many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

サーベル・タイガー

2024-12-20 19:34:12 | マンガ
星野之宣 1981年 双葉社アクション・コミックス
これはことし9月の古本まつりで買ったマンガ、「星野之宣SF傑作集」ってサブタイトルだけど、そういうこと。
なんか、全部読もうとか思ってるわけぢゃないけど、古いのとか見かけると興味ひかれちゃう、星野之宣。
本書の収録作の初出は、1980年から1981年、おそらく「ジャンプ」集英社との専属契約が終了した直後ぢゃないかと。

「サーベル・タイガー」
氷河に覆われてる時代で、サーベルタイガー(大きい牙もった肉食獣ね)とマンモスが争っているような場所に、原始人類もちょろちょろしてた。
そこへ2479年から未来の人類がやってきて、将来の人類絶滅をふせぐために原始人類を生き残らせようというミッションを実行する。

「アダマスの宝石」
惑星アダマスへは最新の宇宙船でも往復200年かかる距離がある、過去に幾多の宇宙船が向かったが帰還したものは一隻もない。
それでも調査探検に向かうのは、そこには、それを持つものに永遠の命をもたらすと信じられている伝説の黒い宝石があると言われているからである。

「サージャント」
砂漠を舞台にして戦争が行われているが、ひとつの分隊の規模は頭脳戦車(コンク)と兵士5名程度、そのなかでもリーダーである軍曹の地位は頭脳戦車のもの。
ともすれば人間が機械の足手まといになるような戦闘が展開される、なんか大友克洋の「武器よさらば」(『彼女の想いで…』所収)を思い出した。(あっちは1981年作品)

「ユニコーンの星」
人類が宇宙で初めて発見した地球型惑星へ、本格的な有人探査が向かうと、大気の構成をはじめ地球環境に酷似した惑星で、見渡す限りの草原がひろがってた。
馬・牛・犬・猿・白鳥・蟻など数頭ずつの実験動物を放って、適応できるか調査が始まるが、やがて動物たちはおびえていながら、群れ集おうとしなくなる。

「タール・トラップ」
地中から浸み出したタールや天然アスファルトのどろどろした底なし沼のようなプールを舞台にした三部作。
古代の象マストドンと原始人類の話、洪水がくるので箱舟をつくってアスファルト防水をしようとする家族の話、現代のタールトラップで化石発掘隊がタールにはまってしまう話。

「冬の惑星」
永遠の冬の惑星グインIIは、自転速度が速くて1日の長さが地球の1/3しかない、星の住民の寿命は短く、地球時間でせいぜい1年半くらい。
言葉を持たない住民の子どものひとりに案内させて、洞窟のなかにある氷の森を探査隊が発見する。
この作品はなぜか左から右へ進む、巻末ページから横書きの本のようにめくってって読むような仕様になっている。
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古本屋台2

2024-12-13 19:54:19 | マンガ
Q.B.B.(作・久住昌之/画・久住卓也) 二〇二四年二月 本の雑誌社
これは、出てんのずっと知らなくて、出遅れたーとあわてて、ことし9月ころに買ったマンガ。
(買っちゃったら安心して、しばらく読まずにいるのは、いつものこと。)
続巻あるとは思ってなかったよ、第1巻の発行は、ふりかえってみたら2018年だもん。
いいなあ、6年にいちどくらい単行本が出るマンガ、ものすごいゆったりした流れだ、少年誌連載ものだと巻末に、もう次巻の発売予定日が宣伝されてたりするけど、せわしないよねえ。
しかし、次も6年後だとしたら、私は生きてるかどうかわかんないかもしれない、こまったもんだ。
それはそうと、第一巻を読みなおしたら、最後の数ページは書き下ろしで、なんか物語はおしまい的な雰囲気で、最後のコマの隅には「終」って書いてある、そうだよな、続きあるとは思ってなかった俺、まちがってないよな、って気がした。
いま調べたら、第一巻の後半は初出が2017年ころの「小説すばる」、今回の初出は2019年から2020年の「月刊こどもの本」と、「本の雑誌」の2020年から2023年、やっぱ一回終わったものとしていたのを、再立ち上げしたのかな。
(コロナ流行のころなのかな、登場人物がみんなマスクしてるときがある、当然ながら誰も死んだりしてないけど。)
って、いま気づいたら、一巻は集英社で、今回は本の雑誌社じゃん、本の外観おんなじだから出版元変わってたなんて、全然わかってなかった。
なかみは、なんも変わってない、夜に営業している屋台の古本屋、提灯が下がってる、ときどき出る場所変わったりする。
サービスで焼酎一杯を100円で出してくれる、冬はお湯割り、夏は氷入れたり、ただしお代わりはない、「ウチは飲み屋ぢゃないんだから」って言われちゃう。
店主のオヤジが渋くて渋くて、でも機嫌損ねると、「あんたら声が大きいよ」とか「帰んなよ」とか言われちゃう、そう言われるのは通過儀礼みたいなもんで、この屋台気に入ったひとはそれでも常連になっちゃう。
ちょこちょこと出てくる本の数々も多彩なラインナップで、気になるものもあるんだけど、本書ではとうとう巻末に「登場文献一覧」なるリストまで用意してくれちゃってる、読んだことないもの多いけど、今後読もうとするかどうかはわからない。
どんな本かって登場人物たちの話にあがるものもあるけど、ただその本の表紙の画だけが、関係ないセリフのやりとりのあいだに、舞台装置のように描かれてる場合なんかもあって、そういうのが渋くてたまらん。
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事件屋稼業

2024-11-13 19:59:42 | マンガ
関川夏央 & 谷口ジロー 1981年 双葉社
「新・事件屋稼業」 1~5巻 昭和58年~平成6年 日本文芸社
これは今年5月の古本まつりで、6冊セットで買ったマンガ。
けっこう迷った、買おうか見送ろうか、どうしようかと。
(ちょっと値段が高かったってのもある。)
私が「アクション」を読んでた当時、この作者コンビは「『坊っちゃん』の時代」をやってたんだけど、このマンガのタイトルは知ってた(広告があるから?)、でも読まずにずっと来ちゃったんで、すごく気になった。
(ちなみにタイトルの事件屋稼業って、チャンドラーの小説だよねえ、Trouble is my business って。)
で、まあ勢いで、えいやと買ってしまった、古い本を揃いで手に入れる機会って、なかなか無かったりするからねえ。
そのあと、例によって買って安心してしまって、しばらく積んどいたんだけど、夏が終わってからようやくボチボチ読んだ。
主人公は私立探偵の深町丈太郎、1948年生まれで物語の開始時には32歳で、いつまでも若くないとか既に言われてっけど、最後には47歳になってる、ちゃんとトシとってく。
探偵事務所の場所は、歯科医院に間借りしてるかたちで、横浜のどっか山下公園とかに近いエリアっぽい、いいっすね、昭和のころにはそんなにキレイなイメージの街ってわけでもなかったし。
探偵ものなんで、まいど何か依頼が持ち込まれて、かと言って名探偵ものぢゃないんで不可能犯罪とか怪盗とかぢゃなく、人探しとか現実的な地味なやつだったりすんだけど、まあそれらを解決してく。
ときどき、アブナイ裏社会と関わってしまうこともあり、意外と銃撃戦なんかする頻度は多くて、そこは古き良きテレビドラマに近いようなものあるかも。
暴力団のえらいひととも友だちなのはいいとして、地元警察の悪徳刑事なんかにあれこれせびられたりしながら、稼業をしのいでくさまが描かれてんのが何かおもしろい。
1970年に外科医と結婚して、翌年には娘が生まれたけど、1976年には離婚と、やたら詳細な設定あるけど、元妻には未練たらたら、娘に月2回会えるのはけっこう楽しみとか、そういうのも物語をおもしろくしてる要素ではある。
うん、読んでくうちにだんだんおもしろくなってくるな、これ。
最初のほうは、ちょっと設定凝りすぎっていうか、力入りすぎてるような印象受けるんだけど、3冊め(「新・事件屋稼業2」)くらいからが、いい感じになってくる気がする。それぞれの登場人物も自然に動きだしているというか、そんな感じ。
谷口ジローの画も、そのへんからが、すごく見やすい(私の知ってる画ってことかな?)ような気がする。
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ヤマトの火

2024-10-09 19:12:42 | マンガ
星野之宣 1984年 集英社ジャンプ・コミックスデラックス
これは、ついこないだ9月の古本まつりで見つけて、ちと迷ったけど買ってみたマンガ。
特に、絶対集めるとか、読んだことないものは読むとか、決めてるわけぢゃないんだけど、私にとっての星野之宣、なんか古いもの見つけると気になって買っちゃう。
お話のなかみは、父親が独自に研究してた「火の民族仮説」ってのを、運命に導かれるまま引き継ぐというか確かめようとしていく、北海道出身の青年が主人公で。
縄文時代から日本列島に住みついた、火山を信仰する民族ってのがいて、活動中の火山を求めて列島のなかを北へ南へ移動してたとしたもんだが。
その痕跡としての火焔土器は、関東から北陸にかけての中部火山帯のまっただ中でしか発見されていない、とか言って、縄文・火の民族の最古の遺物だったのではって力説する、いいですね、炎のごとく激しい情念の造形。
沖縄で火の女神を祭るのを見に行ったら、大昔からその信仰をつづけてる巫女たちってのは、もともと古代に日本本土から来たはずだってことになって。
九州の阿蘇へ行くと、折しも大噴火が始まるんだが、古代にも阿蘇の大噴火があって、このあたりに火山を信仰する火の民族が存在したのだ、って遺跡をめぐったりして。
そんで、古代阿蘇の大噴火に、このへんにあった邪馬台国と卑弥呼のほんとうの秘密が隠されてるんだ、って仮説はどんどんエスカレートしていく、楽しい。
物語のなかで、銅鐸が出てくるんだけど、実際のところ銅鐸ってのはモノは出土してるけど何に使ったかわかんないはずなんだが、火の民族が火山信仰の祭祀に使ったんだってことにして、こともあろうに、古代には高さ10メートルくらいの超巨大銅鐸が作られていたはずだ、みたいな展開になってく。
いいですねえ、神話とか伝説とか宗教とか民俗とか全部ぶちこんでつくりあげる、壮大なウソ、好きです、そういうの。
それはそうと、おはなし盛り上がってきたなあと思ってたところ、途中で終わっちゃってます、最後のページには「第1部―火の民族仮説/完」ってあるんだけど、この単行本は第1巻とかって表記されてるわけでもなし、おいおい続きはどこ行くのと思うんだが。
困ってしまって、しかたないんで頼れる資料の『総特集星野之宣』で調べてみると、年譜の1983年のところに、
>「週刊ヤングジャンプ」9月8日号より『ヤマトの火』の連載を開始するも、緻密な作画が週刊ペースにおいつけず14回で中断となる。
って、ある。なんだあ、そりゃ。
で、作者へのロングインタビューの記事のなかを探してみると、
>本来は卑弥呼を主人公にして『妖女伝説』のひとつとして描くつもりだったんです。ただ、『妖女伝説』というシリーズの中で描くにしてはテーマが大きすぎる。
と、きっかけにふれたあとで、中断については、
>『ヤマトの火』を描くまでに2年ぐらいかかってるんですよね。その間、ほとんど仕事しないで準備してたんですよ。ただ、結果的にちょっと力が入りすぎちゃって。「ヤングジャンプ」という週刊誌に連載したんですけど、最初から14回ぐらいで終わるつもりというか、そこまでしか下描きの原稿がなかったので、それをペン入れしながら連載するという状況で。それすらも最後はペン入れが追いつかなくて途中で終わっちゃってるんですけど。
と語っている。
うーん、とくにジャンプ系は壮大なもの描くのにいい環境ぢゃないかもしれないしなあ、そもそも私が星野之宣に興味もった最初の『ブルーシティー』も、時間に追われたのか途中で終わっちゃったしねえ。
で、本作のつづきを知りたかったら、1986年から1991年までかかって月刊誌に連載して、コミックス全6巻になった『ヤマタイカ』を読めということらしい。
どうすっかなあ、わざわざ探しまわるってほど入れ込んでる感じでもないし、揃いの古本でもたまたま見つけたら買っちゃうのかもしれない。
本書「第一部―火の民族仮説」の目次は以下のとおり、各話のタイトルみると、なんか雰囲気あっていいでしょ。
序章 北海道
第1章 沖縄
 仮説(1) ニライカナイ・祭(マテイ)
 仮説(2) 女神再臨
 仮説(3) 古代巫女団
 仮説(4) 火・焔・銅・鐸
 仮説(5) 阿蘇火山
第2章 火の国
 仮説(6) 超古代銅鐸・オモイカネ
 仮説(7) 邪馬台国
 仮説(8) 火山列島
 仮説(9) 起源・火の国
 仮説(10) 卑弥呼=アマミキヨ!?
 仮説(11) 火の巫女王(シャーマンキング)
 仮説(12) 阿蘇大噴火
 仮説(13) 邪馬台国滅亡
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電動バナナ倶楽部

2024-08-08 19:41:58 | マンガ
原律子 1988年 スコラ・バーガーSC
これは、ことし3月の古本まつりで見つけたもの、なんかめずらしい気がして買ってしまった。
原律子って、『フロムK』の「風雲原律子」が私にとってはいちばん情報量多いくらいで、ちゃんと読んだことないなー、とか思ったもんで。
なんか「スピリッツ」で連載してなかったっけ、詳しいこと細かいことおぼえてないが、それくらいの記憶しかない。
本書は、巻末初出一覧によると「スコラ」で1984年から1985年に連載していたという、「電動バナナ倶楽部」が中心で、全部で160ページくらいの単行本だけど90ページくらいを占めてます。
連載の一回あたりは3ページで、全30回つづいたようですが、ほかには「月曜漫画」という作品が「サンデーまんが」で4回連載されたものだけど、あとの収録作は1985年ころの時期に、あちこちで単発で掲載された2ページとか4ページの作品を集めたってところ。
そのへんの仕事量が、『フロムK』で言われてた、締め切りを守らないとか、編集からの電話に出ないとかってあたりと、関係あるのかどうかはわからないけどね。
初めて読むものばかりだったんだけど、それにしてもなー、内容は、予想してたよりすごいなって感じ、感想を言えといわれても困ってしまう。
『フロムK』のなかでは初期の作品について、「スケベネタは充分にやらしく かつ可愛らしさがあった」と評されてて、そういうの期待してたんだけど、このころにはもう独自路線を突き進んでんのか、あんまりカワイイって感じはしない。
よく言われることだと思うけど、下品なネタのオンパレードである、おもしろいかって言われても、答えようがない。
(うん、いつもだと、収録作のタイトルをずらっと書き並べるんだけど、ちょっと本書の場合は、ブログの品性疑われちゃったらヤだなというワードがあるので、やめておく。)

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