とても面白い、読み始めるととまらない本をご紹介いたします。
「私の履歴書 経済人」日本経済新聞社 第一期配本 全18巻
日経連載の「私の履歴書」から、ビジネスに関係する人物を抜粋したものです。昭和55年に刊行された第一期配本分は、昭和39年からの連載初期、主に明治生まれの経済人が対象となります。
明治人の履歴書は、とりわけ面白いのです。勃興期が舞台の、小説より奇な波乱万丈の人生です。
例えば、田舎で貧農をしていた、体格に恵まれた男の「私の履歴書」。
31歳で、握り飯をもって上京。初日の宿代を払うとお金が尽き、食事は焼き芋とトイレの水。翌日から荷揚げ人夫を始めた。足袋が買えず、道端に落ちていた縄を裸足に巻いて。一度に他の人の倍も運んだ怪力は、しばらくして相撲取りになり、酒屋を開く。夫婦汗水たらして働き、町工場から鉄鋼業、重工業へと拡大し、海外にも展開する。東京オリンピックには自分の名前を冠したホテルを建てる。
彼の名前は大谷米太郎、ホテルニューオータニの大谷です。どうやって、裸一貫から故郷に大学を寄付するほど成功したのか、想像がつきますか?大谷は相撲巡業中に各地有力企業を訪問し、「何故儲かっているのか」教えを請い、今でいうビジネスモデルの研究を続けたのです。すべてが順調というわけではなく、震災で工場を全焼し、ゴザをしいて3か月間寝泊まりし再建したりもしています。
掲載者名を載せておきます。
知らない名前ばかりですよね。だからこそ、それぞれの履歴書は読んで心底びっくりなのです。講演のネタにも使えますよ。
(12期 堀江)