谷岡一郎 1997年 PHP新書
こないだからは、確率とか統計のつながりでっていう感じ。副題は、“「賭け方」と「勝敗」の科学”
ギャンブルについて書かれている本のなかでは、これは白眉。私がいちばん好きなものかもしれません。
「赤が5回続いた、次は黒が来る番だ」(次どちらが出るかの確率は今までと同じ)とか、「俺のカンはすごい、たいがいは勝つ。こないだ負けたのは、隣にヘンなやつが座って場を乱した不運のせいだ」(負けたことは忘れるか、他人のせいにする)とか、ギャンブル好きのしょうもない迷信を、まず一蹴する。
次に、巷間いわれる必勝法とやらを俎上にあげ、確率統計的に分析して、必勝はありえないと斬る。
で、必勝法を探るんぢゃなくて、「確実に負ける賭け方」を勉強するのが、本書の目的といえるでしょう。
その「確実に負ける」の前提は、大数の法則。試行回数が増えてくと、分散が小さくなり、結局、最初に設定されてる期待値のところに収まっちゃうというもの。
たとえば、サイコロをころがすと、2回ころがしたくらいだと、たまたま1の目が連続で出るようなこともある、この場合、1の出現が100%で、ほかの目は今んとこ0%。けど、無限回ころがすと、どの目も6分の1ずつ(16.7%ずつ)のとこに、出る回数は均されちゃう。
で、これを、毎回どれか一つの目だけに賭けて、当たれば5倍、負けたら失う、ただし1の目が出たら無条件に負け、なんてルールでギャンブルをやると、回数の少ないうちは、たまに連勝したり連敗したりしてるんだが、やっぱ無限回プレイすると、誰がやっても、手元に返ってくるのは、無条件に負けて取られる1の目を除いた6分の5ということになる。どうしたって、それが理論的な回収できる金額。
だから、無限回やると確実に負ける、と。なので、より早く確実に負ける賭け方ってのは、「回数を増やす」「長時間プレイする」「ボックスとか流しとか一度に何点も賭ける」「同じ一定金額をかける」「本命を狙い続ける」ってことになる。そうすると分散が小さくなるし、分散小さくなると、期待値のとおりにハマる。
(勝ちたかったら、逆に分散を大きくする。ルーレットだったら、1点の数字にたまにドカンと張ってみる。それで当たって36倍になったら勝ち逃げすればよい。そこから回数を増やしてダラダラやってると、終わったときには38分の36しか回収できてない(ルーレットでは0と00は親の勝ち)結果になる。)
そのあたりを解明していって、ツキってのは何なのか、あるいは「破滅型ギャンブラー」と「ゆとり型ギャンブラー」ってのがいるけど、どちらを目指すべきかといったことが説かれています。
それから、いろんなギャンブルの対象となるゲームをとりあげて、ゲームの「おもしろさ」とは何なのかを分析している項が私には興味深いものがあります。
以下は、そのおもしろさを決める5項目。左側がよりおもしろさが大きい。
・1回の勝負のスピードが、より早い⇔より遅い
・ドキドキ感の持続性が、 長時間 ⇔短時間
・当たったときの爆発力が、大爆発 ⇔おとなしめ
・期待値=勝てる期待度が、高い ⇔低い
・実力の必要性(攻略感) 実力必要⇔実力不要
たとえば、宝くじっていうのは、「スピード」は週に1回とか1ヵ月に1回で遅い、「ドキドキ感の持続性」は発表の一瞬だけで短時間、「爆発力」は大金が当たるので大爆発、「期待値」は賭け金の半分以上は取られるから低い、「攻略感」は運任せなので実力不要。よってギャンブルとしては、あまりおもしろくない。
競馬は、30分に1レースくらいのスピード、実際のレースは2分間くらいのドキドキ感、賭け方によるけど数十倍にもなる爆発力、払戻しは75%程度という低めの期待値、いろんな要素を推理するので当たったときは攻略感あり、ってことで、まあ中くらいといったとこか。
そんなこんなで、考えてみると、パチンコがおもしろさの王者ということになるらしい。(ただし、ここのところの順位の評価は主観的なもの。)
ちなみに、パチンコの期待値は明らかではないが、本書の計算では97%程度ではないかと示されている。
こないだからは、確率とか統計のつながりでっていう感じ。副題は、“「賭け方」と「勝敗」の科学”
ギャンブルについて書かれている本のなかでは、これは白眉。私がいちばん好きなものかもしれません。
「赤が5回続いた、次は黒が来る番だ」(次どちらが出るかの確率は今までと同じ)とか、「俺のカンはすごい、たいがいは勝つ。こないだ負けたのは、隣にヘンなやつが座って場を乱した不運のせいだ」(負けたことは忘れるか、他人のせいにする)とか、ギャンブル好きのしょうもない迷信を、まず一蹴する。
次に、巷間いわれる必勝法とやらを俎上にあげ、確率統計的に分析して、必勝はありえないと斬る。
で、必勝法を探るんぢゃなくて、「確実に負ける賭け方」を勉強するのが、本書の目的といえるでしょう。
その「確実に負ける」の前提は、大数の法則。試行回数が増えてくと、分散が小さくなり、結局、最初に設定されてる期待値のところに収まっちゃうというもの。
たとえば、サイコロをころがすと、2回ころがしたくらいだと、たまたま1の目が連続で出るようなこともある、この場合、1の出現が100%で、ほかの目は今んとこ0%。けど、無限回ころがすと、どの目も6分の1ずつ(16.7%ずつ)のとこに、出る回数は均されちゃう。
で、これを、毎回どれか一つの目だけに賭けて、当たれば5倍、負けたら失う、ただし1の目が出たら無条件に負け、なんてルールでギャンブルをやると、回数の少ないうちは、たまに連勝したり連敗したりしてるんだが、やっぱ無限回プレイすると、誰がやっても、手元に返ってくるのは、無条件に負けて取られる1の目を除いた6分の5ということになる。どうしたって、それが理論的な回収できる金額。
だから、無限回やると確実に負ける、と。なので、より早く確実に負ける賭け方ってのは、「回数を増やす」「長時間プレイする」「ボックスとか流しとか一度に何点も賭ける」「同じ一定金額をかける」「本命を狙い続ける」ってことになる。そうすると分散が小さくなるし、分散小さくなると、期待値のとおりにハマる。
(勝ちたかったら、逆に分散を大きくする。ルーレットだったら、1点の数字にたまにドカンと張ってみる。それで当たって36倍になったら勝ち逃げすればよい。そこから回数を増やしてダラダラやってると、終わったときには38分の36しか回収できてない(ルーレットでは0と00は親の勝ち)結果になる。)
そのあたりを解明していって、ツキってのは何なのか、あるいは「破滅型ギャンブラー」と「ゆとり型ギャンブラー」ってのがいるけど、どちらを目指すべきかといったことが説かれています。
それから、いろんなギャンブルの対象となるゲームをとりあげて、ゲームの「おもしろさ」とは何なのかを分析している項が私には興味深いものがあります。
以下は、そのおもしろさを決める5項目。左側がよりおもしろさが大きい。
・1回の勝負のスピードが、より早い⇔より遅い
・ドキドキ感の持続性が、 長時間 ⇔短時間
・当たったときの爆発力が、大爆発 ⇔おとなしめ
・期待値=勝てる期待度が、高い ⇔低い
・実力の必要性(攻略感) 実力必要⇔実力不要
たとえば、宝くじっていうのは、「スピード」は週に1回とか1ヵ月に1回で遅い、「ドキドキ感の持続性」は発表の一瞬だけで短時間、「爆発力」は大金が当たるので大爆発、「期待値」は賭け金の半分以上は取られるから低い、「攻略感」は運任せなので実力不要。よってギャンブルとしては、あまりおもしろくない。
競馬は、30分に1レースくらいのスピード、実際のレースは2分間くらいのドキドキ感、賭け方によるけど数十倍にもなる爆発力、払戻しは75%程度という低めの期待値、いろんな要素を推理するので当たったときは攻略感あり、ってことで、まあ中くらいといったとこか。
そんなこんなで、考えてみると、パチンコがおもしろさの王者ということになるらしい。(ただし、ここのところの順位の評価は主観的なもの。)
ちなみに、パチンコの期待値は明らかではないが、本書の計算では97%程度ではないかと示されている。