16期生の大石泰弘です。
今回は「相手の気持ちがわかる」について書きます。
人を大切にする経営学会の経営人財塾は今年7期になり、私は7期生です。
この学会では、五方よしの経営を実践している会社を”いい会社”と言います。
坂本光司先生から毎月の講義でたくさんの”いい会社”をご紹介いただき、有志で訪問しています。11月に7期の有志で九州のいい会社を3社訪問して来ました。どの会社も社員の雰囲気がとてもいい会社でした。今日は、その中から1社ご紹介します。
株式会社障がい者つくし更生会といいます。福岡県大野城市にある、産業廃棄物処理の会社です。建物や設備や敷地は市の所有ですが、施設の運営はこの会社が請け負っています。社員38名の内、32名が障がい者、6名が健常者です。障がい者32名の内6名は重度なので、法的な障がい者雇用率は100%です。
この会社は、障がい者も健常者も同じ報酬体系で運営しています。障がい者の補助金や助成金を一切もらっていません。それまで訪問した”いい会社”はみな補助金や助成金を申請していました。
運営にあたり、「障がい者をたくさん雇用しているから」という言い訳は全くしないで、毎年契約を更新しています。
なぜそんなことが可能なのか。
この会社は昭和59年に地元の貧乏な有志50人が少額ずつ出資して設立されました。すでに大規模な機械で廃棄物を分別する案が市議会で決まっていたのを、安く、環境にやさしくできると説得して覆し、スタートしました。
会社設立の趣旨は以下です。
・設立理念:障がい者が自ら雇用の場を創造・開拓し、以って障がい者の更生を図る
・使命:障がいがあっても物心両面の環境が整えば一人前の仕事ができる。
理念だけでは一人前ではありません。産業廃棄物は精度高く分別することで、環境にやさしい最終処理ができます。集中力と持続力が高い障がい者が分別をすると、どんな機械よりも精度が高く分別でき、処分費用は安くなり、処分後の廃棄物はより環境にやさしい状態になるそうです。
ですから差別化でき競争優位性を維持でき、毎年契約を更新できてきたわけです。一人前の株式会社だということです。廃棄物処理機械のメーカーから、日本でいちばん正確に分別している会社と言われているそうです。
実際に運営の指揮を執っている方は那波専務です。設立発起人の息子さんで、設立時から実質責任者です。当初は、期待した通りの行動をとってくれない障がい者に対して強い不満を抱き悩まれたそうです。しかし、自分のコミュニケーション能力のなさが原因だと思えるようになり、伝え方の工夫を積み重ねて解決してこられたそうです。
相手の気持ちがわかるというのは、相手をよく観察するのではなく、相手と同じ側に立ち、相手の見ている景色を、相手と同じ気持ちで見られるようになることだそうです。そして、それは健常者と障がい者で違わないでしょとも言われました。自分の都合で説明していないかと常に厳しく反省されるそうです。
すごく反省した1日でした。社員さんのモチベーション維持の工夫もいろいろされてましたが、その話はまたいつか。
これはどの場面でも大事な心掛けですね。この視点、かけていました。素敵な気付きをありがとうございます。