many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

三反抗、失権

2016-05-31 19:45:48 | 馬が好き
80cm障害に出場、したはいいが。
三反抗、失権。
5番障害、左に角度振ってあるラインで、去年と同様のミスやらかした。
それのやりなおしは飛んだけど。
そのあとの6番、2回やって2回ともまっすぐ入れず拒止。
もう人間キレてたね、きっと。
5番のビタ止まりがすべて。
あー、もー、やだ、人間やめてぇー。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

試合前日、本番乗る馬に乗せてもらう

2016-05-30 19:29:44 | 馬が好き
雨の中、乗馬にいく。
きょうは気温も20度くらいまでしか上がらない、羽織るもの必要、なんて天気予報はいうけど、テンション上げるモードに入ってしまっている私の乗馬は、いったん半袖になったもん戻す気はない。
試合前日だから、もしかして去年のように、外の試合会場の隅で乗れるかなと期待してたんだけど、やっぱインドアだという。
だが、馬は、ゴールドパンサー、ひと呼んで、ゴルパン。

(↑呼んでも出てこない、だいじょぶか、障害飛ぶ元気あるか?)
たぶん、あしたの試合で、私が乗る馬。
しかも今日、障害練習やるという。
んー、ホントのテン乗りだった去年とちがって、こりゃ言い訳できないな。
去年の3回の騎乗を読みかえす、ふむふむ、動かせてないし、ついていけてないな、俺。
他のチームの馬が続々と馬運車から降りてくるのを見ながら、馬装できたら、馬場へ向かう。

人馬がそろうまで常歩してるんだけど、なんか反応いまいち。
ぢゃあ、障害に向けての練習するよ、試合前日だから、サッとね。
4組の人馬で準備運動、蹄跡で速歩。あれれ、全然動かない。あせって、バンバン脚使うけど、いまいち。「もっと動いて」と言われる。
「回転のところで遅くならない、動かしていく」と言われて、やるんだけど馬が前にいる感がない。
それはいいけど、隅角ぢゃないとこなんかで回転しようとすると、曲がってかない。内の手綱使っても、馬のクビが曲がるだけで、進んでかない。ときには外の肩からふくれてってオーバーラン。
「手綱引かない、手だけで曲げない、全体のバランスで曲がってく」 ああ、そうね、引いてもだめだ、前に出してくなかで両肘両手のなかに馬を置いて方向づけてかないと。
動かねーけど駈歩。とりあえず出るけど、なんかパランパラン。もうすこし勢いをつけたいのだが。ジタバタしないで、人は同じとこにジッとしているつもりで乗る、そうしないと馬が動けないはず。
ちっとも動いてないけど、フラットワークおわり。これぢゃ飛べないよー、きっと。
ぢゃあ、最初、横木通過。まっすぐのラインの横木の間隔は駈歩で6歩。最初気にしないでいいけど、6歩で行けなかったら、次は前回より1歩でも少なくするつもりで。
最初は速歩で通過、なんかフラフラして真ん中に入れない、横木の間で蛇行してる。
二本目通過して180度回転したら、駈歩発進、回転で弱くならないように気をつけて180度ターンして横木へ。
数えたら7歩で通過、まっすぐいって速歩、逆の手前に回転、駈歩、反対側から繰り返し。
こんどはもうちょっと元気よく入ってって、6歩で通過、ちょっとあやしかったけど。(ペースが一定ぢゃない。)
んぢゃ、クロスにしてやるよと。
駈歩で、最初の横木通過、6歩でクロス、まっすぐ行って反対側へ回転、駈歩でまわって帰ってくると、ひとつめもクロスに上がってて、それ飛んだら6歩で二つ目のクロス。
誘導してくるとこで「回転をしっかり」、ひとつめの障害の前で「下を見ない、遠く前を見て」と繰り返し言われる。
それ二回ほどやったら、最後は垂直にしてやる。
一度目のラインはクロス飛んで6歩でクロス。真っ直ぐ行ったら、一度速歩にしてから反対手前の駈歩だす。ぐるっとまわって、途中横木一本あるんでその真ん中通過して、180度回転したら、障害は垂直に上げてあるんで、ひとつ飛んで、6歩でふたつめ。飛んだあとは戻して、できたらフライングチェンジしてもいいから、反対へ。駈歩でまわってくと、また横木一本あるんで、それ通過まで。
駈歩スタート、ちょっと休んでたからか、反応が鈍い、巻乗りして脚つかって出してく。
左手前の回転から、いまいちだけど、クロスを通過。ひとつめ飛んだあとの勢いがいい。
ふたつめ飛んだあと、まっすぐいって速歩にしたいんだけど、止まらなーい。
ふらふらっとして、落ちるかと思ったほど、鞍の上で身体が浮き上がるけど、どうにかこらえて、適当にズルズルっと右へ向けてまわってく。
駈歩は動いてるよ、これ。フラットワークのときとは大違いだ。闘志に火が点いたか、ゴルパン?
右に180度回転して、垂直にまっすぐ入る。すごくいい勢いなので、なにもしない。
飛んだら戻る、腰張って詰める、詰めたら前に出す、って唱えながら、ひとつめ飛んでく。
おまじないの文句が長いもんだから、言ってるうちに、すぐ二つ目がきちゃう、勢いでジャンプ。
まっすぐいって、と思ったけど、壁が近づくので、またフラフラと惰性で左に回転。
そのあとの駈歩は安定して、横木通過まではたどりついたけど。
「そのままもう一回」と言われて、駈歩を障害のベースのテンポで動かしてく。
「そう、動いてる、それで、待って」と言われて、リズムを維持して仕掛けず抑えず、両の肩を後ろに引く。
ふだんより頭も肩も後ろにいってる(多分それでまっすぐくらいなんだが)のを意識しながら、下を見ないで飛越。すぐその姿勢をとりもどして、二つ目を飛越。
飛んだあと、なるべく座るようにして腰張って、回転。
回転するとき開いたほうの手を前に下げるからダメなんだよ、直らないクセ。
最後の感じはよかったよと言われて、きょうの練習終了。
いまのイメージを残そう。この調子であしたは向かおう。たった80cm、駈歩動いてれば、障害にぶつけてけば、あとは馬が飛ぶだろう。
ゴルパンは、運動初めのときとちがって、あきらかに障害やるときは動きがちがった。クロスのときと垂直のときでも全然ちがう。さすが、仕事のわかってる馬、だ。
ってことは、あしたは準備馬場で高いのバンバン飛ばして、エンジンまわるようにしといて出てけばいいか。
んー、待てよ、人間のほう(私)が、ことしの練習では、高いの全然飛んでないなあ、そういえば。

おわったあと、リンゴやる。
今日は、あしたのワイロとして、すこし余計にやっとく。
練習前には、声かけても出てこなかったくせに、リンゴほしいと、クビを伸ばしてくる。

(上唇が伸びてくるとこがカワイイ。)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

朝練は短時間で、それもまた練習

2016-05-27 20:25:16 | 馬が好き
雨のなか朝練にいく。
本日は、馬は3頭だけで、1頭あたり3人ずつ、一人15分ずつ騎乗、馬を疲れさせない範囲で練習。

私はサンダルフォンの二番目。馬装手伝ったら、歩いて馬場へ行く、今日はヘルメット忘れない。
一人目が乗ってるあいだは下で、試合に向けて、騎乗する候補である貸与馬のうわさ話とか。
間もなく乗り替わり。
馬は動いてるし、15分も要らないだろ、5分くらい準備運動したら、馬場の経路「一回、パスッと」やって10分で終ろう。
でも、そしたら「障害の本番で乗る馬ではないけど、準備馬場にいるつもりで、馬とのコンタクトの確認、やりとりして」というようなことで、少し動かす、いうこときかすの練習。
まずは速歩だけど、前に出す、そしたらブレーキ、「ブレーキかけたら、前に出す」ということで、動き止めるんぢゃなくて、歩度詰めても馬が前に出て来るのを感じとって、そこでバランス保っていい速歩するようにする。
詰めたらその後必ず前に出す、それ鉄則、障害でも馬場でも。
駈歩でも同じ、ブレーキかけて、馬が前に出てくるの受けとめる、駈歩殺すんぢゃないってば、俺。
乱暴にやるもんだから、サンダルフォンにアタマぶんぶん振られちゃう、もうちょっとスムーズにやりたくて、繰り返す。
やべえ、けっこく時間食っちゃったかも、適当なとこでやりとり切り上げて、空いてる一角で馬場の経路のおさらい。
40メートルってこんなもんだっけとか見まわしながら、スタート、柵がないと正確な大きさわかんないけど、一応三湾曲とかやる。
駈歩区間に移行、伸ばした駈歩のあと詰めようとして失敗、オーバーラン、引っ張ったら速歩に落ちちゃった、最低。
輪乗りの発進からやりなおし、せっかくさっき練習してたのに、伸ばすのも詰めるのもグダグダ。
時間もないので、あとは最後まで通しでやったら、おしまい。乗り替わり。
三鞍目は部班の練習、ネックストレッチつける、うん、いいカッコになるね。

予定どおり練習は終了。強くなってきた雨のなか帰って、手入れしたらリンゴやる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

朝練で横木ライン通過、エキサイトしそうな馬と仲良く

2016-05-26 21:28:30 | 馬が好き
朝練にいく。本日は、クロフジの一鞍目。え?一鞍目?うまいひとが先ぢゃないの?

馬装して、乗って馬場に行きかけてから、ヘルメット忘れてたことに気づいて(ふつうのキャップで乗ってた)戻る。
馬場に入ったら、準備運動。まずは常歩で大きくまわる。
クビ短い馬で、アタマ下げて歩ってるからか、なんだか操縦席から見る景色がちがう。
躓いたりしたら、すぐコテンと前に転がり落ちちゃいそうな感じ。いかんいかん、ネガティヴイメージ持っては。
輪乗りで軽速歩する。急がせないで歩幅広げられないかという問題意識でやるけど、うまくいかず。
二蹄跡運動とかできないと、可動域をひろげるとかできないよね、きっと。
やってると、「ちょっと肩とか硬いかもしれないので、もうすこし大きくまわって」と言われて、輪を広げる。
速歩を伸ばす、詰める、詰めたあと力入れない、要求したことできたら、いちいちホメる。
止まんなくなっちゃうイメージある馬なんで、ブレーキきいたらホメる。
駈歩する。大きめの輪乗り。すぐに広いとこに出てってまわる。
少し伸ばす、このときの反応はすごくいいので、すぐに詰めるほうに切り替える。
おさえて、そのペース保ってもらって、ホメる。スピード上げるのはいつでもできそう、落ち着いたリズムを続けられるかのほうに重点置く。
だいたい準備できた。でも常歩してても、手綱伸ばしたら、すぐ速歩したがる。
脚とか当たってる? 背中のスイッチ圧してる? 余計なことしてないか、自分の姿勢とかチェックする。
んぢゃ、障害の雰囲気をつかむために、地上横木を通過するよと。
まっすぐのライン、あいだ5歩だけど、歩数気にしなくていいと言うので、気にしない。
クロフジはストライドが小さいので、ノーマルにあわせようと思うと、かなり出してく雰囲気が必要だと思う。
やりゃあできる気はするんだけど、きっとそのあとが大変、止まんなくなっちゃう恐れあり、なので無理に歩数にはこだわらない。
リズム一定の駈歩するほうを大事にしようと、自分に言い訳して、そろりとした駈歩でスタート。
回転で勢い殺さないように気をつけて、蹄跡からは斜めに入ってくんで、ちょっと見つけにくいけど、二本の横木を真っ直ぐ抜けるラインへ誘導してく。
ひとつ跨いで、恐れてたほど加速ついたりしないので、そのままゆっくり通過、あいだ6歩になった。
なるべく真っ直ぐ行ってから右へ回転、ちょっと流れに負けて、ズルズルいってしまった、次からは速歩まで一度落とそう。
繰りかえし、真ん中をまたいで、間でフラフラしないで真っ直ぐ、だいたいOK。歩数は気にしない。
次は角度つける。ひとつ跨いだら、左に角度ふってあって、二本目へ。
一つ目のあと少し真っ直ぐかな、4歩くらい行ってから曲げるか、と見てると、「真ん中でカックンと曲げない、自転車でスムーズに曲がるような感じで」と言われて、ぢゃあ急な手綱の使い方せずに徐々に曲げてくかと思う。
蹄跡から駈歩で90度に曲がって、一本目の進入まで長い直線距離とる、一本目跨いだら、適当なとこで左にカーブ。
いつも思うんだけど、二つ目の目標どれか知らされてない馬にのって、次はあっちと指し示すのはおもしろい。ターゲットを正面にとらえれば、馬は「あれね、あれ」と納得して進んでく。
「少し内に入った、もうすこし二本目に対して真っ直ぐ」と言われるくらい、やや内回りの失敗、ちなみに間は8歩が正解なんだけど、まったく気にしてない。
繰りかえし、こんども一本目跨いだあと真っ直ぐ行って、内の手綱引いたりしないで、両手でつくるボックスのなかで馬をジワッと曲げてく感じ、さっきよりは良いか。
それはいいけど、2本目跨いだあと、駈歩止めるの大変、手だけぢゃなくて自分の体重で鞍にくさび刺してくつもりで。
ほんとはドンと脚入れて反応させて止めたいんだけど、この馬それやって走ったらヤなんで、それはやめとく。
横木通過後の駈歩が止められなくて、正面に壁が近づいて、どっち行こうか迷って、挙句馬と反対方向に落ちる、そんな予想図が容易にちらつく。いかんいかん、ネガティヴイメージを持っては。絶対、止めたるぜ。
ほかの人が横木通過やってる間は、常歩で待機してるんだけど、休憩してていいはずなのに、クロフジは元気いっぱい、早く自分もやりたそう。
待ってるあいだに、軽く速歩で動いて、停止する練習する。ブレーキは大事。手で引っ張るだけぢゃなくて、腰張って止める、腰が浮いたりしないように、馬と同調して動いてるなかで止める。
止まったら、ホメる。速歩、停止、いうこときいたらホメる、繰り返す。
こんど経路さっきと逆から。左手前で、130度以上振り返るような回転して、一本目へ、蹄跡のとこから障害よく見とくこと。
跨いだら、また3歩か4歩行ったとこで、右へ角度ふってあって2本目へ。
ちょっと真ん中でオーバーラン、やや外にふくらんで右へ、二つ目の障害見るの遅い。
繰りかえし、こんどはまあまあ普通の範疇のライン、二本目跨いだあと、真っ直ぐ行って速歩。
ぢゃあ組み合わせて計4本の経路。いまやった、左手前で振り返るような回転して1本目、そのあと右に角度振ってあって2本目、そのあと蹄跡の方まで出てって左に180度ターン、少し行ってから左斜めに進入、最初にやった二本のまっすぐのライン。
スタート、「回転、動いて」と言われて、手が止まってたのに気づく。脚で強く出すだけぢゃなくて、外の壁つくってる肘も開閉して拳の動きを止めない。
1つめ跨いで、次をすぐ見て右へ向ける、あいだの歩数はあいかわらず気にしない。
2つめ跨いで、幸い左手前の駈歩出てるんで、そのまま真っ直ぐ、速くならない遅くならない。
回転を強く、駈歩の勢いは維持、真っ直ぐ入るとこ探す、だいぶ慣れてきた、途中で軌道修正をしないで二本のラインを通過。
次の標的を目指す勢いの駈歩を止める、速歩になったとこで、ゆっくり右へ回転、おわり、ホメる。だいたいOK。
本日のところは、障害飛越には進まず、ラインの確認でおわり。
80cm飛ぶなら、もうすこしいい駈歩しなければいけないんだけど、それはそれ、そのときはやります。本番はクロフジぢゃないだろうしw
クロフジ乗った本日の秘かなテーマは爆走しないことだったから、それができたとこでよしとしよう。
私の後にクロフジ乗った110cm飛ぶひとは、ちゃんとしたストライドの駈歩出してた。
それでも、たまに0.5歩くらい合わない感じのときがある、むずかしい馬だねえ。

練習のあと手入れしてるときも、油断すると馬の口が近づいてくるんだが、ぜんぶ終わってリンゴやりだすと、とたんに人を見る目の色が変わる、かわいいもんだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

白衣の女

2016-05-25 20:46:13 | 読んだ本
ウィルキー・コリンズ作/中島賢二訳 1996年 岩波文庫版(上・中・下巻)
ことしになって今さらながら『月長石』を読んだら、とってもおもしろかったんで、もうひとつくらいコリンズを読んでみようと思った。
長いものを読むのはいいやね、なんとも楽しい。特に19世紀のものはいい。
三冊そろいで買ったの四月になってからだったかな。
ゴールデンウィーク挟んで、おもに週末の移動の時間なんかで読んだ。
(若いときとちがって、平日の夜とかは早く寝てしまって、本を読めない。)
めずらしく、あまりに入り込んでしまって、新幹線終点なのに、まだ着いてないだろと1分くらい気づかず座り続けて、読むのやめなかったってこともあった。
タイトルは、ふりがなをみたら「びゃくえのおんな」だって、「はくい」ぢゃないんだ。まあ、そんなことはいい。
原題は「THE WOMAN IN WHITE」、1860年の出版らしい。
1850年ころのイギリスを舞台にした物語。
『月長石』もそうだったように、事件の状況を伝聞証拠に基づいて語らないという主義によって、一連の出来事は、それに関わった人物が自身の経験を自らの言葉で記す形式で、物語として語られている。
(そんなの、ふつうに三人称で小説書くより手間かかると思うんだけど、律儀だね。)
最初が、絵画教師で、主人公のひとりともいえる、ウォルター・ハートライト。
つぎが弁護士の、ヴィンセント・ギルモア。
そのつぎが、主要登場人物のひとりであり、ヒロインのローラの姉である、マリアン・ハルカムの日記。
そのつぎは、ローラとマリアンの叔父であるフレデリック・フェアリーが重い腰をあげて書いた手記。
そのつぎに、グライド卿の女中頭のイライザ・マイケルソンの話があって、その他のさまざまな者達の手記。
最後に、ウォルター・ハートライトがかえってきて、あいだにキャセリック夫人の嫌味な調子の手紙と、謎めいた人物フォスコ伯爵の手記も挟まれるが、ウォルターの話で終る。
その書きかたについて、ウォルター・ハートライトは、
>私の記録しているような物語にあっては、その関係者は、事件に係わりのある場合にのみ登場し、個人的な好みによってではなく、詳しく語られるべき状況の要請によって登場し、そして去るというのが必然的法則なのである(下巻p.289)
と言ってて、実際そんな調子である。
物語は、ウォルター・ハートライトが、夏の寂しい夜道で、背後から肩をつかまれて、「ロンドンへ行くには、この道でいいのでしょうか」と、上から下まで真っ白な服を着た若い女に尋ねられるところから始まる。
この奇妙な体験のあと、ウォルターはリマリッジ館で若い令嬢二人に水彩画を教える仕事を始めるんだが、再びそのちょっとヘンな白衣の女と会うことになる。
ストーリーは、読んでのおたのしみ、こういう長い物語は、その長いのを読んで初めて見えてくるところがおもしろいのだから。
それでもごく簡単に言うと、わるい准男爵が結婚したばっかりの令室の財産めあてに奸計を企てて、それに対して彼女を愛する人たちが奮闘する、ってなことになるんだろうけど。
それに加えて、くだんの白尽くめのなりした女が、どうして幽閉されるにいたったのかってのが、もうひとつの軸としてあって、まあ退屈してるひまはない。
それはそうと、登場するキャラクターは、その描かれ方、あるいは自身による語りで、おもしろい性格をくっきりとみせている。
なかでも、謎の多い人物フォスコ伯爵だが、こいつはサイコパスだなってのが私の感想。
(その体格の太っていることについて、歴史上の人物で代表的なサイコパスとされるヘンリー八世の名が出てきたので、たまたま気づいた。)
最初は道化役なのかと思いきや、これが悪事の中心にいる人物。
で、強靭な精神力、素早い決断力、先を見通す狡猾さ、その場での当意即妙なはったりと大言壮語、窮地におかれても的確な状況判断、そして自分の利益を守るためなら躊躇せず人を殺すこともできる、そんな性格と実行力。そして、表面的にはとても魅力があって、女性陣からあっさり好意をもたれるとこも。
もうひとり、おもしろいのは、ローラとマリアンの叔父で、ハートライトの雇い主でもあった、フレデリック・フェアリー氏。
このひとは、とにかく自分の神経に触ることやめてくれと、いつも機嫌の悪いひとなんだが、
>私見によれば、これは社会のあらゆる階層について言えることだが、独身者が妻帯者によって加えられる仕打ちほど、人間の本性の厭うべき利己主義をおぞましくも明らかにしてくれるものはない。(中巻p.289)
という卓見を披露してくれたりするとこが、私のお気に入り。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする