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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

柳生秘帖

2015-06-30 16:36:21 | マンガ
谷口ジロー・[原作]古山寛 平成27年2月 リイド社
2月だったか、なにか谷口ジローの画がみたくなって、「千年の翼、百年の夢」を買ったときに、近くにあったんで、ついでに買ったんぢゃないかと思う。
正確なタイトルは、「柳生秘帖 柳生十兵衛 風の抄」である。
ほかの抄があるのかどうかは知らない、私の知る限りではなさそう。
新しいものかと思ったら、1992年に出たものの再編集版だそうで、まあこうして私みたいにオリジナルを知らなくて買う人間もいるんだから、出版してみるものである。
こういうの、なにかのついでに商魂たくましく、改版して出してくれるのはいいんだけど、この機にでも買わないでいると、あっという間に絶版になっちゃうに決まってる。
そういうのが困ったもんで、名作を復刻とかなんとか売り文句つけるんだったら、そのときだけぢゃなくて、長く扱ってくれないとウソである。
ま、それはいいとして。
主人公は、柳生十兵衛三厳、私は三厳(みつよし)って名前は知らなかったんだけど、柳生宗矩の有名な息子だ。
で、柳生家に代々伝わる徳川幕府の命運にかかわるような文書が盗まれたんで、十兵衛が奪還しにいくのだが。
実はただの泥棒のしわざぢゃなくて、後水尾上皇が黒幕となって幕府転覆の計画が進行してたんだけど、そいつを食い止めるのがホントのミッションとなっている。
私は、時代劇ってぜんぜん興味なくて、時代小説ってのか歴史小説っていうのか知らないけど、その手のジャンルはほとんど読まない。
なので、柳生新陰流・無形の位、とか言われても、ちっともドキドキしない。
しかし、谷口ジローのマンガなら楽しいねえ。
(きっと、そういう小説好きだったりしたら、想像するしかなかった剣術の形がリアルなビジュアルとして描かれてんの見て、オオッ!とか思うんだろうけど。)
ああ、あと『バガボンド』ってのあるぢゃないですか、長く続いてるらしいマンガ、あれはアタマの数冊を読んだことあるんだけど、完結したらぜひ読んでみたいと思ってる。早く完結しないかな、マンガは完結したのを読むべきだよ。
(そのときは、先に吉川英治の『宮本武蔵』を読んでから行くんだろうけど。実家のどっかにあったんだけどな、たしか。読んでないんだ、これがまた。)
そうそう、あと白土三平の『忍者武芸帳』は読みたいんだよなー、と思いつつ幾年かが経ってしまっている。どっかでまとめて古本買えないかな。
おっと、そんな私の物欲のことはどうでもよくて、本作のいいところは、プロローグとエピローグが、明治31年のことで、江戸を無血開城した勝海舟翁が、この柳生秘帖のもつ役目について語るというつくりである。すばらしい。
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下乗りの役は果たせず

2015-06-29 18:48:14 | 馬が好き
乗馬にいく。
きょうの馬はおりこうさんのフラッシュだ。

春、新年度に入ってからは、激務が続いたらしく、しばらく疲れてたみたいだけど、今日あたりは、なんかもう暑くて疲れてるっぽい。
軽くやろうね、軽く、俺も暑いとバテちゃうし。
先週同様、初級者とペアを組むことになったので、まあ経験を積んでもらおうということで、馬装については大概任せてしまう。あー、こらこら、頭絡をかけるとき真正面から迫ると、馬下がっちゃうよ。
ということで、できあがったら、私がまたがって、馬場へ。
常歩で蹄跡まわりながら、めずらしく馬上体操をする。
さてさて、全馬がそろうころには、列の先頭に立たされてしまう。しかたないなー、私も他人がフラッシュ乗ってるの見ると、「それ先頭だよ」とか言っちゃうことあるし。
んぢゃ、速歩スタート。ありゃりゃ、なんかピョコタンとして、浮き上がるような足どり。おいおい、いきなり走り出しちゃうんぢゃないだろうね。
手綱をあまりギュウギュウと持たずに、あとはとにかく前に動かす。
ハミをガチッと馬に当てて、バンバン追い立てるような傾向が私にはあると思うんだけど、前に進むのにジャマなだけみたいなので、もうちっとユルユルと乗る。
先週、なんかヘンなつまづきかたをしてたの見た気がするんで、ちょっと警戒して乗る。
なんか隅角で内に入ってきちゃうんだけど、できればキッチリ回ったほうがいいが、馬のバランスが崩れそうだったら、内に入ってもいいのでリズムよく動かすことを優先させる、ということで、テキトーに乗っててしまう。

本日は、往復手前変換を何度かくりかえす。あまり普段やんないんで、図形のイメージがなく、なんかダラダラとしてしまう。
ほかにも、巻乗り、半巻きするんだけど、回転動作に入るときに、なんか遅くなりそうなので、もうちょっと動かそうとする。先頭がスローダウンすると、後続がやりにくいしね。
しかし、動いてないなあ。なにか次の図形に移ろうとすると、すぐふらつく、すると「動いてないからフラフラする」と指摘される。
直線上でも、「その速歩は、よくない。動いてない」と何度も言われる。
常歩から速歩への移行も、スパッといかない。
いい常歩をして、一歩目からいい速歩を出さなきゃいけないんだけど、なんか惰性でソロソロと動いてからようやく踏み出すのがやっと。
いい速歩をして、前に動いていく馬につれてってもらって、正反撞でいっしょに動いていってから、軽速歩に移るんだけど、なんだか止まってしまいそうで、なんどもジタバタとムダに脚を使う。扶助がとおってないってやつだ。
以前に比べると、手を前に出すように意識してんだけど、「拳あげない。肘を体側につけて。胸の前を広くする」と、姿勢がなっちゃいないことを指摘される。

んなこと繰り返してたけど、やがて輪乗りで駈歩。
フラッシュにほかの人が乗ってるとき、ナンチャッテ駈歩をするのを見かけるので、ここは気合いを入れて出すと、意外といい駈歩をしてくれる。
(ナンチャッテ駈歩というのは、前肢は駈歩っぽい構えなんだけど、後肢はついてこないというか踏み込んでなくてパランパランしてるのをいう。)
最初の何歩かをとにかく動いてくれること優先で走らせていく、あとはコンタクトをとるようにする。
おっと、けっこう躍動感あるよ、この駈歩、楽しい。
速歩で動いてくれてなかったのがウソのよう、駈歩のほうが乗りやすい。
調子にのって、馬のうえで動いていく。股関節と膝の関節と足首の関節の動きを一歩ごとに意識することできるのは、めずらしい。
駈歩のあと速歩にすると、えらい勢いのいい速歩なのがふつうなので、そのときに前に前にと乗っていけるように意識する。速い速いよとか言って、あわてて身体を折り曲げてムダに手綱引っ張ったりしないように。
といったあたりで、練習終了、選手交代。
二班目では、一転して最後尾につけたフラッシュだけど、なんかタラタラとしてる。
「ひと見るからなー」とは周囲の評だけど、私が乗ってるときも、実はちょっと号令で動いてるっぽいとこはあった。
動かないのは、一鞍目の私の乗りかたが、フラッシュの目を覚まさせてなかったって部分もあるから、もうしわけないねえ。

おわったあとは手入れして、最後リンゴやる。なんか途端にいい顔になるから面白い。
どうでもいいけど、ウチ帰ってきてから調べたら、フラッシュ乗ったの、去年の7月以来だって、そんなご無沙汰だったっけ?
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持ち重りする薔薇の花

2015-06-25 21:25:57 | 丸谷才一
丸谷才一 平成27年4月 新潮文庫版
前回から、「持ち重り」つながり。
持ち重りする薔薇の花って、なんのことかっていうと、作中で重要登場人物のひとりが、
>そして、クヮルテットといふのは四人で薔薇の花束を持つやうなものだな、なんて思ったんですよ。(略)
>いや、薔薇の花束を一人ならともかく四人で持つのは面倒だぞ、厄介だぞ、持ちにくいぞ、なんて思ひ返した。むしろ惑星を四人で担ぐほうが楽かもしれない、なんてね。(略)
と言って、それに対して聞いていた、この物語の語り手役のひとが、
>それで、「薔薇の花も惑星も、どちらも重さうだな。惑星が重いのは当り前だが、薔薇の花束も見かけよりずつと持ち重りしさうだ」なんて答へました。(略)
と答えた。
ということで、クヮルテット、弦楽四重奏団のおはなし。
財界総理と呼ばれたかつての経済界のトップが、いまは名誉会長職になってんだけど、知合いのジャーナリストに、若い友人たちのつくるクヮルテットにまつわる話を語る。ただし、関係者が全員亡くなってからぢゃなきゃ、出版しちゃダメという条件つきで。
その有名な弦楽四重奏団は、ブルー・フジ・クヮルテットといって、第一ヴァイオリンの厨川、チェロの小山内、第二ヴァイオリンの鳥海、ヴィオラの西の四名が結成したもの。
彼らと知り合ってグループ名を命名したところから、成功のきっかけをつかんだころの話、やがてゴタゴタがあってメンバーが喧嘩別れする話など、いろいろ。
…しかし、うまいなあ。
財界トップが、半生を回顧するなかで、自分の経歴や経営のこととときにからめてクヮルテットの歴史を語るという、そのつくりもうまい。
そして、独特のキャラづくり。なんかの作品(なんだっけ?「たった一人の反乱」だ)で、ことわざ故事成語の類をちょっとズレて使うというキャラがあったんだけど、この作品の第一ヴァイオリンの奏者は、あだなが「プロフェッサー」といい、秀才の姉の受験英単語集を丸暗記して育ったせいもあって、妙にむずかしい英語の語彙を用いる、っていうキャラである。
なんか、すごい設定だが、それが設定の説明だけしてんぢゃなくて、ほんとにそういう言動を描くんだから、すごい。
あと、いつものことながらの旧仮名づかいだけど、すらすらと読ませてくれる。ホント文章うまい。なんだろう、リズムがいいのかな。
この小説が、著者最後の長編ということで帯やカバーに紹介があるが、ちょっと、またいくつか読み返してみたくなってきた。
(まだ読んだことないものも、いっぱいあるはずだし。)
音楽というものについても、いままで私は知らなかったんだけど、著者はかなり詳しくて、
>それに五重奏曲そのものが、四重奏曲と違って緊密な構造ぢやなくて、奏いてて気楽だつてこともあるらしい。
>うん、このことはいつか君としやべつたこともありましたね。聴いてるほうにとつてもクィンテットのほうがくつろげていい、なんて。(略)
なんてサラッと書いてるとこなんかにも、そういうものを感じたりする。
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サンドウィッチは銀座で

2015-06-23 18:27:25 | 読んだ本
平松洋子 画・谷口ジロー 2013年 文春文庫版
食べものに関するエッセイって、よくあるんだけど、基本的に私はそんなに読もうって気になることがない。
今回、これ買ったのは、「画・谷口ジロー」ってあったからで、それにつきる。
しかも、パラパラっと書店で手に取って見てみると、最後のほうに、谷口ジローによる『夫婦善哉』があったんで、これは欲しくなった。
(ということで、前回からは夫婦善哉つながりなんだが。)
エッセイのなかみは、うんちくならべるだけとかってんぢゃなくて、実在の店の実際の料理がたくさんあげられてるとこがいい。
例えば、「サンドウィッチは銀座で」の章は、
木村屋總本店の「小海老のカツレツサンド」(月~金は日替わりサンドウィッチもある)、
洋菓子舗ウエストの「トーストハムサンド」(あったかなハムとこんがり焼いたパン)、
はまの屋パーラーの「スペシャルサンドゥイッチ」(レタスときゅうりとトマトと熱々の卵焼きとハム)、
銀座千疋屋の「フルーツサンド」(りんご、メロン、黄桃、いちご、少なめの生クリーム)、
みやざわの「カツサンド」(これはバーやクラブで出前をとる)、
ロックフィッシュの「生ハムとカマンベールのサンドウィッチ」(バーテンダーがつくる)、
チョウシ屋の「コロッケサンド」(肉屋さんの揚げたて)、
とてんこ盛りである。
それと全編通じて、昼からビール飲んぢゃうことを肯定してる感じがあって、それは私も全面的に賛成である。
あと、一読したなかで、いちばんの名フレーズは、著者ぢゃなくて、文藝春秋の編集者らしいY嬢という女性の言った、「オムライスを食べながら別れ話はできませんね」ってやつだと思った、今回。
これは日本橋のたいめいけんでオムライスを食べたときのもの、昔々一度だけ行ったはずだけど、オムライスは食べてないなあ、私は。
そうそう、最初の章では天ぷらを食べるとこがあるんだけど、
>持ち重りのする揚げたてに生醤油をつけて囓りつくと、つよい弾力がぶりっ。
って箇所があって、「持ち重り」って言葉は、私は『ドカコック』を読むまで知らなかったんだが、やっぱ一般的な表現なのかなと、妙なとこで引っ掛かったりして。
使わないけどねえ、私の周辺では。こんどっから言ってみようか。
コンテンツは以下のとおり。
・春を探しに
・それゆけ!きょうもビールがうまい
・夏まっ盛り。食べるぞ、うなぎ
・池袋で中国東北旅行
・いただきます、社員食堂
・いつもこころにオムライス
・座敷でゆるり
・サンドウィッチは銀座で
・冬を惜しんで、ひとり鍋
・熊を食べにゆく
・さらば、昭和の大衆食堂「聚楽台」
・百年も、二百年も
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普及馬のカガミ、に乗る

2015-06-22 20:34:16 | 馬が好き
いつも月曜日は仕事が休みなんだけど、きょうは午後から出勤しなくてはいけないことになった。
さんざ迷ったんだけど、午前中はやっぱり乗馬してから、午後は午後で仕事に行くことにする。
(若いときは朝練したあとの仕事なんて何とも思わなかったんだけど、いまキツイ。)
さて、あまり体力使いたくないなあと思いつつ、出かけてけば、きょうの馬は天蓬。

うーん、ちゃんと乗れるかなあ、いまいち自信ない。
きょうも大概の馬は1頭に二人乗るんだけど、私とペアを組むもう一人のひとは、聞けば「今日が四回目」だという。
はぁー、そうですかー、ということで馬装。そこはもうちょっとこうしたほうがいいですよ、とか言いつつ、経験値増してもらうべくやってもらうんだが。
私もたいがい「どうぞ先乗ってください」とか言うんだが、さすがに今日は言えず、またがって馬場へと向かう。
そーかー、ぢゃあ私が乗ったあと調馬索かー、これは場合によっては少しやっつけなくちゃいけないのかな、とか思うんだけど、逆にやっつけられるのがオチかなという不安もある。
そんなこと思いながら、常歩で歩かすんだけど、なかなか思うようにはいかない。輪乗りしてるんだけど、だんだんフラフラ内に入ってきそうで、輪になんない。グイグイ歩かすべく、いろいろやる。
そんなことやってると、あとで「練習開始時刻になる前は、手綱とらないで馬に本来の歩きをさせる、勝手に運動始めない」って怒られてしまう、スイマセン。
んぢゃ、部班。前から3頭目というテキトーなポジションにつけることに成功。
最初、軽速歩中心だけど、やがて軽速歩と正反撞、速歩と常歩、って移行を繰り返す。
馬をちゃんと動かしてないと、移行が一歩目からうまくいかないっていうんだけど、なるほど、うまくいかない。
あんまりビシビシやるつもりがなくて、適当に乗ってたんだけど、隅角では内に入ってきちゃうし、第一、内を向かない。巻乗りとか、半巻とか、輪乗りとかでも、内を向かない。
困ったなーと思ってると、隅角で内を回っちゃうとか、半巻でスピードが落ちるとか、とにかく回転でフラフラするとか、内に入っちゃうとかってぇのは、馬がホントに動いてないからだ、と指摘される。
そっかー、前進してないから、回転がテキトーになっちゃうんだ、とは思うんだけど、なかなか思うようにはいかない。
隅角や輪乗りで外向いて回るほうが、よっぽど不自然だと思うんだけど、馬、平気。
なんでだろう、外向いてほうが内に肩から入っていけるからラクなのかな、四つ足で走ったことないから、そのへんのメカニズムがいまいち納得できない。
輪乗りの駈歩は、いまひとつ前進気勢が足りない気がするけど、まあそれなりに走ってくれる。
一回だけパッツンとハネた。ときどきやるのは分かってたんだけど、こういう馬に乗って、ハネられるっていうのは、人間が馬のジャマをしてるからに過ぎない、って自分では理解してるんで、あー、またジャマしちゃってたね、ゴメンね、とは思う。駈歩だしたあとは、ラクーに動かしてやって、それに乗っていきたいのにねー。
そんなこんなで部班は終了。
乗り替わって、っていうんで乗り替わるけど、天蓬の2鞍目は、調馬索ぢゃなくて部班でやるよ、という。
「え?」って顔してる人の顔見て、私は、悪いけど、大笑いする。
自然に立てますかとか聞きながら、アブミの長さ調節してあげて、あとは高みの見物、見学にまわる。
そしたら、私の不安をヨソに、部班4頭の前から3番目のポジションで、天蓬は見事に無難に立ち回る。
私が乗ってるときより、よっぽど動いてんぢゃないかな、と思う。やっぱ私なんかは馬のジャマをしてるだけ?
天蓬、恐るべし。そのあとも、ずっと見てると、私が乗ってたときより、よっぽど動いてる。
終わったあと訊いたら、「馬が勝手に動いてました」っていうんだけど、自発的に動く馬に乗ってくって、それ極意じゃん?
さすが役目をわかってる、天蓬。ムチャクチャほめて、手入れのあとリンゴやる。
残念なことに、右前のツメのとこに、たぶん追突したと思うんだけど、内出血みたいなのこさえてた。きっと俺が乗ってたときだ、ゴメン。

きょう、ほとんど写真撮んなかった。
代わりに、土曜日に撮った、東京競馬場のポニーの写真でも。

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