先週末、鴨志田先生、事務局、プロコン塾15期生の計6名にて、福島県いわき市を、1泊2日で訪問しました。今回の企画は、15期生の矢口さんに取り纏めて頂きました。矢口さんは、NPO法人の活動を通じて、様々な復興活動への支援をされていました(本年末で一区切りつけるとのこと)。今回は、矢口さんの紹介で4か所を訪問させて頂きました。以下、簡単にご紹介します。
1)薄磯・豊間地区(津波被災エリア)
車で海岸沿いを視察しました。震災から4年を経ても、防潮堤の工事の途中でした。高さ7~8メートルの防潮堤を作るそうです。これまでは海岸の景色が一変することを考えると、住民の方々は複雑な気持ちだと察しました。
2)観葉亭(富岡町の旅館元支配人が営む弁当屋)
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社長の遠藤義之氏からお話を伺いました。遠藤社長は、富岡町にあった「観陽亭」という旅館の支配人を務められていたところ、震災に遭いました。遠藤社長からは、旅館を失った喪失感、原発事故で避難を余儀なくされたこと、旅館の廃業を決めたこと、「観葉亭」の名前で弁当屋を立ち上げたこと、などを伺いました。
また、避難されている方々(現在も富岡町のほとんどは居住制限区域)と、避難先のいわき市の住民との間には、複雑な心境の違いがあることへの言及もありました。
3)いわき夏井ファーム(有機農法の契約農家)
無農薬・有機栽培に取り組まれている小林夫妻から、お話を伺いました。小林夫妻からは、津波でハウスが破壊され、畑は塩害を受けたこと、原発事故の風評被害で出荷停止を受けたこと(地震直前に有機農法のJAS認証を受けたばかりだった)、ボランティアの支援を受けて農業の復旧に取り組まれたこと、などの話を伺いました。
また、同ファームは、矢口さんが所属したNPO法人が主催する「ふくしまオーガニックコットン プロジェクト」に参画しています。このプロジェクトは、津波被害、風評被害で甚大な影響を受けた福島県の農家と契約して、綿花を栽培することで復興を支援するものです。ttp://doyoucotton.jimdo.com/
4)古滝屋(いわき湯本の創業300年超の旅館)
http://www.furutakiya.com/ 江戸の元禄年間に創業された温泉旅館です。今回は、こちらの旅館に宿泊させて頂きました。
社長の里見喜生氏は、16代目となります。東京で会社員を務めたのち、震災の5年前に戻り跡を継ぎました。旅館の経営革新が攻を奏し始めた矢先に、震災に遭い、1年4カ月休業を余儀なくされました。旅館は再開されましたが、原発事故の風評被害でお客はめっきり減ったそうです。それでも、従前とはビジネスモデルを変える等で乗り切ってきました。
また、里見社長は、旅館を地域の「交流サロン」として開放するなど、地域社会活動にも熱心に取り組んでおられます。
今回の訪問を通じて、被災地と中央(東京)との温度差を強く感じました。遠藤社長からは「復興も、原発の後処理も、中央のシナリオ通りに進んでいる気がする。」とありました。地元が望まない復興計画では、地元に人は帰ってこないでしょう。
自戒を込めて言えば、東京の人は自ら、被災地の住民の方の話しを聞きに行くべきです。里見社長は「団体客はいなくなったけれど、その代わり、お客様とお話しできる機会が増えた。」と述べられていました。こちらから出向いていけば、話を聞くチャンスはいくらでもあるのです。
私は、東日本大震災の時、実は、日本にいませんでした。その2日前に海外出張でキルギスに行っていました。しかし、震災発生後10分もしないうちに、震災の発生を知りました。駐在されている家族の方からの電話がきっかけです。「自宅の本棚が倒れるぐらい大きな地震が起きた」
「すぐに日本に電話しなさい」
でも、もう通じない状況。
その後は、現地のテレビ放送に釘付けでした。
私は、今回の視察を、今回だけで終わらせるのではなく、始まりにしたいと思っています。
星野さん、レポートを有難うございました。
改めて読ませていただいて、訪問先はみんな濃い方々でしたが、手前味噌ながら彼らのところで良かったと思いました。
私も実はいわき以外の被災地域はよく知りませんが、それでもいわきは特殊な状況に置かれていると思います。地震、津波、原発事故、風評被害、コミュニティ、賠償金、復興バブル等々、時間の経過とともに薄れつつありますが、根は深く、見渡せないくらいの複雑な広さがあります。