あまでうす日記

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佐瀬睦夫著「福祉と介護「7K」職場の改善術」を読んで

2016-06-03 11:00:55 | Weblog


照る日曇る日第868回  


7Kとは「きつい、汚い、危険、帰れない、給料が安い、規則が厳しい、休暇が無い」。そんな悲惨な職場を「希望、期待、感謝、感動、感激、可能性、快感」の明るく楽しい環境に変えようよ、と著者は健気に説いている。

確かに福祉と介護の仕事はおのれを虚しうして利他に尽くす奉仕へのひそかな誇りと無私のよろこびというものがある。だからこそ昔からナイチンゲールに憧れる少女が厳然と存在し就職希望ランキングの上位を占め続けてきたのである。

さうして確かに職業に貴賎はある。安倍蚤糞や都知事などが賤の最たるものであるとすれば、福祉と介護はもっとも尊い仕事ではなかろうかと今でも私はひそかに考えているのだが、残念ながらその仕事に手厚く報いる政治も制度もないのである。

たまたま「保育所落ちた日本死ね」なるメールが政治問題化した結果、保育所職員の手当をちょっぴり上げるという選挙対策を講じることはあっても、これらの業界に日夜働く最底辺労働者の給料や職場環境はいつまでたっても改善されない。

心に大いなる希望と期待、感謝、感動、感激、可能性、快感を抱きつつ悪戦苦闘する善き志の持ち主たちが陸続と撤退したとき、この国は名実ともに死ぬのであろう。


   死ぬ死ぬ死ぬわれひとともに死んでゆく夢も希望もなき国の民 蝶人
コメント
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