蝶人狂言綺語&バガテル―そんな私のここだけの話第365回
○ 仕事始め/社長のあいさつ
皆さん、あけましておめでとうございます。新年早々諸君の元気な顔を見ることができて非常に嬉しく思います。*1
さて、昨年来、わが国の構造改革がいっこうに進展しないなか、米国の景気が急速に悪化しております。口の悪いマスコミ連中には、このままでは日米両国ゼロ成長に転落し、世界同時不況がはじまるのではないか、などとはやし立てる向きも一部であるようです。
確かに、米国の企業設備投資が減退し、IT関連の株式が急落し、ダウジョーンズ平均株価が瞬間的に1万ドルの水準を割ったのは事実です。*2
製造業、小売業の昨年対比指数がいくぶん後退しておりますが、GDPの6割を占める個人消費は減税効果によってまだ堅調ですので、米国景気は遅くとも1,2年後には回復基調に向かうでしょう。
またこの時点ではわが国の不良債権処理と構造改革が進み、デフレ減速経済も現状よりは数段の改善を遂げるものと予想されます。*3
さて、そのような経済情勢の進展を見据える中で、国内携帯電話メーカーの有力な一員としてわが社はどのような企業戦略をとるべきでしょうか。
皆さん、本年度のわが社の最優先課題は、世界的な供給過剰に陥った第2次携帯戦線の泥沼を一刻も早く離脱し、第3次携帯電話という新市場でのシェアを獲得することであります。データや映像の高速・大容量通信を可能にする次世代携帯電話市場は、ノキア、モトローラ、エリクソン、シーメンス、BT、アルテカルなどの欧米チームとの競争になります。*4
わが社はあくまでドコモの新通信規格W-CDMAに準拠して、世界に冠たる日本の情報科学技術を徹底的に磨き抜き、まずはわが国におけるトップシェア獲得をめざします。そして2年目には中国を主体とした東南アジア市場に進出し、3年目に米国、英国、北欧諸国に殴り込みをかけ、5年目に携帯国際マーケットのシェア上位ベスト5入り達成をめざしたいと考えております。*5
世間ではもはやITブームは終わった、などと安易に総括する不届き者が多いようです。しかし、次世代携帯ひとつとっても、もはやITを抜きにした製品開発と企業経営はありえません。21世紀のキーワードとしてのITは不滅です。皆さん、今年も元気に頑張っていきましょう。
○ アドバイス
* 1低迷と混乱のIT業界にあって、数万の社員を率いるリーダーの年頭のあいさつは、企業ポジショニングの現況を分かりやすく社員に示すことから始めなければならない。
* 2的確な現状分析を踏まえて、企業の前途を展望する。
* 3鋭い問題提起と、トップならではの単純明快な行動方針の宣言。このとき、すべての部下はトップの指導力をきびしくチェックしているのである。
* 4今期の経営方針を受けて、具体的に企業のアクションプランに触れていく。この肉付けが重要である。
* 5 ITが駄目なのではなく、時代にフィットできないITが駄目だという常識を、改めてIT企業の全社員にかんで含めている。
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