照る日曇る日第1539回
2019年12月4日、アフガニスタンで凶弾に斃れて帰らぬ人になった中村哲医師を悼み、顕彰する1冊である。
中身は、中村氏の業績を後世に伝えるために現地で刊行された2冊の絵本の日本語版で、前半は作ザビ・マハディ、絵ゴラム・レザ・ハビビのより「カカ・ムラド―ナマクラのおじさん」、後半は作アズラット・ワハリーズ、絵ルスタム・ラマザンによる「「カカ・ムラドと魔法の小箱」で、その中間に西日本新聞社の中原興平氏による感動的な解説が挟まれている。
絵本としての出来栄えは前者が優れているが、本邦が生んだ偉大な医師、建設家の存在をこのような形で引き継ぐ書物が誕生したことは喜ばしく、アフガニスタンと日本だけではなく世界中の心ある人々に読み継がれ、「第2、第3のカカ・ムラド」の誕生につながっていってほしいものである。
蛇苺その蛇の語が気になりて美味と聞きつつまだ口にせず 蝶人