あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

神戸金史著「障害を持つ息子へ」を読んで

2018-08-11 08:01:09 | Weblog


照る日曇る日 第1116回


相模原市やまゆり園の障害者殺人事件に対して、

 息子よ。
 そのままで、いい。
 それで、うちの子。
 それが、うちの子。
 あなたが生まれてきてくれてよかった。
 私はそう思っている。

という詩文を書いて話題になった、自閉症の息子を持つ父親があらわした書物です。

この方はマスコミに職を奉じる方で、「自閉症は自閉的とは違う。それは病気ではなく脳の器質障害である」などと、かねてから自分の息子の障害を踏まえた的確な情報発信をされていたようです。

いろいろ貴重な発言をされていて、障害を持つ人にももたない人にも有益な書物ですが、著者の奥様が、自分の内部にもある「内なる優生思想」から眼をそらさず、次のように記されていることが心に残りました。

 「まだまだ金祐(息子さん)に障害があって良かったとまでは思えませんが、金祐  が私の元に生まれてきたことは本当に良かったと、今は思えるようになりました。
葛藤を繰り返しながらの子育てですが、私も親として少しは成長しているようです。「子育て親育ち」でしょうか」

 「障害があっても金祐は幸せそうに暮らしています。母である私は、金祐が生まれてきたことに意味があるのか、社会の役に立つ人間なのかと自問自答することはなくなりました。私自身、同じことを問われれば答えに詰まることに気付いたからです。何を思い上がっていたのだろうと」

同じ障害を持つ息子を持つ親として、神戸さんご一家の皆さんに衷心からのエールを送りたい。


      ガリガリ君を毎日1箱カリガリ博士 蝶人
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