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「ヒキタさん!ご懐妊ですよ」 細川徹監督 △
作家のヒキタクニオが自身の妊活を書いたエッセイを映画初主演の松重豊と北川景子の共演で笑えて泣ける作品に仕上げました。
49歳のヒキタさん(松重豊)は年の離れた妻サチ(北川景子)と二人の生活を楽しんでいましたが、サチのひとことがきっかけとなり妊活を始めます。簡単にはいかず原因はヒキタさんにあることがわかります。そこから元気な精子を育てるためのちょっと笑える苦闘が始まるのでした。
松重や仕事仲間役の濱田岳などの個性が生かされ、普通に聞くと生々しい話題でも笑えてしまいます。また、うまくいったかに思えたあとの胎児のトラブルに泣かされたり苦しんだりする感情の落差を主演の二人が好演しました。北川景子が若い頃の吉永小百合を彷彿とさせる目をしていてきれいな女優だなと再認識しました。
水槽のクラゲや桜並木、そして奇妙なラーメン屋、サウナなどの脇の演出も個性的で効果的でした。ヘタなイラストも笑えました。
難を言えば、サチは仕事をしているようでしたが、通院するために仕事を休むとか時間を調整するなどの現実的な話題を取り上げていなかったのはやはり原作が男性で、それも自由業の人だからでしょうか。仕事しながらの不妊治療は結構職場の協力がないと厳しいという現実があり、それで諦めてしまう人も多いので、そのあたりをチラリとでも触れられていると妊活映画として完璧でした。ちょっと残念です。
タバコは、こちらもちょっと残念なことに居酒屋の場面で隣の席の男性が喫煙していて煙が流れていました。(△)