E・S・ガードナー/尾坂力訳 1980年 ハヤカワ・ミステリ文庫版
遠距離移動のとき読む習慣になってる、ペリイ・メイスンシリーズ、1945年の作品。
こないだ探したら、ちかごろ読んでたものより、さらに時代が古いものを見つけたんで、そっちのほうから読むことにした。
スペンサー・シリーズとちがって、特に時系列に読む必要はなさそうなんだけど。
1990年の五刷の文庫本は、なぜか函館の書店のカバーがかかってた、昔から出先で読んでたのかな。
原題は「THE CASE OF THE GOLDDIGGER'S PURSE」、登場人物のなかに鉱山関係の事業家がいるんで、そのことかと思ったら、GOLDDIGGERには金目当ての女っていう意味があるってのは今知った、ってことは、そっちの意味か。
邦題のほうは、事件に関わってくる金魚のことを言っている、作中に出てくるのは色が黒い出目金というめずらしい(らしい)種類のもの。
金魚の持主の不動産業者が、たまたまレストランでメイスンを見かけて相談してくるところから始まる。
道楽の金魚飼育でめずらしい種類をつくることができたが、敵対関係になってしまっている共同経営者が、金魚を病気にさせて、しかも事務所の水槽にいる金魚は会社のものだからと、治療のための移動を禁止する仮処分を起こしてるので、なんとかしてほしいという。
メイスンはとりあわないんだけど、不動産業者が自分のテーブルに置き去りにしてきた、長いまつ毛の女性の存在が気にかかる。
だが、金魚好きな男に言わせると、あれは仲の良い相手ぢゃなくて、彼女の恋人が金魚を治す薬を作れるからって、それを理由に現金を要求してきている金目当ての女だという。
そのあと相談にのりかけると、金魚が盗まれたとかなんとか騒動が起きるが、結局メイスンは関わらないことにする。
ところが、後日になって、金目当ての女があわただしく連絡してきて、どうしても自分と恋人のために働いてくれと言ってくる。
そういうわけで出かけていくと、例によって例のごとく、ピストルで撃たれた死体を見つけてしまうことになる。
殺人現場の浴室の床に、一匹の金魚が力なく尾ひれを動かして生きてるのをメイスンは見つけるが、そのことは後々犯行時刻を割り出すのに大きな意味をもってくる。
それはともかく、依頼人である金目当ての女を助けようと、警察やマスコミから身を隠す手配するとか関わりすぎたために、凶器とおぼしき拳銃に、依頼人のみならずメイスンの秘書のデラの指紋までつけてしまうという失敗をやらかす。
その拳銃と札束を所持したまんま、彼女は警察につかまってしまったので、処理をまちがうと弁護士と秘書も殺人の事後従犯になるという事態に陥る。
面会にいったメイスンは、「デラ・ストリートを救い出さなければならないから、あなたを助ける。」と仕方なく宣言するんだが。
実は凶器の拳銃は彼女の恋人の所有する物だったんで、容疑者の女は男をかばおうとなんだかんだヘタな嘘をついて、どんどん情勢を悪くしてる。
今後は「わたしの、弁護士に、会え」の三語しか言っちゃいけないよと言い含めておいて、来たる法廷に備えるんだが、形勢は不利。
探偵のポール・ドレイクは、「彼女はそれほどまでにしてやる女じゃないぜ。彼女はずっときみに嘘をついてきた、おれなら彼女の利益など、これっぽっちも考えてやらんね」とメイスンに言うんだけど。
メイスンは、「カナリヤを捕まえたからと言って猫を責めることができないと同じに、嘘をついたからと言って、依頼人を責めることはできないよ。(P.243)」なんて、すごい境地に達してるかのようなこと言って、戦いに臨む。
予備審問が始まるのが245ページからと、わりと遅めなんだけど、メイスンはうまく裁判長にアピールして自説を展開するチャンスをつかんで、無罪放免を勝ち取る。
そのあと、トラッグ警部に協力して真犯人を見つけ出すのは、この弁護士と警部がときに敵対するけど、互いに認めあってる関係だってことで、これまでもシリーズ中で見られた展開。
遠距離移動のとき読む習慣になってる、ペリイ・メイスンシリーズ、1945年の作品。
こないだ探したら、ちかごろ読んでたものより、さらに時代が古いものを見つけたんで、そっちのほうから読むことにした。
スペンサー・シリーズとちがって、特に時系列に読む必要はなさそうなんだけど。
1990年の五刷の文庫本は、なぜか函館の書店のカバーがかかってた、昔から出先で読んでたのかな。
原題は「THE CASE OF THE GOLDDIGGER'S PURSE」、登場人物のなかに鉱山関係の事業家がいるんで、そのことかと思ったら、GOLDDIGGERには金目当ての女っていう意味があるってのは今知った、ってことは、そっちの意味か。
邦題のほうは、事件に関わってくる金魚のことを言っている、作中に出てくるのは色が黒い出目金というめずらしい(らしい)種類のもの。
金魚の持主の不動産業者が、たまたまレストランでメイスンを見かけて相談してくるところから始まる。
道楽の金魚飼育でめずらしい種類をつくることができたが、敵対関係になってしまっている共同経営者が、金魚を病気にさせて、しかも事務所の水槽にいる金魚は会社のものだからと、治療のための移動を禁止する仮処分を起こしてるので、なんとかしてほしいという。
メイスンはとりあわないんだけど、不動産業者が自分のテーブルに置き去りにしてきた、長いまつ毛の女性の存在が気にかかる。
だが、金魚好きな男に言わせると、あれは仲の良い相手ぢゃなくて、彼女の恋人が金魚を治す薬を作れるからって、それを理由に現金を要求してきている金目当ての女だという。
そのあと相談にのりかけると、金魚が盗まれたとかなんとか騒動が起きるが、結局メイスンは関わらないことにする。
ところが、後日になって、金目当ての女があわただしく連絡してきて、どうしても自分と恋人のために働いてくれと言ってくる。
そういうわけで出かけていくと、例によって例のごとく、ピストルで撃たれた死体を見つけてしまうことになる。
殺人現場の浴室の床に、一匹の金魚が力なく尾ひれを動かして生きてるのをメイスンは見つけるが、そのことは後々犯行時刻を割り出すのに大きな意味をもってくる。
それはともかく、依頼人である金目当ての女を助けようと、警察やマスコミから身を隠す手配するとか関わりすぎたために、凶器とおぼしき拳銃に、依頼人のみならずメイスンの秘書のデラの指紋までつけてしまうという失敗をやらかす。
その拳銃と札束を所持したまんま、彼女は警察につかまってしまったので、処理をまちがうと弁護士と秘書も殺人の事後従犯になるという事態に陥る。
面会にいったメイスンは、「デラ・ストリートを救い出さなければならないから、あなたを助ける。」と仕方なく宣言するんだが。
実は凶器の拳銃は彼女の恋人の所有する物だったんで、容疑者の女は男をかばおうとなんだかんだヘタな嘘をついて、どんどん情勢を悪くしてる。
今後は「わたしの、弁護士に、会え」の三語しか言っちゃいけないよと言い含めておいて、来たる法廷に備えるんだが、形勢は不利。
探偵のポール・ドレイクは、「彼女はそれほどまでにしてやる女じゃないぜ。彼女はずっときみに嘘をついてきた、おれなら彼女の利益など、これっぽっちも考えてやらんね」とメイスンに言うんだけど。
メイスンは、「カナリヤを捕まえたからと言って猫を責めることができないと同じに、嘘をついたからと言って、依頼人を責めることはできないよ。(P.243)」なんて、すごい境地に達してるかのようなこと言って、戦いに臨む。
予備審問が始まるのが245ページからと、わりと遅めなんだけど、メイスンはうまく裁判長にアピールして自説を展開するチャンスをつかんで、無罪放免を勝ち取る。
そのあと、トラッグ警部に協力して真犯人を見つけ出すのは、この弁護士と警部がときに敵対するけど、互いに認めあってる関係だってことで、これまでもシリーズ中で見られた展開。