穂村弘 2016年10月 河出文庫版
最近出たので買って読んだ文庫。
どうでもいいけど、ちかごろブログに書くの、ここへきて新たに読んだ本のことばかりになってきている。
蔵書整理という本来の趣旨とちがうなあ、それ。
でも、むかしから持ってた本、だいたい並べ終わった感じだしなあ。
そろそろヤメてもいいのかもしれない。
さて、この文庫は、歌人穂村弘による短歌入門書。
語り口調なのは、2013年慶應丸の内シティキャンパス(あるんだ、そういうの?)の講座がもとになってるからだそうで。
ビジネスマン相手の講座だからってことで、その理由だけぢゃないかもしれないけど、単なる短歌のテクニック論におさまらないで、人生論を含んぢゃってます。
「生きのびる」と「生きる」のちがいを説いてます。それで、
>でもぼくらは、「生きのびる」ために生まれてきたわけじゃない。(略)(p.25)
と宣言してます。
「生きのびる」のほうは明確、ごはん食べて、仕事して、睡眠とって、みたいな。
「生きる」のほうは不明瞭、ひとりひとり答えが違ったりする。
「生きのびる」のほうの人間関係は代替の利く役割分担だったりする、課長が死んだら課長補佐が代わりに仕事進めるとか、
「生きる」のほうの人間関係は、代替はない、誰かが誰かにとって唯一無二の存在であることに価値がある。
で、短歌は「生きる」ほうのもので、「生きのびる」ための情報は短歌に不要だったりする。
社会のなかで「生きのびる」ための言葉は、5W1Hとかハッキリしてなきゃいけなくて、ユニークである必要はない。
でも、短歌の言葉は、一瞬「え?どういうこと?」と考えさせるようなとこがあっていい、そして唯一無二の言葉で表現されるのがいい。
そうやって「生きる」と「生きのびる」の非対称性について何度も語ってます。
「生きる」のほうに触れてこそ人の心は動くし。
どういう人生が良い人生なのかってことについては、次のような例を出してます。
>ひとつの尺度として、「死ぬ日に覚えている思い出が一個でも多い人生が、より良い人生なんじゃないの。そのとき一個も思い出せることがない人生は、ダメなんじゃないの」っていう考え方があります。(p.93)
うーん、自信ないなあ、それ。
ま、人生はなるようにしかならんが、短歌のつくりかたの理論のほうで興味もったのは、共感に関する次のようなもの。
>いきなり共感を目指すと上手くいかない。驚異ってぼくは呼んでるんだけど、一回ワンダーの感覚に触れてそこから戻ってこないと。(略)(p.141)
主な章立ては以下のとおり。
第一講 ぼくらは二重に生きていて、短歌を恋しいと思っている
第二講 短歌の中では、日常とものの価値が反転していく
第三講 いい短歌とは、生きることに貼りつく短歌
第四講 短歌を作るときは、チューニングをずらす
最近出たので買って読んだ文庫。
どうでもいいけど、ちかごろブログに書くの、ここへきて新たに読んだ本のことばかりになってきている。
蔵書整理という本来の趣旨とちがうなあ、それ。
でも、むかしから持ってた本、だいたい並べ終わった感じだしなあ。
そろそろヤメてもいいのかもしれない。
さて、この文庫は、歌人穂村弘による短歌入門書。
語り口調なのは、2013年慶應丸の内シティキャンパス(あるんだ、そういうの?)の講座がもとになってるからだそうで。
ビジネスマン相手の講座だからってことで、その理由だけぢゃないかもしれないけど、単なる短歌のテクニック論におさまらないで、人生論を含んぢゃってます。
「生きのびる」と「生きる」のちがいを説いてます。それで、
>でもぼくらは、「生きのびる」ために生まれてきたわけじゃない。(略)(p.25)
と宣言してます。
「生きのびる」のほうは明確、ごはん食べて、仕事して、睡眠とって、みたいな。
「生きる」のほうは不明瞭、ひとりひとり答えが違ったりする。
「生きのびる」のほうの人間関係は代替の利く役割分担だったりする、課長が死んだら課長補佐が代わりに仕事進めるとか、
「生きる」のほうの人間関係は、代替はない、誰かが誰かにとって唯一無二の存在であることに価値がある。
で、短歌は「生きる」ほうのもので、「生きのびる」ための情報は短歌に不要だったりする。
社会のなかで「生きのびる」ための言葉は、5W1Hとかハッキリしてなきゃいけなくて、ユニークである必要はない。
でも、短歌の言葉は、一瞬「え?どういうこと?」と考えさせるようなとこがあっていい、そして唯一無二の言葉で表現されるのがいい。
そうやって「生きる」と「生きのびる」の非対称性について何度も語ってます。
「生きる」のほうに触れてこそ人の心は動くし。
どういう人生が良い人生なのかってことについては、次のような例を出してます。
>ひとつの尺度として、「死ぬ日に覚えている思い出が一個でも多い人生が、より良い人生なんじゃないの。そのとき一個も思い出せることがない人生は、ダメなんじゃないの」っていう考え方があります。(p.93)
うーん、自信ないなあ、それ。
ま、人生はなるようにしかならんが、短歌のつくりかたの理論のほうで興味もったのは、共感に関する次のようなもの。
>いきなり共感を目指すと上手くいかない。驚異ってぼくは呼んでるんだけど、一回ワンダーの感覚に触れてそこから戻ってこないと。(略)(p.141)
主な章立ては以下のとおり。
第一講 ぼくらは二重に生きていて、短歌を恋しいと思っている
第二講 短歌の中では、日常とものの価値が反転していく
第三講 いい短歌とは、生きることに貼りつく短歌
第四講 短歌を作るときは、チューニングをずらす