山上たつひこ 2011年 小学館文庫版
『光る風』を読まなきゃあと思いつつも、手に入れようという気合がすこし足りなくて、まだ探していない。
代わりというわけぢゃあないが、最近読んだ山上たつひこの小説。たしか『枕の千両』買ったときに、ついでに一緒に買ったもの。
2003年の『追憶の夜』を改題したという文庫。タイトル「火床」は「ほど」である、読めなかった。
小説の舞台は著者の住む金沢、時代は西暦二千年、ときの総理大臣なんて誰だか忘れてたけど本文中に森首相とあった、石川県選出だね。
主人公は、金沢に事務所をかまえる私立探偵。ほう、こまわりぢゃなくて、探偵小説なんだ、と何のジャンルか知らないまま買ったもんで、ちょっと意外だった。
最初の依頼人は、自分が生まれる前に、兄を亡くした学生。
23年前に、自宅に押し入った男によって、両親は包丁で刺されて重傷、当時7歳だった男児は連れ去られて、殺されたとされているが、実は死体は見つかっていない。
逮捕された加害者と、被害者である父親の関係は、患者と医者。患者は末期の胃癌で、医者の診断ミスで命が縮まったと、逆恨みして犯行に及んだ。
9日間にわたる逃亡のあいだと逮捕された後にも、日本の医療を糾弾するみたいな声明まで出したんで、社会問題にもなった犯人は、未決拘留のまま病死した。
で、依頼人である被害者の肉親の依頼はなにかっていうと、最近になって死刑制度廃止運動のグループが両親に近づいてきたようなので、死んだ犯人の妻と娘の動向を探ってくれというもの。
ところが、調べてくうちに、当の調査対象である犯人の娘が、依頼人として探偵の自宅に押しかけてくる。
こちらの依頼は、死んだ父の昔の友人で、事件のあと自分たち家族を支えてくれて、母に仕事まで紹介してくれた、ある人物を探してくれというもの。
ちなみに、母は最近亡くなってしまい、娘自身は死刑制度廃止運動をするってわけぢゃなくて、とにかくその人にもう一度会いたいというレベル。
妙な立場に立たされた探偵だが、職業倫理に反しないようにして、両方に結果を報告できるようにするべく調査をすすめてく。
その過程で、死刑制度廃止運動のグループにも接触したりするんだけど、そこでの議論は、これが主題なのか重たいねえと一度は思わされる。
でも、最後は、ちゃんとミステリーらしい、意外な真相が明らかになる、って驚かされかたされるのが、なかなかよろしい。
(ちょっと雰囲気的には、京極堂シリーズのようなものを感じた。)
んー、『枕の千両』でもそうだけど、独自のドロドロした書き方がすごいやね、格闘シーンとかグチャグチャ感がいっぱい。
その圧倒的な力は、たとえて言わせてもらえば、とても寝る前とかには読めない、これ読んで寝たら悪夢にうなされそう。
『光る風』を読まなきゃあと思いつつも、手に入れようという気合がすこし足りなくて、まだ探していない。
代わりというわけぢゃあないが、最近読んだ山上たつひこの小説。たしか『枕の千両』買ったときに、ついでに一緒に買ったもの。
2003年の『追憶の夜』を改題したという文庫。タイトル「火床」は「ほど」である、読めなかった。
小説の舞台は著者の住む金沢、時代は西暦二千年、ときの総理大臣なんて誰だか忘れてたけど本文中に森首相とあった、石川県選出だね。
主人公は、金沢に事務所をかまえる私立探偵。ほう、こまわりぢゃなくて、探偵小説なんだ、と何のジャンルか知らないまま買ったもんで、ちょっと意外だった。
最初の依頼人は、自分が生まれる前に、兄を亡くした学生。
23年前に、自宅に押し入った男によって、両親は包丁で刺されて重傷、当時7歳だった男児は連れ去られて、殺されたとされているが、実は死体は見つかっていない。
逮捕された加害者と、被害者である父親の関係は、患者と医者。患者は末期の胃癌で、医者の診断ミスで命が縮まったと、逆恨みして犯行に及んだ。
9日間にわたる逃亡のあいだと逮捕された後にも、日本の医療を糾弾するみたいな声明まで出したんで、社会問題にもなった犯人は、未決拘留のまま病死した。
で、依頼人である被害者の肉親の依頼はなにかっていうと、最近になって死刑制度廃止運動のグループが両親に近づいてきたようなので、死んだ犯人の妻と娘の動向を探ってくれというもの。
ところが、調べてくうちに、当の調査対象である犯人の娘が、依頼人として探偵の自宅に押しかけてくる。
こちらの依頼は、死んだ父の昔の友人で、事件のあと自分たち家族を支えてくれて、母に仕事まで紹介してくれた、ある人物を探してくれというもの。
ちなみに、母は最近亡くなってしまい、娘自身は死刑制度廃止運動をするってわけぢゃなくて、とにかくその人にもう一度会いたいというレベル。
妙な立場に立たされた探偵だが、職業倫理に反しないようにして、両方に結果を報告できるようにするべく調査をすすめてく。
その過程で、死刑制度廃止運動のグループにも接触したりするんだけど、そこでの議論は、これが主題なのか重たいねえと一度は思わされる。
でも、最後は、ちゃんとミステリーらしい、意外な真相が明らかになる、って驚かされかたされるのが、なかなかよろしい。
(ちょっと雰囲気的には、京極堂シリーズのようなものを感じた。)
んー、『枕の千両』でもそうだけど、独自のドロドロした書き方がすごいやね、格闘シーンとかグチャグチャ感がいっぱい。
その圧倒的な力は、たとえて言わせてもらえば、とても寝る前とかには読めない、これ読んで寝たら悪夢にうなされそう。