丸谷才一 2015年 文春文庫
なんだか丸谷才一が読みたくなってる状態が、ちょっと前から続いてて、新しい文庫を買ってきた。
サブタイトルは「丸谷才一エッセイ傑作選1」ということで、全集をつくったついでに編んだものらしい。
いろんなとこからいろんな話を集めてるので、私が読んだ記憶があるものも入ってた、それはそれでよろしい。
大洋ホエールズからジャイアンツに移った松原選手が何故引退を決意したかという話とかね。(「出処進退の文学」)
著者がホエールズファンだったというのは知らなかったけど。
文学とか食べ物とか交友関係とかテーマは多岐にわたるんだけどどれもおもしろい。
読んでて気持ちいいのは、著者のあくまでひけらかさない感じの博識なものの紹介のしかたにあると、私は感じている。
>かういふ貴重な文献を埋もれさせておくのは惜しいから、とりあへず紹介して(もちろん、へらず口を叩きながら)、それから一つ二つ、わたしの考へや発見を添へませう。(p.144「甲子園の土」)
とか万事がそういう調子、これがいい。
そうやって披露される話題のなかみは、勉強になること枚挙にいとまがないしねえ。
パッと目にとまったのをいくつか挙げてみれば、たとえば、
衣料費支出の一世帯当り年間支出額の多いのは、一位が水戸市、二位が宇都宮、三位が東京二十三区、四位が浦和、五位が高松、とか。(「ゼノフォービア」)
胴上げというのは人を放り上げてはいけなくて、真下にいる人がベルトをつかんでるのがコツだとか。
それはいいとして、肩車、手車、騎馬戦、胴あげの四つは古代呪術の名残を今にとどめる習俗で、足がぢかに地面につかないようにする、神の来臨の儀式ではないかとか。(「胴あげ考」)
戦後まもないころ河出書房が「現代文豪全集」という企画をたてたら、頼まれた作家がみんな快諾した、それくらい作家は文豪という言葉に弱いとか。(「文士のタイトル……」)
大まかな章立ては以下のとおり。
I 女性対男性
II ゴシップ・ゴシップ
III 閑話休題
IV 美味しい話
V ちょっと文学的
VI 懐しい人
VII 自伝の材料
なんだか丸谷才一が読みたくなってる状態が、ちょっと前から続いてて、新しい文庫を買ってきた。
サブタイトルは「丸谷才一エッセイ傑作選1」ということで、全集をつくったついでに編んだものらしい。
いろんなとこからいろんな話を集めてるので、私が読んだ記憶があるものも入ってた、それはそれでよろしい。
大洋ホエールズからジャイアンツに移った松原選手が何故引退を決意したかという話とかね。(「出処進退の文学」)
著者がホエールズファンだったというのは知らなかったけど。
文学とか食べ物とか交友関係とかテーマは多岐にわたるんだけどどれもおもしろい。
読んでて気持ちいいのは、著者のあくまでひけらかさない感じの博識なものの紹介のしかたにあると、私は感じている。
>かういふ貴重な文献を埋もれさせておくのは惜しいから、とりあへず紹介して(もちろん、へらず口を叩きながら)、それから一つ二つ、わたしの考へや発見を添へませう。(p.144「甲子園の土」)
とか万事がそういう調子、これがいい。
そうやって披露される話題のなかみは、勉強になること枚挙にいとまがないしねえ。
パッと目にとまったのをいくつか挙げてみれば、たとえば、
衣料費支出の一世帯当り年間支出額の多いのは、一位が水戸市、二位が宇都宮、三位が東京二十三区、四位が浦和、五位が高松、とか。(「ゼノフォービア」)
胴上げというのは人を放り上げてはいけなくて、真下にいる人がベルトをつかんでるのがコツだとか。
それはいいとして、肩車、手車、騎馬戦、胴あげの四つは古代呪術の名残を今にとどめる習俗で、足がぢかに地面につかないようにする、神の来臨の儀式ではないかとか。(「胴あげ考」)
戦後まもないころ河出書房が「現代文豪全集」という企画をたてたら、頼まれた作家がみんな快諾した、それくらい作家は文豪という言葉に弱いとか。(「文士のタイトル……」)
大まかな章立ては以下のとおり。
I 女性対男性
II ゴシップ・ゴシップ
III 閑話休題
IV 美味しい話
V ちょっと文学的
VI 懐しい人
VII 自伝の材料