あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

こうの史代著「この世界の片隅で下」を読んで

2018-08-27 13:25:51 | Weblog



照る日曇る日 第1126回



昭和20年6月の呉大空襲でヒロインは姪と自分の右手を失う。

第35回20年7月冒頭の「昨日ない事を思い知った右手」という詩のようなものは読者の胸を打つが、私はこのような悲劇的エピソードを盛り込まなくても、この漫画世界はすでに十分に成立していると思う。

呉広島のみならず、当時全国津津浦浦で歯を食いしばって生きていた民草の日々の哀歓を淡々と描きつくすことこそ、「この世界の片隅で」のドラマツルギーの、あるべき本領だったのである。

  七人の死刑執行の前夜なり黙して祈れ「法の番人」 蝶人
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