増田俊也 平成25年 角川書店
北海道・札幌に行ったつながり、というわけでもないんだけど、たまたま。
最近、買って、読んだ本。
文庫で読んだ、著者の「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」がムチャクチャおもしろかったんで、書店でこれを見かけて、ああ?小説も書くんだ?と手に取って、きっとおもしろいんだろうなと期待して、今回は文庫化を待たずに買った。
知らなかったなー、格闘技のノンフィクション書くひとが、ホントに柔道経験者だったとは。
著者は北大柔道部出身。
タイトルにある「七帝柔道」ってえのは何かっていうと、「木村政彦は~」にも採りあげられてたんだけど、寝技中心の、現代の講道館柔道、国際化された柔道においては失われてしまった体系をひきつぐ、総合格闘技の要素を残した柔道。
旧帝大の七校、北海道・東北・東京・名古屋・京都・大阪・九州大学だけで、年に一回そのルールでの大会を開いてるんだが、そのことは一般紙はおろか柔道の専門誌にも載ることはないという。
ときどき、講道館ルールへ移行しようかと言い出す大学もあるんだけど、「われわれがとるべき道は高専柔道を受け継いだ武道としての柔道である」「本物の柔道が日本から消滅してしまう」「寝技でなければわれわれが柔道をやる意味すらなくなってしまう」という意見が大勢で、伝統が守られる。
著者は高校のときに、その入り口に触れて興味をもったがために、2浪して北大に入学し、柔道部に入るんだが、その練習は想像を絶する厳しさだった。
寝技中心の柔道は、体格やセンスなんかを問わず、練習だけでその技術を取得して磨いていくことができるという。
「練習量がすべてを決定する柔道」をつくりあげようとしてるんだが、そのかわりに、試合に負けたら、強くなることができなかったら、「それは努力が足りないからだ」と自分に責任がかえってくる。
だから、練習は厳しい。ものすごい乱取りを延々とやる。
そして、試合の日がやってくる。一本以外の判定などなし、十五人の勝ち抜き戦。
キャリアの浅い一年生に与えられた役割は、勝ちにいくことぢゃなくて、相手の攻撃に耐えて引き分けること。
いままでの練習で、何度も意識がなくなるまで痛めつけるような乱取りを一年生相手に繰り返してきた主将が、試合前に「おまえならできる」と檄をとばす。いいなあ、熱くなる。
全般的に熱いものが流れてる小説だけど、ここんとこがいちばん好きだった。
でも、いちばんおもしろいのは、新歓合宿の最終日に、真の北大柔道部員になるための通過儀礼として「カンノヨウセイ」という伝統行事に参加しなくちゃいけないとこだったりする。
北海道・札幌に行ったつながり、というわけでもないんだけど、たまたま。
最近、買って、読んだ本。
文庫で読んだ、著者の「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」がムチャクチャおもしろかったんで、書店でこれを見かけて、ああ?小説も書くんだ?と手に取って、きっとおもしろいんだろうなと期待して、今回は文庫化を待たずに買った。
知らなかったなー、格闘技のノンフィクション書くひとが、ホントに柔道経験者だったとは。
著者は北大柔道部出身。
タイトルにある「七帝柔道」ってえのは何かっていうと、「木村政彦は~」にも採りあげられてたんだけど、寝技中心の、現代の講道館柔道、国際化された柔道においては失われてしまった体系をひきつぐ、総合格闘技の要素を残した柔道。
旧帝大の七校、北海道・東北・東京・名古屋・京都・大阪・九州大学だけで、年に一回そのルールでの大会を開いてるんだが、そのことは一般紙はおろか柔道の専門誌にも載ることはないという。
ときどき、講道館ルールへ移行しようかと言い出す大学もあるんだけど、「われわれがとるべき道は高専柔道を受け継いだ武道としての柔道である」「本物の柔道が日本から消滅してしまう」「寝技でなければわれわれが柔道をやる意味すらなくなってしまう」という意見が大勢で、伝統が守られる。
著者は高校のときに、その入り口に触れて興味をもったがために、2浪して北大に入学し、柔道部に入るんだが、その練習は想像を絶する厳しさだった。
寝技中心の柔道は、体格やセンスなんかを問わず、練習だけでその技術を取得して磨いていくことができるという。
「練習量がすべてを決定する柔道」をつくりあげようとしてるんだが、そのかわりに、試合に負けたら、強くなることができなかったら、「それは努力が足りないからだ」と自分に責任がかえってくる。
だから、練習は厳しい。ものすごい乱取りを延々とやる。
そして、試合の日がやってくる。一本以外の判定などなし、十五人の勝ち抜き戦。
キャリアの浅い一年生に与えられた役割は、勝ちにいくことぢゃなくて、相手の攻撃に耐えて引き分けること。
いままでの練習で、何度も意識がなくなるまで痛めつけるような乱取りを一年生相手に繰り返してきた主将が、試合前に「おまえならできる」と檄をとばす。いいなあ、熱くなる。
全般的に熱いものが流れてる小説だけど、ここんとこがいちばん好きだった。
でも、いちばんおもしろいのは、新歓合宿の最終日に、真の北大柔道部員になるための通過儀礼として「カンノヨウセイ」という伝統行事に参加しなくちゃいけないとこだったりする。