日本ペンクラブ編・小林恭二選 1989年 福武文庫
裏表紙にいわく、「俳句をとりまく幻の名散文を集めた俳句エッセイアンソロジー」だそうで。
なにを急にというわけでもないが、このあいだ「昭和将棋史」(大山康晴)を買ったときに、同じ古本屋で一緒に見つけた本だっていうだけで。
小林恭二はたいがい持ってるはずなんだけど、これはたしか読んだことも見たこともないような気がするぞ、って手にとってみてオドロキ。
1989年の文庫の定価はカバーには600円(本体583円って消費税がまだ3%だから)ってあるんだけど、鉛筆書きのその古本屋の値段は800円。
なぜに発売当初の定価より高いのか、全然わからんけど(ふつうの文庫本で、それなりに経年劣化してる外観だし)、こういうのは、迷わず買いである。
絶対逃してはならない(どっかにもうちょっと安いのあるだろ、なんて根拠レスな希望的観測なんかしてはいけない)、古本との出会いは一期一会なんである。
で、買ってきて、ヒマなときにボチボチ読んでみた。20年以上その存在を知らなかった本に、いまさら出会ったからって焦って読む必要はない。
コンテンツは以下のとおり。
「現代俳句(抄)」山本健吉
「百句燦燦(抄)」塚本邦雄
このふたつは、巻末の解説によれば(あとのも解説による)、俳句の注釈文としては最高のもの。
「偽前衛派」高柳重信
「虚子俳話(抄)」高浜虚子
このふたつは、俳句に対する決意表明とも言える散文。
「入庵雑記(抄)」尾崎放哉
「雄鶏日記(抄)」富沢赤黄男
このふたつは、日記というかエッセイというかというもの。
「山林的人間」永田耕衣
「「澱河歌」の周辺」安東次男
「俳句は可能か」坪内稔典
このみっつは、オーソドックスな俳論。
「神戸(抄)」西東三鬼
これは小説。小林恭二が「好きで好きで仕様がない」、「昭和の小説史上に燦然と輝くもの」という小説。
「新鋭俳人の句会を実況大中継する」小林恭二
これは句会の模様をつづったもの、のちの「俳句という遊び」につながるものでしょう。
読んだなかで、私がいいなって思ったのは、虚子。
べつに虚子の意見に無条件に賛成するわけぢゃないけど、「無季の句、若しくは季の働きの無い句は俳句ではない」とか「無季の句は唯の十七字詩である」とかって言い切りが、すごい。
(虚子は「私は無季の句を必ずしも排斥するものではない」って書いてて、実際に自分でも無季の句(「俳句ではない」とことわってるけど)を作ってる。)
裏表紙にいわく、「俳句をとりまく幻の名散文を集めた俳句エッセイアンソロジー」だそうで。
なにを急にというわけでもないが、このあいだ「昭和将棋史」(大山康晴)を買ったときに、同じ古本屋で一緒に見つけた本だっていうだけで。
小林恭二はたいがい持ってるはずなんだけど、これはたしか読んだことも見たこともないような気がするぞ、って手にとってみてオドロキ。
1989年の文庫の定価はカバーには600円(本体583円って消費税がまだ3%だから)ってあるんだけど、鉛筆書きのその古本屋の値段は800円。
なぜに発売当初の定価より高いのか、全然わからんけど(ふつうの文庫本で、それなりに経年劣化してる外観だし)、こういうのは、迷わず買いである。
絶対逃してはならない(どっかにもうちょっと安いのあるだろ、なんて根拠レスな希望的観測なんかしてはいけない)、古本との出会いは一期一会なんである。
で、買ってきて、ヒマなときにボチボチ読んでみた。20年以上その存在を知らなかった本に、いまさら出会ったからって焦って読む必要はない。
コンテンツは以下のとおり。
「現代俳句(抄)」山本健吉
「百句燦燦(抄)」塚本邦雄
このふたつは、巻末の解説によれば(あとのも解説による)、俳句の注釈文としては最高のもの。
「偽前衛派」高柳重信
「虚子俳話(抄)」高浜虚子
このふたつは、俳句に対する決意表明とも言える散文。
「入庵雑記(抄)」尾崎放哉
「雄鶏日記(抄)」富沢赤黄男
このふたつは、日記というかエッセイというかというもの。
「山林的人間」永田耕衣
「「澱河歌」の周辺」安東次男
「俳句は可能か」坪内稔典
このみっつは、オーソドックスな俳論。
「神戸(抄)」西東三鬼
これは小説。小林恭二が「好きで好きで仕様がない」、「昭和の小説史上に燦然と輝くもの」という小説。
「新鋭俳人の句会を実況大中継する」小林恭二
これは句会の模様をつづったもの、のちの「俳句という遊び」につながるものでしょう。
読んだなかで、私がいいなって思ったのは、虚子。
べつに虚子の意見に無条件に賛成するわけぢゃないけど、「無季の句、若しくは季の働きの無い句は俳句ではない」とか「無季の句は唯の十七字詩である」とかって言い切りが、すごい。
(虚子は「私は無季の句を必ずしも排斥するものではない」って書いてて、実際に自分でも無季の句(「俳句ではない」とことわってるけど)を作ってる。)