
「ある船頭の話」 オダギリジョー監督 ○
俳優のオダギリジョーが初監督した長編ドラマです。
山奥の川の渡し船の船頭をしているトイチ(柄本明)は毎日様々な人を載せて川を渡ります。「」と子どもたちから石を投げられることもありますが、村人にとってはかけがえのない存在でもありました。村の青年源三(村上虹郎)が時折やってくるほかは訪れる人もなく、暇なときには釣りをして川岸の小屋で穏やかに過ごしていました。
ある時、川上から少女(川島鈴遥)が流れ着きます。事情があるようでしたが、何も語りません。少女の登場と川にかかる橋の建設で穏やかな日常に波がたつのでした。
渡し船の利用者として出演する俳優たちがそれぞれ社会のひとつの側面を端的に表現しています。オダギリ監督の交友関係の広さと深さを感じさせるキャスティングです。また、スタッフには世界から才能を集め日本の小さな山奥の姿を美しく描きました。特にクリストファー ドイルの撮影はお見事でした。「残したい日本の風景」です。
難を言えば、トイチのセリフが説教臭いのと説明しすぎなことでした。気持ちの変化などはベテラン俳優の演技力を信じて表情だけで観客に伝えられたのではないかと思います。観客にもそれくらいの推察力、洞察力あると信じてほしかったです。
タバコは、なし。無煙です。出演者の中には喫煙しそうな俳優も多かったのですが、タバコに関しても国際水準で対応できていて、その点は評価できます。