プロメテウスは、ギリシア神話の火の神だ。この本は、原子力という「火」に罠があった、ということで書かれれている。今でも朝日新聞の三面左に小さく連載されている。大震災の発生時の官邸の動の部分をずっと読んでいたが、全体を通して読んでみたかったため買ってみた。
正直、驚いた。私は大震災の時は、現役のサラリーマン、現場の所長で、自分の会社の初動措置に懸命だった。(ブログも、忙しくて2週間くらい更新できなかった)従って、11日から15日までの一連の原子力の動きで、なぜあんなことになったか、詳しくは知らなかった。
官邸の動きをトレースしてみて感じたのは、官邸には、民間企業でいう
BCP(事業継続計画)が全くなかったようだ。
例えば、官邸の中二階においた総理以下の会議室、携帯電話が繋がらなかったそうだ。事故の際に携帯がつながらないのは致命的である。実際に体験するか、訓練すればすぐわかることだ。一度でも訓練をやっておれば、次の訓練までに、繋がるように部屋の設備を改造できる。
原発の図面、意思決定する部屋には、図面もなかったそうだ。総理はそれでもどうなるのか、どうなるかと、質問する。答える方も気の毒だ。図面くらい、訓練すれば必要なのはすぐわかる。
文部科学省の「スピーディ」。放射線が原発の北東方向に伸びるがわかってるのに、総理のことろには情報がいかなかった。文部科学省や経済産業省には入っていたが、官邸には行かない。これも訓練をちょっとすれば、すぐ気がつくし、訓練をしておけば、あのシステムはどうなったか、と気づく。そのためそれを知らないい飯館村方面に避難した人たちは被爆してしまった。
という訳で、一度でも訓練をやっておけば、通信手段や図面、システムなどは不備に気がつき、改善できたはずだ。この通信、図面、システムというのは私の元の会社の訓練でもいつも課題になる設備だ。これらを改善するのがBCPのマネジメントサイクルである。
初動対応の検証結果は、今後どんどん出てくると思うが、この本を読んだ限りは、よくこれで収まったな、というところである。やっぱり、起こるはずがない、と思っていたことが最大の原因だろう。