中野剛志・編 2013年6月 集英社新書
きのうから、政治というか外交というか、強引なつながりで。
TPPについては、無関心と言っちゃあ怒られるんだろうけど、ニュートラルな感じで構えてたら、先日、やっぱ問題あるっしょ、みたいに仕事の場で飛び出してきたんで、んー、もうちょっと真剣に考えないといけないかなーと思った次第。
今さら何をどう学ぶってのも分かんないんだけど、とりあえず新しそうなものから読んでみるかなと思ったところ。
本書を選んだのは、編者が、以前テレビに出てて、フツーぢゃないブチ切れ方をしてたのが印象にあったからってことになるかな。
(このときのフ○テレビの偏向っていうか誘導具合は、反対するひとにとっては腹に据えかねるものあったんだろうな。)
当然、反対論ばっかりだろーなとは思うんだけど、まあ、反対のほうがおもしろいだろって意識はあるよね、どうしても。
実際に読んで思ったのは、TPPについては、関税の問題だけぢゃなくて、非関税障壁なるものについて、企業が相手の国家に対して公然と文句言うって世界に入る、ってことへの危惧だなあ。帯にある「『主権』の投げ売りだ」って言葉が当たってるんだったら問題。
どうなるかわかんないけど、いま私が、やっぱ一番気になるのは、マスコミの態度だよね。
中野氏がテレビ出たときも、なんか貿易だか何だか忘れたけど、一部しかクローズアップしてない数字を採りあげてんの見て激怒してたように、どうにも日本の報道って、全容を伝えようとしないよね、どんな考えに基づいてんのか知らないけど。
権力へのチェック機能とかなんとか言うわりには、官僚のいうとおり、大本営発表のものそのまま流すことにためらいない。
本書のなかで注意をひいたものの一つには、自民党が2012年に掲げたTPPに関する条件。
1.政府が、「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対する。
2.自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。
3.国民皆保険制度を守る。
4.食の安全安心の基準を守る。
5.国の主権を損なうようなISD条項は合意しない。
6.政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる。
それぞれのなかみはいいとして、この6条件がセットだという議連に対して、官僚は1の関税のことに関してしか答弁しない。
そりゃ答えられないことは答えないんだろうけど、問題は新聞が「関税のみが焦点だ」みたいな書き方で伝えたってことのほうにあると思うな、私ゃ。
で、それはいいとして、本書はいろんな角度からTPPとりあげてんだけど、私がいちばんおもしろいと思ったのは、第六章にある文化論みたいなものだったりする。
和をもって貴しとする伝統の日本には、こういう交渉向かないんぢゃないのっていうんだが。
アメリカって国は「自分たちのルールや制度ややり方こそ、普遍的であり、それを世界に広げるべきだ」って考えてくるんだけど、日本は「各国ごとにそれぞれのやり方があり、それを互いに尊重すべきだ、そのほうがそれぞれ現地の人々は幸せだ」って言うべきなんぢゃないのって。まあ、そうだよな、相手は自分たちの利潤の追求のために土俵を作り変えようとしてくるんだから。
グローバルスタンダードに呑み込まれちゃうんぢゃなくて、「翻訳」と「土着化」っていうノウハウも大事にしたほうがいいってのは、そう思うなあ。
第一章 世界の構造変化とアメリカの新たな戦略/中野剛志
第二章 米国主導の「日本改造計画」四半世紀/関岡英之
第三章 国家主権を脅かすISD条項の恐怖/岩月浩二
第四章 TPPは金融サービスが「本丸」だ/東谷暁
第五章 TPPで犠牲になる日本の医療/村上正泰
第六章 日本の良さと強みを破壊するTPP/施光恒
第七章 TPPは国家の拘束衣である/柴山桂太
きのうから、政治というか外交というか、強引なつながりで。
TPPについては、無関心と言っちゃあ怒られるんだろうけど、ニュートラルな感じで構えてたら、先日、やっぱ問題あるっしょ、みたいに仕事の場で飛び出してきたんで、んー、もうちょっと真剣に考えないといけないかなーと思った次第。
今さら何をどう学ぶってのも分かんないんだけど、とりあえず新しそうなものから読んでみるかなと思ったところ。
本書を選んだのは、編者が、以前テレビに出てて、フツーぢゃないブチ切れ方をしてたのが印象にあったからってことになるかな。
(このときのフ○テレビの偏向っていうか誘導具合は、反対するひとにとっては腹に据えかねるものあったんだろうな。)
当然、反対論ばっかりだろーなとは思うんだけど、まあ、反対のほうがおもしろいだろって意識はあるよね、どうしても。
実際に読んで思ったのは、TPPについては、関税の問題だけぢゃなくて、非関税障壁なるものについて、企業が相手の国家に対して公然と文句言うって世界に入る、ってことへの危惧だなあ。帯にある「『主権』の投げ売りだ」って言葉が当たってるんだったら問題。
どうなるかわかんないけど、いま私が、やっぱ一番気になるのは、マスコミの態度だよね。
中野氏がテレビ出たときも、なんか貿易だか何だか忘れたけど、一部しかクローズアップしてない数字を採りあげてんの見て激怒してたように、どうにも日本の報道って、全容を伝えようとしないよね、どんな考えに基づいてんのか知らないけど。
権力へのチェック機能とかなんとか言うわりには、官僚のいうとおり、大本営発表のものそのまま流すことにためらいない。
本書のなかで注意をひいたものの一つには、自民党が2012年に掲げたTPPに関する条件。
1.政府が、「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対する。
2.自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。
3.国民皆保険制度を守る。
4.食の安全安心の基準を守る。
5.国の主権を損なうようなISD条項は合意しない。
6.政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる。
それぞれのなかみはいいとして、この6条件がセットだという議連に対して、官僚は1の関税のことに関してしか答弁しない。
そりゃ答えられないことは答えないんだろうけど、問題は新聞が「関税のみが焦点だ」みたいな書き方で伝えたってことのほうにあると思うな、私ゃ。
で、それはいいとして、本書はいろんな角度からTPPとりあげてんだけど、私がいちばんおもしろいと思ったのは、第六章にある文化論みたいなものだったりする。
和をもって貴しとする伝統の日本には、こういう交渉向かないんぢゃないのっていうんだが。
アメリカって国は「自分たちのルールや制度ややり方こそ、普遍的であり、それを世界に広げるべきだ」って考えてくるんだけど、日本は「各国ごとにそれぞれのやり方があり、それを互いに尊重すべきだ、そのほうがそれぞれ現地の人々は幸せだ」って言うべきなんぢゃないのって。まあ、そうだよな、相手は自分たちの利潤の追求のために土俵を作り変えようとしてくるんだから。
グローバルスタンダードに呑み込まれちゃうんぢゃなくて、「翻訳」と「土着化」っていうノウハウも大事にしたほうがいいってのは、そう思うなあ。
第一章 世界の構造変化とアメリカの新たな戦略/中野剛志
第二章 米国主導の「日本改造計画」四半世紀/関岡英之
第三章 国家主権を脅かすISD条項の恐怖/岩月浩二
第四章 TPPは金融サービスが「本丸」だ/東谷暁
第五章 TPPで犠牲になる日本の医療/村上正泰
第六章 日本の良さと強みを破壊するTPP/施光恒
第七章 TPPは国家の拘束衣である/柴山桂太