あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

主婦の友社版「誰もが泣いて喜ぶ愛と感動の冠婚祖祭その他諸々挨拶&スピーチ実例集No.42」

2021-02-16 11:41:25 | Weblog

蝶人狂言綺語&バガテル―そんな私のここだけの話第367回

○社内旅行の宴会/役員のあいさつ
本日はみなさん一日お疲れさまでした。*1

きょう僕は、敬愛する川端康成先生の「伊豆の踊子」ゆかりの地、天城を訪れることができてほんとにうれしかった。特に冷たい雫がぽたぽた落ちていた天城トンネルに感動しました。だけど残念だったのは「伊豆の踊子像」がぜんぜん山口百恵に似ていなかったことです。
さっき幹事の吉永君が唐人お吉について語っていたけど、私は学校時代に習った年号、1453年を突然思い出しました。安政元年にペリー提督と幕府が日米和親条約を締結して、伊豆の下田港が開港し、その2年後にアメリカ領事官としてやってきたタウンゼント・ハリスがお吉さんと知り合うんですね。*2

そしてこの悲劇は、のちにイタリアの作曲家プッチーニのオペラ『蝶々夫人』の原作に使われ、下田が長崎に、ハリスが海軍士官ピンカートンに、お吉がマダム・バタフライに変身したのではないか、と私は勝手に想像しておる次第です。*3
それでは、その唐人お吉を偲んで、ただいまからアリア「ある晴れた日に」をテノールですが歌わせて頂きます。

○アドバイス
*1同じ伊豆旅行における役員のあいさつである。社内行事であるとはいえ堅苦しい内容はさけ、リラックスしたトークを披露している。もうかつての人気歌手山口百恵を知らない若手社員もいるかも知れない。
*2この説は、話者の勝手な思い込みである。
*3宴会の冒頭のあいさつなので、自ら余興の口火を切ろうとするところにこの役員の心意気が感じ取れよう。

 藤沢から歩き続けたわが息子高座澁谷で見つけられたり 蝶人
コメント
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