あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

夏の終わりの映画いろいろ10本立て その1

2018-08-30 10:30:45 | Weblog


闇にまぎれて tyojin cine-archives vol.1387~1796



1)ロベール・アンリコ監督の「追想」
1944年、ドイツ占領下のフランスの田舎でナチに虐殺されるロミー・シュナイダーが可哀想。時系列の展開にしたほうが映画としてはもっと盛り上がったのに。

2)クロード・シャブロル監督の「引き裂かれた女」
実際にあった情痴事件にインスパイアされた巨匠の最後から2番目の作品。主演の俳優にはいささかの不満を覚えるものの、かつては確かに存在した映画をみることの快楽を存分に堪能させてくれる。ラストで新たな道を歩みはじめたヒイロインの姿がまぶしい。

3)ロン・ハワード監督の「ビューティフル・マインド」
天才的な数学者、ジョン・ナッシュの自伝の201年の映画化であるが、彼の数奇な人生を十分に反映しているとはいえないようだ。ジェニファー・コネリーは美しい。

4)デヴィッド・ドブキン「ジャッジ裁かれる判事」
老判事役をロバート・デュヴァルが熱演。次男の売れっ子弁護士役のロバート・ダウニーは厭な顔をしているが、見ているうちに許せるようになっていく。湖上のラストが涙を誘う。

5)デヴィッド・フランケル監督の「31年目の夫婦げんか」
倦怠期というか絶縁状態というか男と女の関係を「卒業」した夫婦の絶望と悲哀を鋭く抉って強引に「第2の青春」期に突入させるという、もういいか悪いか分からん映画ずら。
要するに、いくら年を取っても性交できるのが夫婦和合の秘訣である。てか。

6)アンリ・ヴェルヌイユ監督の「地下室のメロディ」
以前にみたときはカラー映画と思ってゐたが、1963年製作のモノクロだったとは!御大ジャンギャバンが出ているので、ドロンの演技が控えめであるのは好ましい。シムノンの原作ではあるが、プールの中のバッグの口が開いてしまうのは非現実的ずら。

7)ハル・アシュビー監督の「さらば冬のかもめ」
微罪の兵隊(ランディ・クエイド)を8年間の営倉に送り込むために、ノーフォークからポートランドまで護送する2人の兵(ジャック・ニコルソンとオーティス・ヤング)の寒くて心震えるアナーキーなやさぐれ物語。これぞアメリカン・ニューシネマの快作。70年代のアメリカでは南無妙法蓮華経を唱える日蓮正宗の教徒たちがいたんだなあ。

8)ヴィム・ヴェンダーズ監督の「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」
音楽人世ドキュメンツ映画の秀作なり。ライ・クーダーが再発見し、プロデュースしたキューバの老ミュジシャンたちの音楽も素晴らしいが、彼らの来し方、そして再結集してからの感慨、とりわけ一期一会のカーネギーホール公演は感動的である。

9)武正晴監督の「イン・ザ・ヒーロー」
下落合ヒーローアクションクラブのスタントマン役の唐沢寿明の一世一代のアクションシーンは圧巻ずら。

10)マイケル・ホフマン監督の「モネ・ゲーム」
画廊のしがない職人が、モネの贋作で大儲けするまでの苦労話コメディ。アラン・リックマン、コリン・ファース、キャメロン・ディアスが楽しく共演。1時間半に満たない上映時間も素晴らしい。

    金魚の餌を金魚に与えしが2匹の金魚死んでしまう 蝶人
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