諸星大二郎 1997年 集英社・ジャンプスーパーエース
『トゥー・エスプレッソ』を読んで、なにかコーヒーを淹れる話のあるマンガか小説をと思ったんだが、思い当たらない。
村上春樹のエッセイで、以前ジャズ喫茶をやってたとき、同じコーヒーを出しても、「ぬるい」と文句いう客と、「こんな熱いの飲めない」っていう客がいるもんだ、って話があった。
そこはいずれに対しても、つくりなおして、サッと替えの新しいのを出す、サービス業ってのはそういうもんだ、っていうんだけど。
その話がどの本に載ってたか、わかんなくなってしまった。(たぶん「村上朝日堂」(のどれか)だと思うんだけど。こういう探すときのためにメモっとく意味でブログ書いてる部分もあるんだが、これではまったくそういう意味がない。)
喫茶店の出てくるマンガったら、江口寿史の「ひのまる劇場」なんだけど、これは前に一度採り上げたし。
主人公・白智探偵が、ご近所(真上)の喫茶店に現れた、珈琲一刀斎という道場破りみたいなのに、特製のブレンドを出すとこなんか大好きなんだけどね。
いま突然気がついたんだけど、こうやって劇中に喫茶店を登場させるのは、「マカロニほうれん荘」の影響ぢゃなかったのかなー、なんて思ってしまう。
閑話休題。
んで、今日のところは、まったく唐突に、そういえば諸星大二郎の“あのマンガ”はどの単行本に入ってたっけ?って探してきた『天崩れ落つる日』にしてみた。
あのマンガとは、「辛口怪談」。
巻末の初出一覧にも“不明”と書いてあって、いつの作品かわからないんだけど、おそらく初期のころの8ページの短編。
タイトルのとおりの怪談なんだけど、おどろおどろしい絵を使わずに怪談を描いているのがいいところ。
新しい町に越してきた作者が、ふと見つけたカレー屋に入ってみたら、奥の席に一人だけいる客が、出されたカレーを前にして、食べようとしないでポロポロ泣いているのを見て不審に思うとこから始まる話なんだが。
そんな怪談とコーヒーと何の関係があるんだというと、そこで、
>ぼくは そそくさとカレーを 食べて 店を出た カレーは土みたいな 味がしたし…
>えっ? 土を食べたことが あるのかって?
っていう主人公のモノローグがあるんだけど、そのあと二度目にやっぱりその店を訪れたとこで、
>ぼくは うす気味悪くなって コーヒーを半分ほど飲んで すぐ店を出た
>コーヒーは泥水みたいな 味がしたよ
>泥水を飲んだことは ないけどね…
っていうのがあって、このフレーズが私は妙に気に入ってるっていうだけのことなんだが。
というわけで、こないだからは“不味いコーヒーつながり”だ。
ほかの収録作は、一応三部構成みたいになってて、以下のとおり。
PART1 ゼピッタの気ままな旅
「天崩れ落つる日」
「コンプレックス・シティ」
「広告の町」
「わたしは快になりたい」
PART2 怒々山博士の学問への情熱
「ど次元世界物語」
「逆立猿人」
「怪談 竜の足跡」
「陽はまた昇る」
PART3 シマ男とその他の風変わりな人たち
「シマ男の逆襲」
「コルク栓のある死体」
「郵便ポストはなぜ赤い」
「シマ男の復活」
「辛口怪談」
「毒を食らわば ‐麒麟料理のおいしい食べ方‐」
「奇妙なレストラン」
「真夜中の会合」
「客船セント・ピーター号上の昼食会」
「4コマごっこ」
「アリゲーター」
PART1のゼピッタものは、コメディタッチのSFで行く先々でヘンな街を訪れるんだけど、毎回おもしろい。
PART2の“ど次元”なんかは、最初読んだときに、それまで「暗黒神話」とかシリアスなものしか知らなかったんで、こういうのも描くんだって驚いた記憶がある、ナンセンスっぽいもの。
PART3はショートショートみたいな「奇妙なレストラン」とか“セント・ピーター”は、それらしいけど、床屋の秘密組織によってグルグルネオンにされてしまった“シマ男”なんかは、もう普段の諸星チックなものとは全然別の方向にみえる。
中国伝奇ものタッチで、オチがばかばかしい“毒を食らわば”は気に入ってるけど。
『トゥー・エスプレッソ』を読んで、なにかコーヒーを淹れる話のあるマンガか小説をと思ったんだが、思い当たらない。
村上春樹のエッセイで、以前ジャズ喫茶をやってたとき、同じコーヒーを出しても、「ぬるい」と文句いう客と、「こんな熱いの飲めない」っていう客がいるもんだ、って話があった。
そこはいずれに対しても、つくりなおして、サッと替えの新しいのを出す、サービス業ってのはそういうもんだ、っていうんだけど。
その話がどの本に載ってたか、わかんなくなってしまった。(たぶん「村上朝日堂」(のどれか)だと思うんだけど。こういう探すときのためにメモっとく意味でブログ書いてる部分もあるんだが、これではまったくそういう意味がない。)
喫茶店の出てくるマンガったら、江口寿史の「ひのまる劇場」なんだけど、これは前に一度採り上げたし。
主人公・白智探偵が、ご近所(真上)の喫茶店に現れた、珈琲一刀斎という道場破りみたいなのに、特製のブレンドを出すとこなんか大好きなんだけどね。
いま突然気がついたんだけど、こうやって劇中に喫茶店を登場させるのは、「マカロニほうれん荘」の影響ぢゃなかったのかなー、なんて思ってしまう。
閑話休題。
んで、今日のところは、まったく唐突に、そういえば諸星大二郎の“あのマンガ”はどの単行本に入ってたっけ?って探してきた『天崩れ落つる日』にしてみた。
あのマンガとは、「辛口怪談」。
巻末の初出一覧にも“不明”と書いてあって、いつの作品かわからないんだけど、おそらく初期のころの8ページの短編。
タイトルのとおりの怪談なんだけど、おどろおどろしい絵を使わずに怪談を描いているのがいいところ。
新しい町に越してきた作者が、ふと見つけたカレー屋に入ってみたら、奥の席に一人だけいる客が、出されたカレーを前にして、食べようとしないでポロポロ泣いているのを見て不審に思うとこから始まる話なんだが。
そんな怪談とコーヒーと何の関係があるんだというと、そこで、
>ぼくは そそくさとカレーを 食べて 店を出た カレーは土みたいな 味がしたし…
>えっ? 土を食べたことが あるのかって?
っていう主人公のモノローグがあるんだけど、そのあと二度目にやっぱりその店を訪れたとこで、
>ぼくは うす気味悪くなって コーヒーを半分ほど飲んで すぐ店を出た
>コーヒーは泥水みたいな 味がしたよ
>泥水を飲んだことは ないけどね…
っていうのがあって、このフレーズが私は妙に気に入ってるっていうだけのことなんだが。
というわけで、こないだからは“不味いコーヒーつながり”だ。
ほかの収録作は、一応三部構成みたいになってて、以下のとおり。
PART1 ゼピッタの気ままな旅
「天崩れ落つる日」
「コンプレックス・シティ」
「広告の町」
「わたしは快になりたい」
PART2 怒々山博士の学問への情熱
「ど次元世界物語」
「逆立猿人」
「怪談 竜の足跡」
「陽はまた昇る」
PART3 シマ男とその他の風変わりな人たち
「シマ男の逆襲」
「コルク栓のある死体」
「郵便ポストはなぜ赤い」
「シマ男の復活」
「辛口怪談」
「毒を食らわば ‐麒麟料理のおいしい食べ方‐」
「奇妙なレストラン」
「真夜中の会合」
「客船セント・ピーター号上の昼食会」
「4コマごっこ」
「アリゲーター」
PART1のゼピッタものは、コメディタッチのSFで行く先々でヘンな街を訪れるんだけど、毎回おもしろい。
PART2の“ど次元”なんかは、最初読んだときに、それまで「暗黒神話」とかシリアスなものしか知らなかったんで、こういうのも描くんだって驚いた記憶がある、ナンセンスっぽいもの。
PART3はショートショートみたいな「奇妙なレストラン」とか“セント・ピーター”は、それらしいけど、床屋の秘密組織によってグルグルネオンにされてしまった“シマ男”なんかは、もう普段の諸星チックなものとは全然別の方向にみえる。
中国伝奇ものタッチで、オチがばかばかしい“毒を食らわば”は気に入ってるけど。