蝶人狂言綺語&バガテル―そんな私のここだけの話第366回
自閉症協会機関誌「いとしご」186号の巻頭言「最近の自閉症を巡る動向」を書いている市川宏伸会長によれば、またしても自閉症を含む発達障害にかんする診断基準が変わり、それに応じて本邦の関係先も呼称を変更するそうだ。
これは新型コロナで話題になったWHǑ(世界保健機構)が作成した分類の略称(ICD-11)
に基づくものであるが、これまでの「発達障害」という呼び方を止めるという。
すなわち発達障害は「神経発達症」と総称され、その傘下に「知的発達症」、「発達性発話または言語症群」、「自閉スペクトラム症」、「発達性学習症」、「発達性協調運動症」、「注意欠如多動症」が属するということになるそうだ。
よく映画やドラマなので「早く要点を言え」とヒーローが怒鳴るシーンが出てくるが、この場合の要点とは、せんじ詰めれば従来の「障害」という言葉に変えて「症」を使うようになる、ということで、別に各症候群の本質が解明されたり、根本的な治療法が発明されたりしたわけでは全くない。
自閉症を含む発達障害に関する言説は、毎年のようにWHǑや欧米の研究機関からまるで黒船到来のようにもたらされ、その都度本邦では、自前の独創的な研究成果を世界に発表したこともない自称研究者どもが、翻訳したり解説書や啓蒙書を出したり、大騒ぎするのである。
1世紀近くに亘って「自閉症業界!」にかかわってきた障碍児を持つ親としては、「この糞垂れ、ええ加減にしくされ!」と怒鳴りたくもなる。
「発達障害」を「神経発達症」に変えるなら「自閉症」を「カナー氏症候群」にせよ 蝶人