ほぼ復伝の内容とは異なってきている気がします。話した内容は「復伝」なので「練習の特徴」と「練習の流れ」が中心です。最終的には70分くらい話をしたのかな。こちらが感じたことを伝える部分というのは多くあったと思いますが、中心は「実際に見たこと」です。そこに少しだけ(?)私の感じたことを入れて話をした。指導者講習会であれば今回の視察を踏まえて「こういう練習をした方がいい」という提案をすることができますが、あくまで「復伝」なので。
最後にysd先生から聞いた話を伝えました。「強豪校」というイメージが強い。実際に本当に強いですし、意識レベルも格段に高い。日本一になるチームだなと感じました。しかし、人数は本当に少ない。スプリント系に特化しているのでそういう形態もありなのかなと感じました。「強い選手が集まる」というイメージを持たれがちだが本当は違うんだという話をされていました。
ysd先生が監督になった時、本当人数が少なかった。聞き間違いかもしれませんが冬季には「練習している選手が1人だけ」という時期もあったと。今からは想像できません。なかなか選手が集まってくれない。そこでこれまで「12秒台」の選手ではなく「13秒8前後」の選手にも話を聞いてもらってアピールをし続けたという厳しい時代があったそうです。その中で少しずつ力がついていき活躍していく。「入ってきた選手が力をつけていく」ことで周りの評価も変わってくる。そのタイミングで「力のある選手」が学校を選んでくれた。それがきっかけで一気に全国区のチームになったという話でした。
元々「強豪校」としてやっていたのではない。地道に選手と向き合ってチーム作りをしていくことで変わってきた。最初から「強いチーム」は存在しない。そういう部分は本当に「勇気」と「希望」をもらえました。我々にもできるのではないか。そう感じることができた瞬間でした。うちのように人が集まらないチームであっても「夢」が持てる。それが一歩一歩前に進むためのエネルギーになる。
この感覚を分かってもらえるかどうかは不明です。私の中ではこの感覚は非常に重要だと思っています。makinoやkanaはもともと13秒2が中学時代のベストでした。その選手とかかわる中で自分自身も勉強させてもらった。最終的に12秒14と12秒17まで記録を伸ばした。もちろん、彼女たちの努力の結果です。私は少しだけサポートしたに過ぎない。それでも「正しい方向性を示せば選手は伸びていく」というのは確かだと思っています。
これまでの練習形態を全面否定する気はありません。色々な要素がある。本当は必要だけれど気が付いたら削ってしまっていたというものも間違いなくある。時として「限界を超えるような練習」というのも必要になるのかもしれない。何が正解なのかは誰にもわかりません。しかし、これまでの「考え方」の枠の中からいったん出てみないと見えないモノがあります。
今の私にできるのは「目の前の選手と向き合う」ことです。最初から今のkytbnのようなチームにはなりません。しかし、毎日の取り組みで変わっていければいつの日か周りから目標とされるチームになるのではないか。「楽しそうだから一緒にやってみたい」と思ってもらえるチームになるのではないか。そう感じています。
だからこそ今私がやるべきことは何か。もっともっと目の前の選手に必要なことを考えなければいけない。練習をできるだけシンプルにして選手が分かりやすい、理解しやすいものにする。「分かっていないから言えない」のではなく「分かっているけど言わない」といえるような指導をする。分からないから走らせておくという指導はしない。そうやって選手と力を合わせて進んでいければいいのかなと感じています。
復伝終了後、数人から「blogを読んでから話を聞いたので理解が深まった」という話がありました。「一読者として」と。そんなの大した話ではありません。私は毎回毎回感じたこと、思ったことを書いているだけですしそれ以上でもそれ以下でもない。今回の話も自分が思ったことを伝えているので不快に感じられる人も出てくると思います。それでも「何かをしなければ変わらない」のではないか。
「視察」に色々な指導者がいく。重要なことだと思います。本当は県内でももっと交流があればいいと思っています。私は来てくれればいくらでも情報提供はします。本当に考えていることも伝えます。別に隠す必要はないからです。聞かれなければ答える必要性がないので答えないだけです。県外に出るのが大変ならまずは身近な場所で「刺激」をもらうことも必要になるのかなと。
何かが変わればいいなと思っています。そのきっかけになるかどうか。こういう機会を与えてくださったogw先生には「それなり」に感謝しようと思います。そしてsekmのmti先生、kytbnのysd先生、mtm先生、sgy先生には「心の底から」感謝しています。良い勉強になりましたし、山口県に刺激を与えることができたのではないかと思います。
少しずつ少しずつ。一人でも多くの人が情熱をもって陸上競技に向き合ってくれればいいなと思います。