稼プロ!23期生の島村康人です。
令和6年度になって、「事業再構築補助金」「ものづくり補助金」、「小規模事業者持続化補助金」の募集が行われておらず、中小企業・小規模事業者に紹介できる適当な補助金が無くなっています。
(正確に言うと「小規模事業者持続化補助金」は災害支援枠(令和6年能登半島地震)のみ募集があります。)
マイナス金利政策の終了に見られる金融政策の正常化の動きと同様に、これも中小企業支援施策の正常化に向けた動きだと理解しています。
一方で、「IT導入補助金」は継続、IoT・ロボット等の人手不足解消に効果がある汎用製品の導入を支援「中小企業省力化投資補助金」が新たにできました。
おそらく、中小企業庁は、中小事業者のデジタル化支援は重要だと考えているのでしょう。
しかし、これらの補助金は、限定された製品・サービスの購入を補助する内容なので、使い勝手が悪いと感じますし、出来合いの製品・サービスを導入するだけでデジタル化が進むことは無いとも思います。
昨年末から年初にかけて、東京都がデジタルマーケティングアドバイザーを募集しました。都内中小企業が営業やマーケティングにおけるデジタル技術の活用に取り組むことを支援する事業です。
応募要件は、以下①から⑧を全て満たすことです。(学歴不問、年齢不問)
①マーケティング及び営業・販路開拓に係る知識・業務経験
(例:マーケティング戦略立案、コンテンツマーケティング、Web広告、SNS活用等)
②民間企業等でデジタルマーケティングの導入・活用に係る業務経験
(例:デジタルマーケティングの戦略立案、HP・LP・ECサイト等の構築・改善・運用、SEO対策、アクセス解析、Webライティング、コンテンツマーケティング、メールマーケティング、動画の制作・活用、MAツールの導入・運用等)
③マーケティング及び営業・販路開拓におけるDXについての戦略策定、実行及び進捗管理を行うために必要な知識、並びに関連する業務経験
④中小企業等に対しデジタルマーケティングの必要性及び有用性を初心者にもわかりやすく丁寧に説明できる
⑤中小企業等からの相談に対し、柔軟かつ誠実に対応できる
⑥公的機関の委嘱者として高い社会貢献意欲を持ち、中小企業のニーズに適切に対応できる能力を持つ
⑦公社におけるコンプライアンス、情報セキュリティを遵守できる
⑧支援に資する多様な人的ネットワークを有する
私は応募しましたが、10名程度の募集人員には選ばれませんでした。
その応募の際には、与えられた課題に応える必要がありました。
従業員10名程度の金属加工製造業で1年以上自社サイトを更新していない企業の経営者から「新規受注を増やしたい」というニーズに対する支援計画及び支援のポイントを記述してください。
私は支援計画として次の記述をし、これではダメだろうと思いながら提出しました。
【ヒアリングポイント】
・経営環境: 現在の商流(売上先、仕入先、協力会社)、製品構成、保有技術・設備、人員体制
・財務状況推移: 売上高、売上原価・製造原価、一般管理費及び販売費、営業利益、経常利益
・営業活動: ターゲット顧客、提供製品・サービス、販売チャネル
・業務プロセス: 顧客管理、販売管理、生産管理、在庫管理
・情報システム: 業務システム、経理システム、デジタルマーケティングツール
【想定する個別サポート支援におけるゴール】
・現行業務プロセスの可視化と課題の特定
・事業ドメインの再定義、新たなビジネスモデルの構築
・投資対効果分析に基づく最適解決案の策定
・デジタル技術導入と業務改革
このような基本的なことではなく、より踏み込んだ具体的な支援計画を記述する必要がありました。
これは、デジタルマーケティングの領域の話しですが、他のデジタル活用領域においても、求められるのは業務に密着し具体的な成果をもたらす支援だと言えます。
私が普段従事している経営相談でも、これまでは概要レベルでのヒアリングやアドバイスで済ませていましたが、より踏み込んだ対応が必要になっていると感じています。
稼プロ23期もゴールが見えてきました。
私は、今年、診断士登録して5年目を迎え、11月に1回目の更新を行います。
次のステップ、診断士としてのフェーズ2に進むべき段階に来ています。
ありがとうございます。次回の決意表明で、稼プロ23期をきちんと締め括らないといけないですね。
杵渕さん
戦略を示すだけでなく、実行まで深く関与して具体的な効果を上げること、への要請がとても強くなっていると感じています。
ありがとうございます。
中企庁『経営力再構築伴走支援ガイドライン』には、「伴走支援は個別には時間とコストがかかる傾向がある」と書かれています。じっくり腰を据えて取り組む覚悟がいりますね。