あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

「夢は第2の人世である」あるいは「夢は五臓六腑の疲れである」第114回 

2022-10-08 08:50:42 | Weblog

 

西暦2022年卯月蝶人酔生夢死幾百夜

 

2022年4月

巨大なシンクタンクでは、独創的なクリエーターが自由奔放なアイデアをあたりに撒き散らしていたが、それらをちゃんとビジネスに結びつける仕事は、おらっちにしかできなかったのよ。4/1

 

「社長繁盛記」の撮影現場に行ったら、予期に反して、役者も、監督も、端倪すべからざる人物ばかりだったので、驚いたずら。4/2

 

さる有力人物の葬儀に赴いたら、いきなり親族席に案内され、司会者がお城の二の丸とかレナウンの女子寮がとか、気になる挨拶をしているので、「これはどなたの葬式ですか?」と訊ねたら、変な顔をされた。4/3

 

ヨコタカで3枚の黒のジーンズを買うたのだが、社員寮には白のジーンズしか残っていないので、もしかするとヨコタカでは、黒を2枚、白を1枚買うておったのかもしれないずら。4/4

 

美学校の隣にある詩学校を窓から覗いてみたら、おらっちの幼年時代の詩「てらこの下駄」を生真面目に朗読していたので、「おいおい、そんな下らない詩を取り上げたら、頭がおかしくなるぞ」と、警告したのよ。4/5

 

戦場を激しく飛び交う広報部長のヘリに、必死で追いつこうとする広報次長ノエリだったが、地上の兵士が発射した、最新型のミサイルで、両機ともあっさり撃墜されてしまった。4/6

 

おらっちが社員寮でパンツを紛失したことが、寮長の掲示で全員に知れ渡ったのだが、パンツには、大いなる沁みが付着しているので、おらっちは、そいつが永久に出てこないことを必死で祈った。4/7

 

社の編集局長の平出が、「シニア向け新文化雑誌の編集長に、ベテランの山田を起用するつもりだが、どうだね?」とおらっちに訊ねたので、「あんな男に何か出来る。他にも人材がいるでしょう」と返答したのだが、案に相違して山田がベストセラーを連発したので、おらっち恥ずかしくなって退社したずら。4/8

 

身ひとつで悪人どもの巣窟に飛び込んで、海千山千の彼奴等の間を巧みに泳ぎ回る彼を見ていると、おらっちもぐあんばらなくッちゃ、という気持ちになっていくのだった。4/9

 

久し振りに、郷里の実家に帰って寛いでいると、離れで、きょうだい2人が、ひそひそ話をしているので、耳を澄ませて聞いていると、どうやら、おらっちの噂話をしているようだ。4/10

 

電通のヨシタケさん似のリーダーが、世間には、「モノを売るビジネス」と、「コトを売るビジネス」に加えて「シアワセを売るという第3のビジネス」があるのです。と言うたので、思わずおらっちは、「おいらは街のシアワセ売りよ」てふ唄を歌ったのよ。4/11

 

おらっちはずっと家にいて仕事をしていたのだが、いつの間にかケータイが無くなっているので、家じゅう捜索したのだが、やっぱり出てこないので、「きっとあいつは、我が家が嫌になって家出をしたんだろう」と、思ったのだった。4/12

 

「全日本富士山登山会」が、今年も全国から登山者を募集したのだが、コロナの大流行が仇となって、結局企画自体がポシャッてしまった、と、これはサイトウ会長のお話でした。4/13

 

当地でも内戦が勃発し、13番線が大混雑なので、急遽14番線からの発着に切り替えることになったので、我々駅員はその準備に大童だった。4/14

 

おらっちは、ミラノ行きのヒコーキのドアが閉まるのを、片足を入れて引きとめていた。というのも、これに乗り遅れると、今日中にベルギーに入れなくなるからだった。4/15

 

いよいよ戦争も酣になって来たせいか、タワマン毎に、外装を、自分たちが応援する国の国旗の色に塗り替えて、おのおの政治的なメッセージを発信するようになったみたい。4/16

 

聖徳太子が7人と話をしていたので、傍で聞いていたが、7人と一度に話をするのではなく、1人ずつの話を、極超高速ミサイルのような猛烈な勢いで片づけていくのだった。4/17

 

北方領土出身アーチストの彼女の今回の個展のテーマは「色丹島」で、真夏の草原に咲く橙色の、名も知れぬ花々の絵の、105通りのヴァリエーションが展示されていた。4/18

 

全米1のスケールを誇るニッポン村には、もはや本国では見られなくなった古式豊かな神社仏閣や木造住宅が、整然と立ち並んでいるので、世界中、とりわけ日本からの観光客が、群れをなして押しかけるのだった。4/19

 

NY帰りのチンケなねえちゃんが、こましゃくれた発言をするので、ぶっとばしてやったずら。4/20

 

余は、一介の観光客として訪れたその町で、日一日と、単なる路傍の生活者、へと変身していった。これすなわち、乞食になったのであーる。4/21

 

元のキャンパスがあった交差点に、30年ぶりに同級生が自転車に乗って集まり、再会をともに喜びあったのだが、なんと10人のうち2組の4人が、カップルになっていたので、いささか驚いたずら。4/22

 

ある学生が企画した「売春買春ツアー」がヒットしているようだ。これはやりたい人、やられたい人、そのどちらでもない人、の3つのグループに属しつつ、いいろいろ楽しんだり、楽しまなかったりする、2泊3日のパックらしい。4/23

 

見わたす限り地平線の彼方まで広がる草原に、たった一人煙草を吸うているオッサンがおるので、その顔をよーく眺めたら、なんと、カモカのおっちゃんだった。4/24

 

いよいよ町に敵の武装赤色電車が乗り込んできたのだが、たった2両編成で、誰も乗っていないので、どうしたらよいか、みんな戸惑っている。4/25

 

六本木の日本フォノグラムで開かれているバザール会場に入ると、ジェームズ・レヴァインのミュンヘン、ボストン時代の録音も含めた膨大な全演奏記録のCDとDVD全集が2万円で販売されていたのだが、1万円しか持ち合せが無く、泣く泣く諦めた。4/26

 

始発駅から1万5千円を使って特等席に乗ると、隣の座席に、見事な栗が鈴なりの栗の木の枝が置いてあったので、その実を食べながら、おらっちは家に帰ったのよ。4/27

 

まだ<キャシャレル>というブランドは存続しているんだが、「これまでに企画製造した製品は、ぜんぶ販売し終っているのだ」と、イデっちが言うんだが、それってホントだろうか?4/28

 

案の定、辞世の句を詠むことになってしまったが、余りにも急すぎるので「どの道も ローマヘ通じる この道を行く」しか頭に浮かばない。季語がないのが気になって仕方が無いが、どうやら時間切れのようだ。4/29

 

1の兵が最強の兵かと思っていたら、案に相違して鎧袖一触で敵に惨敗してしまった。2の兵、3の兵と次々に敗れ去ってしまったのだが、最後に登場した10の兵が意外にしぶとく、大逆転で敵の侵攻を止めて押し返した。4/30

 

雨が降ると、おらっちは、いつも大学病院の精神科の地下壕に、自転車を隠しておくように、なっていたのよ。4/30

 

 「ニッポンが一番」かどうかは分からない他国で生まれたことがないので 蝶人

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