照る日曇る日第1754回
ニコライ・ゴーゴリは現在のウクライナに1809年生まれ、1852年に42歳で死んだロシアの優れた作家である。
本巻に収録されたのは3つの作品であるが、まず有名なお芝居の「検察官」は、さながらロシア歌舞伎。最後の「だんまりの場」をいつか舞台でみてみたいな。
次なる「鼻」は理髪師イワンによって切り落とされた8等官コわリョーフの鼻が、紆余曲折を経て元通りにくっつくまでの顛末を記した1篇の笑話で、カフカや芥川龍之介を思い出さずにはいられない。
そして師匠プーシキンの示唆によって書かれた未完の長篇「死せる魂」も、ヤマ師チーチコフが地主から死んだ農奴の所有権をを安く買いたたいて大儲けをしようとする奇妙なホラ話で、やはり全篇に漂うシュールな味わいが、近代的というより現代の小説世界を思わせる。
またしても銀座が上海と化してしまうのか中国の観光客が来て 蝶人