。この資金の捻出についても、多くの方々の復興への思いも感じさせる。
しかしながら、予期せぬコロナの襲撃は津波と同じく甚大で、地域社会ばかりでなく日本経済をも飲み込んでいる。そこに世界情勢の不安定も取りざたされて、円安や物価高などの不安材料を抱える中の船出になったアクアイグニス仙台。
それでも、「復興を支えてくれた方への感謝」、「賑わいの創出」、「地域との連携」、「未来への新たな姿を発信」、「自然エネルギーの活用」と、今後の展開にはまだまだやることがたくさんあるのだとか。
これまでも、復興支援ということで度々東北各地を訪れてきたが、アクアイグニス仙台のその後を確認しながら、各地の応援をしていきたいとの思いを強くした次第である。超積極的な復興事業に、あっぱれ!