乗馬に行く。
暑くなってくると、いいかげんホントは夏休みにしたいんだが、いま他の運動してないんで、週イチとはいえ乗馬をやめちゃうとタイヘンなことになるんぢゃないかと思って、続けている。
今月は、仕事の関係で、土曜日曜ともそれぞれ2万歩、距離にして15キロくらい歩いてるんで、月曜日はカラダ(主に腰と足)を休めたい気もするんだけど、それはそれ、乗馬は乗馬である。
さてさて、きょうは天蓬の2鞍目である。
あいかわらずでっかい馬だ。鞍下ゼッケンなんかも普通のやつぢゃないよ、大きくてズレないやつ。
今日で三回目だと思うけど、こないだは、うまく乗れなかったな。
ぜんぜんエンジンがかからなかったし、それでも仕方ないから勢いで障害を突破しはじめたら、こんどブレーキがかからないし、散々。
きょうも大汗かかされる破目になりそうな気がする。
そんな私の嫌な予感をよそに、最初に乗るひとはこう言った。
「そうですかぁ? 私はこの馬が一番好きですよ! ね、テンテン!」
テンテン? その巨体で、そんなキャラでしたか、あなた?
↑たしかに、おねだりするポーズはポニー並なんだけど。
空いてる時間でワラを干すとか、そういうのないんで、馬場に行って、一鞍目をよく見ておく。
人をみても、あーは乗れんなって思うだけなんで、馬の姿勢とかを見てる。
私はヘンに馬を引っ張りコロスことが多いので、馬がよく前にでてるときに、どんなバランスで動いてるかとか、下にいるときには注意して見たりする。
ときどき反抗しそうなのを、瞬時に収めてんのをみると、うーん、俺はあそこで負けてるから、馬が伸びちゃうんだなあとか思う。
そしたら、横木つかっての練習。地上横木が7本、3メートル幅で置いてあんのを、駈歩で通過。
横木通過ができたら、左右の入口にある一本ずつは踏み切りとして地上に置いておくけど、なかの5本は支柱にかけて30センチくらいの高さにあげる。
そしたら、天蓬が逃げたっつーか止まった。先生いわく「今のは、完全に馬が悪い」って、めずらしいこと。助走のベースの駈歩も、誘導も問題なく、リズムよく真っ直ぐ障害に入ってきてんのに、馬が拒止って。
いろいろあって、先生が乗り替わって、ちょっとやっつけることになる。
そしたら、そこで私に手綱がまわってくる。「今日は、ズルい馬にも乗る練習、ってことで」って、マジっすか?
先生に再教育されて、改心してるかな、と怖々しながら、フラットワーク。
まずは軽速歩の輪乗りでハミうけを探る。「あと5分くらいしたら、始めますよ」と言われたんで、あわてて駈歩。
全般に左に傾く感じがあるんで、特に右手前の輪乗りで、外のカベを意識する。ムチは、使う気ないんだけど、終始左手にもつ。実は苦手なんだけどね、左手に持つの。ふだんはよほどのことがないかぎり、終始利き手である右手で持ってる。
言うこときくかどうかは、駈歩から停止、停止からの駈歩をやってみればわかる。発進のほうが感度いいけど、停止のほうはできないよ。
停まってたり、常歩したりしてると、勝手にスタートしそうになるし、後退もまぜて言うこときかせようとする。
歩度を伸ばすほうはいけそうだが、つめるのは難儀しそう、障害間で一歩余計に入れるとかはできないだろうな、って感じ。つまり、私の判断基準としては、この馬でいま障害を飛ぶ段階にはない、って状態。
でも、今日は幸か不幸かバウンスなんで、行くしかないだろって腹をくくれば、やってやれないことはない。でも、この横木の幅、でっかい天蓬には狭くないっすかぁ?
不安をかかえる私の思惑はどうでもよくて、ぢゃあ横木やりますか、さっそく、ってことになった。
地上横木通過はそんな問題ないはずだけど、そのあとのこともあるんで、慎重にアプローチする。つまづいたりしないで、走り抜けてく。
そしたら高さ上げるよ。来たぞ、ここだあ、って思ってると。「最初、止まることあるつもりで」って(笑) はい、はーい!
最初、左手前、ベースの駈歩をしっかりと、回転はつよく、丁寧に誘導、真っ直ぐ・真ん中に入ること。
止まっても大丈夫なように、身構えて乗っていく。前傾しないで、止まったときに前に投げ出されないように、逆にカラダ後ろにするイメージ。
実際には、真っ直ぐにするんだろうけどね。お尻の下にカカト、背骨の上にアタマ、馬の真上にいるように。
ふつうの駈歩を維持、シートしたまま、グイグイ推進して、障害をまたいでいくのに乗っていく。アブミに立つような普通のバウンスとは全然違うことしちゃう。
つぎ右手前、こっちのほうがあぶない気がする。丁寧に助走して、まっすぐ入るように。馬が躊躇したら、左からムチでひっぱたいてやろうかと思ってたんだけど、どうにか越えていく。
繰り返し。すこし軽い状態になってるんだけど、前の馬がスタートすると勝手についてきそうな部分あるんで、常歩でコンタクトをとる、ほら譲れ。
私の障害は、いつも「飛ぶのは馬」と思ってるんで、なんとなーく障害の前につれてくだけで、ときどき裏切られてビタって止まられるんだけど、きょうは気合いで突破してく。
二度目の右手前は、一本目をまたいだあたりで、すこしあやしい感じがしたから、後半の三本は「ハイ!ハイ!ハイッ!」って声かけて突破してく。
あまりに大きい声だったらしく、周りは何事かと思ったみたいだけど、美浦ではこのくらいふつうだったんだけどなあ。都会のインドアアリーナでは、こんな乗り方は野蛮なのかなあ、笑われちゃった。
声は大事だと思うんだけどねえ。私の場合、ムチは最終兵器なんで、できるだけ振るいたくない、だからその前に声を出してみたんだが。
私が大なり小なり声を出して乗ってるのは、声と身体の動きは同調せざるをえないってのを利用してる部分もある。
大声で叱咤すれば、自然と脚は圧していくことになるんだろうし。怖々無言で乗ってるときよりは、弱くなって逃げられちゃうことは少なくなるんぢゃないかと。
逆に、「リラックスぅ!」とか「楽しくぅ!」とか言ってるときは、脚や拳をギュッギュすることはない。人間、笑いながら無駄な力を入れることはできないよ。
そんなこんなで、障害をまたぎきったら、まっすぐ走らせてって、脚入れて起こすつもりでスローダウン、止まる。
ウチに帰るまでが遠足、停止するまでが障害。飛んだあと、勢いのまま適当に馬の行きたい方向へ回転なんかしちゃってはいけない。そこで流しちゃうと、経路だったら次の障害に迎えないことになる。通過したあとも、しっかり制御下にある駈歩を心掛けて、止める。
止まったら、そこでベタボメ。「グーッド! 上ぉー出来ぃ! やりゃあできるぢゃんかよー!」って、ここでも声は出すんだけどね、馬撫で声。
ペチペチペチペチ、馬のクビをたたきまくる。要求したことができたときは、どんなにホメても足りないことはない。
できてきたんで、次は「最初、フワーっと入ってきて」ということになり、止まるの怖いんだけど、少しラクに入ってこうとする。
でも、油断すると回転のとこで、あやしくなる。線を引いたレーンはないんだけど、「この車線行くと前に棒が置いてあるからヤだよぉ、左か右を通ろうよ」って馬が言ってる感じがちょっとする。内の脚で推進。フワっと入るけど、結局ふつうの駈歩みたいにグイグイと通過してく。
はい、だいたい出来たところで、きょうは終了ーっ。
速歩でクールダウン。まだエキサイトして速くなりたがるのを、ゆっくり歩けるようになったら、ホメてやる。手離せないときは、声かけてホメる。
途中大声出しちゃったけど、ムチなんか無用に振るわずに、今日は一回一回、うまく通過したらホメてやることを意識して、まあまあできたんぢゃないかなって思う。
終わってから思ったけど、天蓬くらいのパワーがないと、あんな背中押した状態で垂直のバウンスすんのムリなんぢゃない? 後半は、ツーポイント気味にして、ふつうの馬みたいに越えていけるか、試してあげればよかった。
でも、前傾でビタ止まりされたら、俺きっと落ちるだろうし。
よくがんばってくれたんで、ホメてホメて、洗ったあとは、リンゴやる。まあ、それはいつものことなんだけど。