ミルクボーイ、面白いですよね。ステイホームでお笑いを見る時間が増えました。
20期の青木です。2度目の投稿です、よろしくお願いします。
8/7のながいち!さんのブログ、「期待されていること」でも触れられておりましたが、
読者の皆様は、日本経済新聞(7月17日付)の記事
「中小企業減 容認へ転換」
に注目された方も多かったのではないでしょうか。
なによりタイトルにパンチがきいてますよね。
なにか政府が中小企業政策の方向性を大きく変えるようなにおいがしてきます。
この先、「中小企業減 容認へ転換」の記事について思ったことを記載しておりますが、
内容に関してではなく、表現についての感想となっております。
内容の深堀などは一切行っておりませんので、ご了承ください。
それでどんな変化があったのか、記事の一部を抜粋してみたいと思います。
『19年の成長戦略の中小企業政策のKPIは、…(略)
「開業率が廃業率を上回る状態にし、それぞれ10%台(英米レベル)になることを目指す」との記述もあった。
20年版では廃業率に関する表現を削る。』
開業率が廃業率を上回る状態にするという記載が、企業数の減少を容認しないというメッセージだったわけですね。
このメッセージが出ている以上、廃業率が開業率を超える事態になったら、
政府は目標達成のためにも厳しい現状にある企業を支援するだろうと、捉える人もいそうです。
それではなぜ政府は企業数の減少を容認しないスタンスを取っていたのでしょうか。
その理由らしいものも、この記事に記載がありました。
『政府の目標として企業数の減少を認めれば、倒産や失業の増加を助長すると受け取られかねないとの懸念もあった。』
正直、「え、そんな理由か」と思いましたが、
多くの人が、様々な深読みするなかで、表現するのも大変だなと同情してしまいます。
最後に、なぜ容認へ転換したのか。
『ただ、新型コロナで環境が大きく変わる中で、そのままでは実態にあわなくなる可能性があり、
転換を決めたとみられる。』
はたして政府は意図的に中小企業減を容認したのでしょうか。
もし、新型コロナの影響がなかったとしたら、開廃業率KPIの変更はあったのでしょうか。
皆さんはどう思われますか。
意図的ではなく、新型コロナの影響で廃業が増加し、廃業率 < 開業率が実現不可能だから、
表現を削除したのでは、と考えられませんか。
もし意図的ではないとするならば、「中小企業減 容認へ転換」という意味は何でしょうか。
もしかしたら、深読みするよう意味はないかもしれませんよね。
文末に、直近3年の具体的施策テーマと、2019年、2020年の中小企業施策に関するKPIを記載してきます。
テーマ名だけでも施策の変化、時代背景の変化が読み取れるのではないかと思います。
そして、具体的な施策の内容を読んでも、何か今まで以上にゲームチェンジを感じさせるようなものは、
私には読み取ることができませんでした。(新型コロナの影響によるゲームチェンジはあると思います。)
ここまでで、「中小企業減 容認へ転換」に深読みするような意味がなさそうだとしてきましたが、
これがいかにも意味ありげに思わせる内容が記載されています。
『政府関係者は「事実上、廃業の増加を認める方針への転換だ」と解説する』
「そりゃ政府関係者が言うんなら、間違いないやろー。」と言いたくもなります。
政府関係者と言われる人の言葉は力強いですね。ものすごく意味ありそうですし、
政府が意図して方針転換したと思わせます。
ですが、この記事で「中小企業減 容認へ転換」を政府の意図があると思わせるのはこの一文だけです。
この政府関係者と言われる人の言葉があることで、タイトルに意味が与えられて、記事の読み解き方も変わってきます。
実現不可能なKPIを変更したのではなく、ゲームチェンジと感じさせるような中小企業政策の変更をにおわせるように。
真実は何か、そこに意図があるかどうかはわかりません。
ただ、権威ある第三者の言葉には重みがあることに、記事を読み解く時も、記事を作るときも注意したいと思います。
(ご参考)
成長戦略閣議決定のサイト
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/seicho_senryaku2013.html
2020年の新たに講ずべき具体的施策のテーマ
①大企業と中小企業の共存共栄
②大企業と下請け企業との個別取引の適正化
③中小企業の成長を促す環境の整備等
④中小企業・小規模事業者の生産性向上のためのデジタル実装支援等
⑤生産性向上のための円滑な新陳代謝・事業再編の促進等
⑥海外展開の促進と国内外のサプライチェーンの強靭化
2019年の施策テーマ
①中小企業・小規模事業者のデジタル実装支援
②新陳代謝の促進
③海外展開、適正取引等の促進
④中小企業支援機関の機能強化
⑤地域中核企業への支援
2018年の施策テーマ
①中小企業・小規模事業者のITなどの先端設備の投資促進
②各業種における生産性向上の具体的な取り組みの促進
③円滑な事業承継や創業支援等、適切な新陳代謝
④中小企業支援機関の強化
⑤経営人材や中核人材の確保など人材・ノウハウ支援の強化
2019年までのKPI
・サービス産業の労働生産性の伸び率が、2020年までに2.0%となることを目指す
・2020年までの3年間で全中小企業・小規模事業者の約3割にあたる約100万社のITツール導入促進を目指す
・2020年までに黒字中小企業・小規模事業者を70万社から140万社に増やす
・開業率が廃業率を上回る状態にし、開業率・廃業率が米国・英国レベル(10%台)になることを目指す
2020年のKPI
・中小企業の従業員一人当たりの付加価値額を今後5年間(2025年まで)で5%向上させる
・中小企業から中堅企業に成長する企業が年400社以上となることを目指す
・中小企業の全要素生産性を今後5年間(2025年まで)で5%向上させる
・開業率が米国・英国レベル(10%台)になることを目指す