乗馬にいく。
きょうは寒いよ、風が冷たい。週に一度しか来ないと正しい比較はできないが、バケツに氷も張ってたし、私が出てきたなかでは今シーズンいちばん寒かったのでは。でも、乗るときには、ウィンドブレーカーは着ないけど。
きょうはひさしぶりのリニモスター。
なかなか手ごわいよ、最初動こうとしないことあるし。
馬房から出そうとしたとき、折悪しく乾草など食べてたから、まあ機嫌の悪いこと。
耳絞ってうるさくしてんだけど、ハミまでつけちゃうと、おとなしくなるんだよね。
おとなしいというより、運動してくれる気みせてくれないっていうのか。
さて、またがって他のひとより早く馬場に入る。列になって始めてから止まったりしたら迷惑だから、その前にエンジンをかけておきたいと思った。
やってみると、前やられたように、速歩いくときにゴネたりとかってことはない。これならひどいことにはならないかなと思ったのが甘かった。
早いうちに景気づけで駈歩やっとこうかと思ったら、うまく出ない。スーパー速歩になっちゃいそうだから、すこし詰めてからと思うと、手が強すぎるのか前進気勢を殺してしまう。
困ったなあと思ってると、きょうは、参加人員の関係で、部班が不成立だから、そのまま広いとこで乗れということになった。
輪乗りで軽速歩するんだけど、前には出ないわ、内を向いてくれないわ、そのわりには内に入り込んでくるわで、グダグダ。
「ギューと挟むような脚の使いかたは、それで反応があるならよいが、反応しないのに続けても効果がなく、人も疲れるだけ。使ってみて反応がなければ、軽く蹴飛ばす、ムチを使う、といったことに切り替えて。」
「脚をずっと使わなきゃいけない状態では、いい姿勢で乗ることはむずかしい。前に動いていく馬に乗っていくことができればラクになるのだから、もっと動かして。」
ということで、脚つかったのに前出てくんないから、脚のうしろでムチをチラチラさせるんだが。
「もっとやっていい。持ってるだけでは、ムチの意味を馬はまったく気にもしていない。動かなかったら、ムチをいまと逆に持って、馬の尻を強く叩いていい。」
ってんで、いつもはムチの先は小指側にあって、手綱持ったりしてれば自然と下を向いてるんだが、持ち替えて親指側から天井を指す形で持ったムチを、上から下後方に振り下ろす。これぢゃ競馬だよ、まるで。
「前に出たほうがラクになると分かれば、馬も前に出る。前に出たら愛撫!」
そうかそうか、こちらの意図する方向に動いたら、プレッシャーを解除するのは馬をコントロールする基本。
「人が気おくれしてはいけない! 馬に対して常に人が上位になくてはいけない。」
はいー、“ボスになれ”ってやつですな。毅然と命令すれば、馬は服従すると同時に人を信じて、課題を達成しようとするし、それは喜びである。
「前に出ようとしてんのに、引っ張ってジャマしなーい! 前行けと言っておいて手綱でブレーキかけたら、馬が混乱する。人間は動きに遅れずについていって前へ前へ乗っていく!」
またやっちゃってるよ、ビュンって馬がスピードアップした瞬間に、ひとは後ろに取り残されて、馬との重心が一致しないでガックンガックンしてる。前に乗っていけって、いっつも言われてる。
んぢゃ、駈歩。馬も最初とは状況ちがうのわかってるから、ふつうの扶助で発進するよ。
でも、「もっと!馬場大きく使って、走らせて!」ってことなんで、あいかわらずバッシンバッシン叩くのが続きながら、走らせる。
駈歩でサラブレッドのケツにムチくれるのって、けっこうドキドキなの知ってた? もし馬がまちがって、襲歩になったら止めるべきすべを知らないって弱みがあるからね、シロウトには。
けっこうやってるつもりなんだけど、動いてないってことで、いちど先生に乗り替わり。
ところで、駈歩してる最中に気づいてたんだけど、なんと、私のムチが使ってるあいだに折れちゃった。安物のマイ鞭なんだけど、先から3分の1くらいのとこで芯が折れて、巻いてある材質でかろうじてつながってるだけでぶらぶらしてる。
ムチ折れるって、どんだけ叩いてんのさ。っていうか、馬、だいじょうぶ?(野球のバットといっしょで前から折れてた可能性はないでもないが。)
息も荒くなってしまったのを整えながら、下で見ている。速歩から駈歩、またその逆の移行するとき、人間の身体が何もぶれない、もちろん遅れたりはしない、一体の生き物みたいだ。うーむ、でも、あーは乗れないよな、見てるほど簡単ぢゃない。
さて、乗り替わって、そこらへんに置いてあった長くて重いムチを貸してもらって、駈歩の継続である。
「もっと!長蹄跡では伸ばして。…そう、そのくらい」と言われたのは、私にしてみりゃメーターの障害飛ぶときくらいのベースの感じだ。でも、まだ隅角では勝手に内に入ってくるし、ほんとに踏み込んでる感はないから、飛べないだろうけど。
んぢゃ、よくホメて、いったん休憩したら、速歩で地上横木を通過だ。
回転のとこで強く、って思ってはいるけれど、横木へ向いたのにまだフラフラしそうな感じ、強く推進して、横木はツーポイントで通過してみる。
繰り返すと、元気よく通過はしてくが、そのあと行った先で勝手に止まったり回ったりしそうになるんで、もうちょっとだけ前行かせてから止めたりする。
んぢゃ、こんどは、横木4本速歩で通過したら、そのあと駈歩をだして、その先にある横木1本を通過。
あいだの距離は20mくらいだろうか、ぼやぼやしてると駈歩でないだろうから、横木またぎおわったら流れに任せないで一度詰めるようにして、すぐ発進させる。「そのとき引っ張らない!」って、また言われちゃうよ。
こんどは反対から駈歩で入って、1本をまたいだら、速歩におとして4本またぐ。勢いつけて駈歩で一本目を突破すると、なかなか止まんない可能性があるから、入る前からコントロールしてかなきゃいけないんだけど、あまりゆっくり入ってもしょうがないし、強く前進はさせてく。
速歩に落としたときに、またバタバタすると前進気勢まで削いぢゃうから、速歩になったらなるべく早くかえしてやる。速歩での横木通過は引っ張りながら通るんぢゃなくて、手をラクにしたまま乗っていきたい。
んぢゃ、次は駈歩で入ったら、歩度をつめて、駈歩の歩幅の2本に減った横木を詰めた状態でまたぐ。ブレーキかけたあとは、すぐかえしてやって、拳に力を入れずとも詰めた駈歩のまま、リズムよく通過したい。
そしたら、最後、後半の横木を40センチくらいの垂直に変える。「これは障害ぢゃなく横木のつもりで、人間が飛ばしにいってはいけない。」うーん、一歩余計に入れるくらい近くまでいって、ポッコンとまたぎたいんだけど、できるかなあ。
最初の左手前では、まあまあ、詰めたあとも引っ張らない状態で駈歩維持できて通過したんだけど、次の右手前では真ん中から速歩になっちゃった。そのまま強引に飛んぢゃったけど。
思うに、その前から、右手前のときのほうが、気持ち外というか左に逃げてく感じがある。それを直そうとジタバタすると、結局止めちゃうんである。でもねえ、横木だったら多少左右に寄ってもいいけど、障害だと端に傾いてくのは、やっぱ怖いからねえ。
もう一回やって、なんとか遅れないイメージで乗って行けたとこで、終了。
「横木始めてから、良くなった」って講評は、私の乗りかたぢゃなく、馬へのホメ言葉だな。前もそうだったけど、障害飛んだりすると、何をどう覚悟をきめるのか知らないが、けっこう前向きになるんである、リニモスター。
でも、不思議なことに、ムチでぶったたいたときも(こないだ別の人が乗ってたときもそうだったんだけど)、決して暴走したり、ハネたり、ひとのこと落としてやろうとしたりとかって、そういうのがない(安心して叩ける?)。
でもでも、これって、基本的にはお利口さんなのに、やっぱ乗ってるひとナメて、どこまでサボってもいいか試してるとしか思えない。
(どうでもいいけど、へとへとになった日は、馬の写真を撮ってる余裕がない。)