あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

すべての言葉は通り過ぎてゆく 第35回

2016-06-01 17:03:14 | Weblog


西暦2016年皐月蝶人狂言畸語輯&バガテル―そんな私のここだけの話 op. 230




とれたての魚は暫く寝かせた魚と食べ比べてみると、それほど美味しくない。処女との最初の性交が完全な快楽をもたらさないように。

禅とウェーべルンには共通性がある。禅には「捨閉閣抛」という言葉がある。何でも捨てて捨てて、もうこれ以上何も捨てられないというところまで捨てるというのだが、これがウェーべルンの音楽そのままである。湯浅譲二

私の音楽は、ミケランジェロが大理石の中から自分の作りたい彫刻を掘りだしたように、膨大な物の中から何かを抽出する、音楽の引き算的なアプローチによって作られている。ルチアーノ・ベリオ

西欧の音楽は無の空間に煉瓦を積み上げて壮大な建築物を作り上げていく。ところが武満徹は、自然と宇宙に有り余る音をどんどん削っていって最小限の音を残そうとする。私たち一音に万物を聴く。その一音から世界全体、宇宙中全体を聴くのである。

私は、現実より遥か遠くにいる。私は、現実を遠ざける。私は現実との沸騰的な交渉の後に、非現実に身を置く。武満徹

すべての音は、なにもない音が基本です。宇宙の音階、それは無です。宇宙間には人間の考えた音階だけでなく、けだもの、鳥類、山川草木たちの音階があるのです。海童道祖

宇宙心が、音のはたらきと化すことを知るのが、大事です。音は宇宙露現の境からみなすと、鳴らさなくとも、鳴っているのです。茶碗でも、箱でも、部屋全体でも、みな鳴っています。海童道祖

西洋の音楽という見地から見れば三味線のピーンという汚い音、義太夫の声を押しつぶしたような不愉快な音を、私たちは美しいとしたわけです。そして「さわり」という言葉が、いつのまにか美しいという意味に転化した。武満徹

西洋の音楽は一つの音だけでは音楽たりえない。Aという音にBという音が出会って弁証法的展開をする。日本は日本では「一音成仏」で、一つの音の中にすべてをこめてしまう。しかもその一つの音の中に「さわり」があって、たくさんの音が複雑に連動している。武満徹

一撥、一吹きの一音は、間を生みだす。複雑で洗練された一音の後に続く無音の沈黙の間は、実は複雑な一音と拮抗する無数の音の犇めく間として認識されているのである。武満徹「音、沈黙と測りあえるほどに」

もともとこの世界はドリームタイムに夢として創造されたのだが、或る時そこから分裂する形で現実世界が作られてしまった。そのため現実世界の住人達は夜夢見るとき以外は元の夢の世界に戻ることが出来ない。オーストラリアのアポリジヌは、毎日歌と踊りでそのかけ橋を繋ごうとしている。武満徹

できれば鯨のような優雅で頑強な肉体を持ち、西も東もない海を泳ぎたい。武満徹「海へ!」

この国に、戦前がひたひたと迫っていることは確かだろう。野坂昭如「絶筆」

暴に報いるに、暴をもってしても始まらない。暴に報いるには、善をもってするしかない。野坂昭如「絶筆」

戦争は醜い。未来を担う若者が戦争のない世の中を考えるのは当然。戦争は何も生み出さないのだ。野坂昭如「絶筆」

僕はつまるところ、反戦芸人なのだ。心休まる平和な時代にあってこそ価値がある。しかし、いざ戦争になれば、たちまち旗を振って戦争芸人になるかもしれない。野坂昭如「絶筆」

モーツァルトの外耳は、耳たぶ、耳球と対耳球、耳殻が無かった。この形態の奇形は、慢性的な腎臓疾患の証拠と解釈される。だとすれば、腎臓病が彼の死因だった可能性もある。
クリストフ・ヴォルフ著「モーツァルト最後の四年」

モーツァルトの3大交響曲はどうみてもハイドンの模範(交響曲82番熊、83番雌鶏、84番)を追い越そうとする意識的で考え抜かれた対抗プロジェクトのようにみえる。彼がハイドンの弦楽四重奏曲に対して創造的に反応した時のように。クリストフ・ヴォルフ著「モーツァルト最後の四年」

モーツァルトの3大交響曲は実演されている。ト短調K550は1788から89年のシーズンに、ハ長調K551ジュピターは1789年5月12日にゲバントハウスで、そして恐らく変ホ長調K543もまた。クリストフ・ヴォルフ著「モーツァルト最後の四年」

(死の直前の)モーツァルトを2週間ベッドに閉じ込めた病気の成り行きは、避けがたい運命といったものではなかった。すべてが違う方向に向かうこともあり得たのである。クリストフ・ヴォルフ著「モーツァルト最後の四年」

むずかしい詩を書くのはたやすいが、やさしい詩を書くのはむずかしい。

私がこれらの膨大な記述をほんのちょっとしたミスタッチで消去しないでいるのは、奇跡的ともいうべき偶然の賜物にすぎない。

「無意味なものがいっぱいある世の中」であってほしい。三留まゆみ

とりあえずは自公の政策の正反対を支持することがこの国の崩壊を防ぐ唯一の道である。

どうぞ私たちが亡くなっても障がい者が生きていけるような社会にしてください。宮城まり子

昨夜滑川にかかる橋の上から一望したらおよそ20匹のヘイケボタルが乱舞していたので驚いた。きっと数日前から飛んでいたに違いない。今年はずいぶん発生が早いようだ。

サミットとオバマ広島訪問で何が変ったのか。広島と被爆者は米国への怒りの鉾を収め、安倍蚤糞の失敗は糊塗され、民草は望みもしない日米同盟のさらなる深みに拉致され、日本のイトレルは我が事なれりと高笑いしている。

丸一日化石ハンマーでたたいていたら、ある日突然カンっとやった途端にぱっと開いて、一億年前くらいのだろうかな、ウニが何百分の一秒ぐらい姿をあらわした。吉増剛造

太宰治の作品の中からは、完全に声が聞こえてくる。吉増剛造 


    大変だあ世界経済リーマンショック安倍蚤糞一人で大騒ぎィ 蝶人
コメント
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