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最近の電機会社株価についていくつかのコメント

2012-08-06 13:08:43 | 12期生のブログリレー
堀江でございます。

まずは、一枚の株価グラフから。


シャープ、ソニー、パナソニックの株価を、5年前の株価を基準に、時系列で相対比較したものです。5年前に比べ、パナソニック(橙)が70%マイナス、ソニー(緑)が80%マイナス、そしてシャープ(黄色)は90%マイナスです。ひどいものです。相場の格言で、「半値八掛け二割引き」というのがあり、高値から68%下がれば自然反転すると言われますが、パナを除いて反転する兆しがありません。

経済誌はこぞって本邦「民生電機の敗北」を特集し、様々な理由づけをし、経営者に内省を求めています。

さて、次のグラフ。


三星電子(黄)、ソニー(緑)、ノキア(橙)、リサーチインモーション:RIM(赤)の5年比較です。三星は株価が倍になり、他は80%下落しています。「ブラックベリー」で有名なRIMの株価は、150ドルから7ドルへ下落しました。テクノロジーの分野でいえば、株価が下がったのは日本企業だけではないのです。5年前に「優良」とされたテック企業の多くが、ビジネスモデルの再構築を求められ株価が下落しています。

ウォン安など外部要因を理由にする経営者もいます。


これは三星(黄)とLG電子(緑)の株価推移。LGの株価は、5年間で、こちらも半減しています。韓国半導体ハイニックスや、鉄鋼大手ポスコなども、三星のような成功は収めていません。韓国企業がすべて成功したのではなく、三星が成功したのです。

このようにテクノロジー企業の株価をグローバルに比較していくと、一握りの勝者と、残りの総崩れが起きたのだと考えています。勝者は三星、アップル、ホンハイ、TSMCなどです。敗者は、ここまでのところ、残りほぼすべてです。

例えば、EMS(電子機器生産受託)ではホンハイ(鴻海)の成功が有名です。一方で、EMSの先駆者であったフレクストロニクスの株価は、43ドルから6ドルへ下落、時価総額はホンハイの1/8になりました。EMSビジネスモデルが成功したのではなく、ホンハイが成功したのです。

例えば、半導体製造受託ではTSMCが大成功し、時価総額6兆円になりました。一方で、同様のビジネスモデルを持っていたSMICは800億円まで縮小しています。半導体製造受託がすべて成功したわけではありません。

さて、ここで本題です。

このように、各分野のトップ企業が突出した成功を収めています。しかしながら、三星の成功はその中でもさらに突出しています。三星の時価総額はピークよりやや減ったものの、13兆円あります。ソニーが絶好調の時ですら、10兆円を超えた時期はほとんどありません。今の三星は、絶好調のソニーよりさらに3割大きいのです。これはなんでなんだろう。何を学ぶことができるのだろう。三星の成功要因は、もっと研究すべきと考えています。

よく「○○は何故アップルになれなかったか」という記事を目にします。ビジネスポートフォリオの類似性からすれば、本来検討すべきなのは「○○は何故三星になれなかったか」だと思います。

今回はここまで。次回は三星の強みについて、診断士の視点から考えてみたいと思います。大風呂敷広げて大丈夫だろうか。それまでに、三星に関してもう少し勉強しておきます。
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2 コメント

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いいテーマです (大野)
2012-08-06 22:34:53
さすが着眼点がいいですね。

日本の優良株はひどい事になりました。
昔は持ち株会をしていれば定年までに資産形成できましたが、今や逆ですね。

業界全てが不況でなく、経営者が優秀な会社は高いパフォーマンスを出していますね。

あのシャープも一昔前は液晶で勝ち組だったのに、負け組みになるのも早いですよね。
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成功要因 or 失敗要因 (鴨志田)
2012-08-15 15:35:59
成功要因に学ぶのか、失敗要因に学ぶのか、見方はそれぞれでしょうか?
韓国の勢いは、海外にでると感じます。
ここプノンペンで、お客様の会社が入っているプノンペンタワーも現代グループが立てたモノ。でも、エレベータ制御はいまひとつですが...。
以前にモンゴルに行ったときも、韓国がどんどん進出していました。極東地域は、もう、日本がでる余地がないぐらい、中国と韓国で独占されていると、ロシア駐在の方から伺っています。
昨年、11期生の方が、台湾のホンハイについて取り上げていたことがあります。

次回の三星の強み分析、楽しみにしています。
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