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「決算!忠臣蔵」 中村義洋監督 △ ☆ 松竹
山本博文の『「忠臣蔵」の決算書』を原作に、ほとんどの人がおおよその流れは知っている「忠臣蔵」について算盤勘定を中心テーマにし「感動的なコメディ」に仕上げました。
赤穂藩主の刃傷沙汰で居場所をなくした赤穂藩士たちはそれでも生きていかなければならないため筆頭家老大石(堤真一)が中心となって始末をつけようとします。勘定奉行の矢頭(岡村隆史)はそろばん片手に「退職金」などひとつひとつ予算を考えていくのですが、世間が期待する「仇討ち」をするには全く予算が足りないのでした。江戸と赤穂と往復するにも結構な金額がかかります。思案の挙げ句頼ったのは藩主の妻瑤泉院さま(石原さとみ)のお化粧台でした。結果、無事みんなが知ってる「討ち入り」となるのでした。
面白いです。義理人情はさておきとりあえず「いくらかかんねん?」という発想がユニークです。基本単位をそば一杯16文=480円としたレート計算も合理的です。また、多くのセリフを赤穂弁にしたことも言われてみれば確かに現実的な上、関西弁は上方演芸のキモでもあり、これだけで半分コメディです。そのうえ、いつも疑問に思っていたあの討入のときの衣装の由来までよくわかり大変勉強になりました。茶人大高役の濱田岳がひょうひょうとして笑わせてくれました。
時代劇といえばチャンバラだった常識を変えている中村監督の取り組みは映画界での「時代劇の伝統」を維持するためにも大変貴重な仕事です。「ファミリーで楽しめる時代劇」のジャンルができました。(☆)
タバコは、大変残念なことにキセルを使った場面が一度ありました。(△)