あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

しりあがり寿著「弥次喜多inDEEP8」を読んで

2018-08-16 11:07:38 | Weblog


照る日曇る日 第1119回

伊勢に到着したはずの弥次喜多がその寸前でダ・カーポしている間に、僭主カルヴァンは世界制覇の野望を懐き、次々に主要敵を提示しながら、愚かな大衆の内部矛盾を外部転化しようとしている。汝の敵を殺せ!と命じられた愚民どもは、とうとう弥次サン喜多サンを暗殺しようと押し寄せるが、その時世界の底が抜けて実在と非在、リアルとフィクションが融合し、この稀代のパンク・ロマンは唐突に幕を閉じるのである。

   隣町の神輿を担ぐと若衆が法被姿でバスに乗り込む 蝶人

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しりあがり寿著「弥次喜多inDEEP7」を読んで

2018-08-15 11:10:41 | Weblog


照る日曇る日 第1118回


ようやく伊勢に到着した弥次サン喜多サンだが、どういう風の吹きまわしか混迷を深める時代にあって善悪の決定神として英雄の如く待望されている。

ところがその弥次喜多をカタルるお鳥さまが、唯一無二のリアルのもとで統一されれば世界には絶対平和がやってくると称してさながらジュネーブの独裁者、カルヴァンのごとき専制を敷くのです。

さて本物の弥次サン喜多サンはどうするのか?

    「滅びるね」また漱石が言う敗戦忌 蝶人

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自由律詩歌 その34

2018-08-14 11:08:16 | Weblog


ある晴れた日に 第520回

たあたあたあ
たいたいたい
たうたうたう
たえたえたえ
たおたおたお
たかたかたか
たきたきたき
たくたくたく
たけたけたけ
たこたこたこ
たさたさたさ
たしたしたし
たすたすたす
たせたせたせ
たそたそたそ
たたたたたた
たちたちたち
たつたつたつ
たてたてたて
たとたとたと
たなたなたな
たにたにたに
なぬなぬなぬ
なねなねなね
なのなのなの
なはなはなは
なひなひなひ
なふなふなふ
なへなへなへ

    斑猫の案内で往く峠道 蝶人
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真夏の夜の洋画10本立てずらずらずら

2018-08-13 11:06:52 | Weblog


闇にまぎれて tyojin cine-archives vol.1377~1386



1)「猿の惑星」
はじめてこれを見た時、ラストシーンに驚倒したものだが、半世紀ぶりに再見すると別にどうということもなかったのはなぜだろう。しかし人間も今の世に阿呆なことばかりしていると遠からず猿やゴキブリにしてやられるに違いないて。

2)フレッド・スケピシ監督の「愛しのロクサーヌ」
ステイーヴ・マーティンのベルジュラックは消防署長で、才女のロクサーヌを阿呆可愛いだけのダリル・ハンナとはミスキャストずら。原作とはまったく違う結末に驚く。

3)マシュー・ロビンス監督の「ニューヨーク東8番街の奇跡」
地上げ屋の暴挙に苦しむ住民たちを優しいUFOが救ってくれるという奇跡譚だが、どうもなあ。ヒューム・クローニン&ジェシカ・タンディ夫婦が出ているずら。

4)ドン・シーゲル監督の「アルカトラズからの脱出」
サンフランシスコの近くにあったアルカトラズ島の収容所をクリント・イーストウッドが見事に脱出するお話。実話にもとづいているそうだが、監督の演出がうまい。

5)ガス・ヴァン・サント監督の「誘う女」
有名病にとりつかれた色女の犠牲になった阿呆莫迦若者の末路を、悲劇といううより喜劇として描く監督の視線はクールだ。しかし純情な若者を色情で悩殺して、地獄の底まで突き落とすファム・ファタール役のキッドマンの演技は見事なり。あんな風にされたら亭主なんか殺しちゃうわな。

6)サム・ライミ監督の「シンプル・プラン」
突然現れた大金が、平凡な一家の平凡な人々の暮らしと人生をどんどんゆがめ、とうとう最悪の事態を迎えてしまう。ありそでなさそで、いかにもありそうな黄色いサクランボサスペンス映画ずら。ブリジット・フォンダってあまり美人じゃないな。

7)「くまのアーネストおじさんとセレステーヌ」
水彩画のような淡い色彩がとても美しい。これって巴里のエスプリだね。ジブリからは絶対に生まれないアニメーションの世界です。

8)J・J・エイブラムス監督の「スター・トレック・イントゥ・ダークネス」
最後に死んだはずのお富さんが蘇るという奇跡のおたのしみ。思ったより面白かったね。敵役のカンバーバッチはいい顔をしているな。

9)ジョン・ヒューストン監督の「王になろうとした男」
ショーン・コネリーとマイケル・ケインが共演していながら、あんまり劇的興奮が立ち上がらない。いかにもおもしろそうな原作を映画にしても、必ずしも面白い映画がでくるとは限らない。

10)アルフレッド・ヒッチコックの「ファミリー・プロット」
1976年にアメリカで製作されたヒッチの最後の映画。さすがに往年の切れ味は影をひそめたが、なんか昔に帰ったようなサスペンス映画で悠揚迫らぬそのカットの刻み方が素晴らしい。

何度聞くセリフだろうか「殺したい。むしゃくしゃしていた。誰でもよかった」 蝶人

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しりあがり寿著「弥次喜多inDEEP6」を読んで

2018-08-12 11:04:45 | Weblog


照る日曇る日 第1117回


巨大な鳥巨人に変身したヤジキタはお互いの肉を喰らい合い、そのことがお互いの愛を確かめ合うことになるという肉弾相撃つ凄まじい争闘を経ることによって、ようやっと合体し、オソレの湖に沈んでいくのですが、春の訪れとともに2人の弥次喜多として再生するのであります。


  「2度目のアルゼンチン」だって誰が見るのかNHK衛星放送 蝶人

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神戸金史著「障害を持つ息子へ」を読んで

2018-08-11 08:01:09 | Weblog


照る日曇る日 第1116回


相模原市やまゆり園の障害者殺人事件に対して、

 息子よ。
 そのままで、いい。
 それで、うちの子。
 それが、うちの子。
 あなたが生まれてきてくれてよかった。
 私はそう思っている。

という詩文を書いて話題になった、自閉症の息子を持つ父親があらわした書物です。

この方はマスコミに職を奉じる方で、「自閉症は自閉的とは違う。それは病気ではなく脳の器質障害である」などと、かねてから自分の息子の障害を踏まえた的確な情報発信をされていたようです。

いろいろ貴重な発言をされていて、障害を持つ人にももたない人にも有益な書物ですが、著者の奥様が、自分の内部にもある「内なる優生思想」から眼をそらさず、次のように記されていることが心に残りました。

 「まだまだ金祐(息子さん)に障害があって良かったとまでは思えませんが、金祐  が私の元に生まれてきたことは本当に良かったと、今は思えるようになりました。
葛藤を繰り返しながらの子育てですが、私も親として少しは成長しているようです。「子育て親育ち」でしょうか」

 「障害があっても金祐は幸せそうに暮らしています。母である私は、金祐が生まれてきたことに意味があるのか、社会の役に立つ人間なのかと自問自答することはなくなりました。私自身、同じことを問われれば答えに詰まることに気付いたからです。何を思い上がっていたのだろうと」

同じ障害を持つ息子を持つ親として、神戸さんご一家の皆さんに衷心からのエールを送りたい。


      ガリガリ君を毎日1箱カリガリ博士 蝶人
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しりあがり寿著「弥次喜多inDEEP5」を読んで

2018-08-10 09:19:36 | Weblog


照る日曇る日 第1115回


凍った「オソレの湖」で、可愛い女の子にからみつかれて死にゆこうとするキタさん。あぶくが途切れると、一巻の終わりなのだが、そおゆう最期も、気持ちいいかもしれないなあ。

しかし、これにて一巻の終わりにしてしまうと、続編の第6巻がでないので、作者はゴヤの「巨人」をモデルにした巨人を登場させるが、これは諫山創の「進撃の巨人」よりも8年早いのである。

   進撃の巨人がNYに突入し広島長崎に復讐する夢 蝶人
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「大江健三郎全小説3」を読んで

2018-08-09 12:20:23 | Weblog


照る日曇る日 第1114回



著者が26歳から29歳であった、1961年から64年にかけて発表された、14の短中編が掲載されていますが、なんというても、61年2月に「文学界」に掲載されて以来、57年ぶりに初めて書籍化された「セヴンティーン」第2部の「政治少年死す」が、本書のハイライトでありませう。

「セヴンティーン」は、当時街頭で孤軍奮闘していた赤尾敏の日本愛国党などを巧みに取り込みつつ、次第に過激な右翼へと転化していく少年の揺れ動く胸中に入り込んで、よくその性理と孤独な精神の変転を活写しているなあ、と感心しましたが、続編の「政治少年死す」には大きな疑問符がつきます。

前作における自由な空想と柔軟な筆致がかなり剛直化し、まるで浅沼稲次郎を暗殺した山口二矢の軌跡を後付けしているような印象が強く、失望しました。

とりわけ主人公が浅沼と思われる政治家を襲撃する個所を、「著者の想像の中の言葉」で直接書かず、報道映像の解説の文章として間接的に表現しているのは、納得がゆきません。

「政治少年死す」は浅沼暗殺事件のドキュメンタリーではなく、著者が山口のような右翼少年になり変って綴るべき純乎たる小説であるはずなのに、部分的に事実のなぞりが不用意に登場するのは、出版社の右翼への敗北ではなく、文学の政治への敗北といわれても仕方がないと思うのです。

なお本巻には、このほか「叫び声」「性的人間」などの力作もみっしり頁を埋めていますが、後年の数々の長編群を既に知った目で眺めると、いささか見劣りするのはやむを得ないでせうね。


    台風がどんどん近付く夏の日よ57年待ちし小説を読む 蝶人
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すべての言葉は通り過ぎてゆく 第59回

2018-08-08 11:46:14 | Weblog


蝶人狂言綺語輯&バガテル―そんな私のここだけの話op.296



ああ、あれですか、モーツアルトのピアノソナタ12番、K332、中でも好きなのは2つのテーマが交錯する第一楽章、2つ目のテーマが回帰してくる度に胸が熱くなり、目が潤んでくるのです。高橋源一郎「日本文学盛衰史」7/1
https://www.youtube.com/watch?v=dPaLcBD79L4

今朝ニイニイゼミの初鳴きを聴く。7月だから当然だろうが、なんだか去年のニイニイが鳴いているような気がするのはなぜだろう。7/2

宴が終わった。そしてまた憂鬱な日々がはじまる。7/3

1)頭文字Kを持ち、2)漱石を「先生」と慕い、3)けれども漱石に手ひどく裏切られ、4)坊主の息子として生まれ、5)幼い頃養子になり、姓が急に変わって友人を驚かしたことがあったその男、いうまでもない、それは石川啄木(工藤一)なのである。高橋源一郎「日本文学盛衰史」7/4

世界中のいたるところで、独裁者あるいはそれに近い強権的な指導者が、大多数の民草の自由と平等とさいわいを無視して、夜郎自大な政治を縦にしているようだ。7/5

死刑囚を次々に屠る国家の冷血。別にオウムに限った話ではないが、いかなる凶悪な殺人犯も、国家は殺害してはならない。どのような理由があろうとも、国家権力に国民を殺す権限はない。7/6

W杯、文科省東京医科大問題、タイ洞窟少年救助、オウム死刑囚大量執行、「数十年に一度」の西日本大雨、千葉女児殺害、大口病院看護師逮捕などなど、連日噴出する大事件のなかで高笑いする安倍蚤糞とゴーマニスト麻生。7/7

W杯で2点も取って決勝で負けたチームは他にないようだ。「なぜベルギーに3点!も与えてしまったのか」という真剣な見直しと反省を「ニッポンチャチャヤよくやった」の三三七拍子で有耶無耶にしてしまうなら、太平洋戦争の無総括と同じ轍を踏むことになるだろう。7/8

100万語を費やした波乱万丈の一大大河小説よりも、たった1行の詩に感銘を受けることがある。大交響曲のコーダよりも不如帰の一鳴きに耳を奪われるように。7/9

自分のお友達が困った時には万難を排してすぐに駆けつけ、法を破ってでも手厚い支援を惜しまないが、名もない赤の他人が災害で酷い目に遭っているときには、知らん顔して赤坂の料亭でどんちゃん騒ぎして、わが世の春を謳歌している安倍蚤糞。7/10

西日本の大雨災害無視の大宴会で、安倍蚤糞一派の「赤坂自民亭」が非難されているが、特に許しがたいのが法務大臣の上川陽子。この人が死刑に執行に署名した7人のオウム死刑囚が、まさに人世最後の夜を迎えていたその時に、飲めや歌えの大騒ぎをするなんて人間の所業ではない。7/11

森友加計では安倍蚤糞夫妻忖度建設が強行され、首相答弁に合わせて官僚が公文書を改竄し、数十年に一度の大雨災害対策よりも、反労働者的労働法案やトランプを喜ばせるためのカジノ法案を優先させても、内閣支持率が上昇するってどういうことだ。7/12

暑くて死にそうな日は、シベリウスの管弦楽曲をパーヴォ・ベルグンドなどの棒で聴くとなんとか凌げるから、たいしたもんだ。それにつけても、シベリウスが死ぬまで居室に置いていた全地球放送局聴取型のオールウエーヴラジオが欲しいなあ。7/13

植木屋のおやじは、お売りしたのは天青の種ですと教弁するのだが、葉から出てきたのは何の変哲もない白い朝顔。おいおい、安倍蚤糞の真似をして垂れ流すように嘘を吐いちゃあいけねえぜ。7/14

戦争責任について聞かれた昭和天皇は、「そういう言葉のアヤ については、文学的方面は研究していないので、わかりませんからお答えできかねます」 と韜晦して遁走したが、「政治的方面についてはまったく研究していないので答えられない」文学関係者は今でもワンサカいるようだ。7/15

夏はエアコンなんかあまり使わないが、やっぱりつけたほうがいいのだろうか。7月なのに、なんだかお盆のような気がするずら。7/16

目にもとまらぬ速さで雌を追いかけるベニシジミの雄。彼らは生存している僅か数日の間に、異性を見つけて生殖し、雌は、数少ない食草を見つけて、産卵しなければならない。そして稀少種になればなるほど、この2つの壁を越えることが難しくなるのだ。7/17

「プーチンは人殺しだ。多くの政敵を部下に命じて暗殺させている。違法な化学兵器も冷酷に使わせる。軍部に命じてウクライナ上空でマレーシア航空17便をミサイルで撃墜させ、300人の乗客の命を奪った。プーチンはイカサマ師であり嘘つきだ。シリアやウクライナに関するものも含めて、アメリカと結んだ協定を片っ端から破っている。彼は自国民の財産を横領して巨万の富を築いている。」 ベン・サッセ米上院議員・古川恵象訳

むかし石原慎太郎という気狂い知事が、都民の反対を無視して勝手に誘致した五輪だが、運動すれば生命の危険があるこんな酷暑よりも、さらに過酷な季節に、死人を出してまで強行する必要はない。今からでも遅くないから即刻辞退して、莫迦げた出費を災害対策に振る向けるべし。7/19

働き方改悪、参院定数6増、そしてカジノ法案強行採決と、安倍蚤糞はやり放題。こういう民意に反する無法政党は、まとめて国会から追放すべきではないのか。7/20

ボブ・ディランの詩の朗読、しかも見事な歌唱付きのパフォーマンスを聞かされた後で、なおかつ自作の詩の朗読をやろうとする人の無謀と蛮勇はすごいなあ、といつも思うのである。7/21

檀ふみと池辺晋一郎という、そんなに悪くはないコンビで放送している「N響ザ・レジェンド」というNHK-FMのクラシック番組がある。マタチッチのブルックナーなどは題名にふさわしいと思うが、昨夜のコシュラーのどこがレジェンド? もう在庫の底が尽きてきたのかな。7/22

トランプと安倍蚤糞に関するいっさいの報道を暑中休暇したら、世界中の人がちょいとばかりお昼寝できて、束の間のやすらぎがもたらされるのだが。7/23

もし植松聖自身が重度の障害者であれば、「おのれの存在は無価値だから、国家も第三者もケアしてくれるな。俺は無価値な自分自身を自裁するのみならず、仲間の障害者もその道連れに皆殺しにする」と言うたであろうか。7/24

動物にせよ植物にせよ、生物は一定の比率で、うまれながらにして何らかの障害や欠陥を保持していることを、すべての動植物は、勘定に入れておかなければならない。特に人間などの霊長類においては、なおさら。7/25

オウムであろうがなかろうが、私は「国家には犯罪者を殺戮する権利はない」と考えているので、死刑制度への反対を表明せざるをえない。たとえ私を殺戮した犯人に対しても。7/26

アムネスティによれば、2017年末現在、死刑制度を維持しているのは198国・地域のうち56国・地域。OECD加盟35カ国では、日米韓の3カ国のみ。米国でも半数近い州が廃止・停止し、韓国は1997年を最後に執行していないそうだ。7/27

日テレとか読売新聞とか巨人「軍」とか、ナベツネによって統率されたこのグループは私にとっては、なくても一向に痛痒を感じない集団だが、唯一の例外は読売日本交響楽団で、この優れたオケの演奏を、同じ右翼メディアであるNHKで、N響の代わりに毎週放送してほしいものである。7/28

平成末期のこの国の支配者どもの腐敗、堕落、混乱を憂慮しつつ、自然界も警鐘を乱打しているようだ。水の次は、火だ。7/29

明治42年3月27日 土 快晴、11時に起きる。パンを食って、ただぶらぶらす。閑適。髭の白髪を抜く。細君の顔少しく美しく見ゆ。座敷に生けた丁字少しも香を放たず。夏目漱石日記4 7/30

明治42年4月6日 火 陰、朝、小宮の稽古。午から天然居士の写真を持って、菅の処へ行く。不在。帰りに狩野へ寄る。インフルエンザ也。部屋の中の洋書を見る。狩野を出て九段の御能に立ち寄る。八時頃辞して帰る。細君に俊寛を謡ってきかす。謡ってから難有うと云へと請求したら、あなたこそ難有うと仰やいと云った。夏目漱石日記4 7/31


 「キンスマ」の中居の後ろに座ってる女の股間に見えるパンツよ 蝶人

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「夢は第2の人生である」改め「夢は五臓の疲れである」 第63回

2018-08-07 11:31:31 | Weblog


西暦2018年如月蝶人酔生夢死幾百夜


台風が来襲したので、私は老女と娘が2人暮らしをしているナントカ家が、おおかぜで飛んでいかないように錨を打ちつけたが、烈風が猛威をふるってきたので、だんだん心配になってきた。2/1

私とケン君は、ここんところ広い竹林に棲んでいたのだが、ケン君は、だいぶ疲れているようなので、心配だ。2/2

かのヘルタースケーターは、中央図書館の百科事典コーナーで、いつものように飛んだり跳ねたりしていた。2/3

私はサンフランシスコ・セーヤー軍の、1軍と2軍を取材した。1軍は地下鉄を利用しているのだが、2軍の元有名選手たちは、昔懐かしい馬車に乗って球場入りをしているようだ。2/4

1枚目は失敗作だったが、2枚目はゴッホとムンクを掛け合わせたような、なんだか生きているような感じがする絵ができたので、我ながら驚いてしまった。2/5

私は、会社の営業車を改造して3階建てにして、超おしゃれな内装でシックにまとめた最上階のオーディオルームに寝そべって、ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」を聴いていた。2/6

その頃の私は、のちには殺してしまうことになる人たちと一緒に、楽しく映画に出演したりしていた。2/6

その日の私の制球は冴えに冴えて、敵をバッタバッタと三球三振に討ち取っていたが、肝心要の9回裏に4番の痛恨の逆転ホーマーを許してしまったのは、朝御飯の時に、つい「タラの白子」を喰うてしまったからに他ならない。2/7

どういう風の吹きまわしか、かねてから莫迦にしているマツザカ社長と、ぱったり出くわしたのだが、だんだん彼奴のペースに巻き込まれてしまい、自分が卑屈な態度を取り始めていることに気づいたが、かというて、どうすることもできない。2/8

デザイナー志望の私は、学校を出てから、きまぐれにいくつかのデザイン会社を受けたが、みな合格してしまった。面倒くさいので、一番はじめに合格通知がきた会社に入ったのだが、それがわが人世の躓きの石となった。2/9

「さあ、撃とうと思うなら撃ってみよ!」とお得意のセリフを絶叫した途端、私は舞台の上で、腹に1発銃弾を喰らった。護民官が、「芝居の中では、絶対に人殺しをしてはならぬ」と再三にわたって厳命していたにもかかわらず。2/10

疎開列車の中では、ときおり天井から降りてくる、葡萄や柑橘類などの果物を食べるのを楽しみにしていたのに、あっという間悪童たちに食べられてしまった。2/11

このヤクザの男は、目の前の織機が、由緒ある古代織を編み出す機械であることを、つとに見抜いているようだった。2/11

いと狭きノアの箱舟にて、情人を確保するは至難の業にて、性欲猛き若き男どもは、時に禽獣を捕まえては、腐りし精を放ちおりたり。2/12

偉いさんたちは、明日の船便を運行させるかどうかについて、曇り空を見ながら相談していたが、僕らはカニなので、小魚たちと楽しく遊び戯れていた。2/13

左の歯が痛い右の歯が痛い左の歯が痛い右の歯が痛い左の歯が痛い右の歯が痛い左の歯が痛い右の歯が痛い左の歯が痛い右の歯が痛い左の歯が痛い右の歯が痛い 2/14

オフィスのフロアが、草ぼうぼうになってしまったので、みんなで手分けして、大掃除をしているうちに、私はえもいわれぬ幸福感に包まれていった。2/15

彼女が、「あなたの古本も売ってあげましょうか?」と親切に言うてくれたのだが、私は断って、彼女の店の片隅で、戦前の無名作家の小説を読み続けていた。2/16

「押しくら饅頭押されて泣くな」という、子供たちの悲鳴のような歌声が終わったので、外に出て見ると、はらわたの裂けた饅頭が1個落ちていた。「お父さん、ボクだよ」という声が、そこから聞こえた。2/17

天才悪魔博士の弟子たる私は、博士が開発した難病退治のワクチンを、次々に飲まされる人間モルモットとして重用され、ひとつしかない命を危険にさらしていた。2/18

満月の夜にチチンプイプイと唱えて交わると、子供ができた。翌年の満月の夜にチチンプイプイを2回唱えて交わると、双子ができた。そのまた翌年の満月の夜にチチンプイプイを3回唱えて交わると、3つ子ができた。そのまた翌年の満月の夜に2/20

会社の若者たちと共同生活を始めたのだが、すぐに嫌になった。些細なことで行き違いがあり、ひとたび生じた亀裂は、もはや修復のしようもなかった。どっちが悪いのか分からないが。2/22

殺してもあきたらない彼奴の、まるで猪八戒のように醜い体に、切り出しナイフで3度切りつけたのだが、なぜか彼奴は、まだ倒れない。2/23

私が長い旅から戻ってくると、長年にわたって下宿していた長屋が、何者かの手によって壊され、火をかけられ黒焦げになっていた。2/24

私は政府の犬になってしまい、さらに落ちぶれて、殺し屋になってしまった。上機嫌で唄い踊っている連中を見つけると、いきなり背後からドスで刺し殺すのが仕事だ。2/25

お笑いの世界でちょっと有名になった私に、扶桑社のタジマという男から電話がかかってきて、「新書を出しませんか?」と誘われたので戸惑っていると、「なに、もう原稿は全部出来上がっているので、お金さえ頂戴すればすぐに出版できますよ」という。2/26

海外出張を終えて出社すると、企画室の私の席に見たこともない人物が座って電話をかけまくっているので、私は、「ははあん、これは常務のナベショーの嫌がらせだな」とすぐに分かった。2/26

私を見ると必ず、狂ったように歯をむき出して襲いかかって来る阿呆莫迦犬がいたので、私は、飼い主もろとも叩き殺してやったんだ。2/28


  われ死刑反対者ではあるけれど彼奴らを地獄に送ってやりたし 蝶人

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マージェリー・カイラー作・S・D・シンドラー絵黒宮純子訳「しゃっくりがいこつ」を読んで

2018-08-06 11:28:53 | Weblog


照る日曇る日 第1113回


しゃっくりがとまらなくなった骸骨を主人公にしたところが素晴らしい。

しゃっくりは朝起きてすぐに出ていて、がいこつはヒック、ヒック、ヒックと言いながら歯を磨き、落葉かきをし、オバケとキャッチボールをするのですが、しゃっくりはとまりません。

それでも仲良しのおばけが「逆立ちして水を飲め」とかいろいろアドバイスをしてくれたおかげでついに頑固なしゃっくりがとまるのですが、そのアイデアのひらめきがグッドでしたね。

「しゃっくりはやまのむこうにとんでにげていきました」というエンディングもおかしいずら。


もし我ら死せば施設の息子デザートお菓子喰えずなるべしいま喰え西瓜!死ぬほど喰え! 蝶人


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エリク・カール作・もりひさし訳「はらぺこあおむし」を読んで

2018-08-05 10:47:50 | Weblog


照る日曇る日 第1112回

あおむしが小さな卵から孵って毛虫になり猛烈な食欲を発揮して月曜日から土曜日までりんご、なし、すもも、いちご、チョコレートケーキ、アイスクリーム、ピクルス、チーズ、サラミ、キャンデイー、パイ、ソーセージ、ケーキ、すいかを食べ、日曜日にはみどりの葉っぱを食べて大きくなり、まもなく蛹になって、ある日奇麗な蝶になるまでを飛び出しポップアップで見せてくれる、楽しい絵本です。

しかし、子供でも大人でもちょっと考えてみれば分かるように、これはかなりアバウトなお話にすぎる童話です。主人公のあおむしとは何か? 結末が蝶になっているので蝶の幼虫なのでしょうが、ではどんな蝶なのか?

我が国で一般的に「あおむし」と呼ばれるのは、モンシロチョウなどシロチョウ科、あるいはナミアゲハなどアゲハチョウ科の緑色をした幼虫ですが、彼らはモンシロチョウならキャベツ、ナミアゲハならミカン、カラタチ、サンショウなどの葉っぱしか食べないのに、この絵本に出てくる「あおむし」は、いきなり果物やお菓子をじゃんじゃん食べる。

こういう擬人化された「あおむし」ではなく、実際の自然界に存在しているモンシロやアゲハの幼虫を主人公にしてもらいたかったなあ、と今でも昆虫少年のオジーサンは思ったことでした。

  「完全かつ最終的に」モリカケ問題を葬らんとする安倍蚤糞 蝶人
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「塚本邦雄全歌集第八巻」を読んで

2018-08-04 10:56:40 | Weblog


照る日曇る日 第1111回



これは短歌研究文庫から刊行され始めた、文庫本全歌集の最終巻で、「汨羅變」「誌魂玲瑯」そして彼の24番目の歌集にして最後の序数歌集となった「約翰傳偽書」などがぎっしりと収録されていて読み応えがある。いや、あり過ぎる。

 国歌など決して歌ふな『國の死』を見しこともなきこの青二才
 自衛隊員募集ポスター斜に裂け「みづからをまもる」てふ繪空事
 朝鮮朝顔、否々「北朝鮮民主主義人民共和國朝顔」の毒

著者は1989年頭に一日10首の制作を課し、8年後の96年には約三万首に達したというが、プロの歌人といえども、これは難行苦行に近い道行だったのではなかろうか。

 アポリネールの「カリグラム」烏丸車庫行の電車に置忘れたり
 アウシュヴィッツのヴィッツに噛みし二枚舌以後百餘日絶食續き
 いかに唇を閉ぢをらむ魚玄の冷凍庫内下積みの鱚

その三万首中、発表に値するのは十分の一内外と「月耀變」三百首に寄せるマニュフェストで書かれているが、実際にそれらの作品を読んでみると、飽くことなき詩魂の永久運動、あるいは最高級天才AIの自動表記!という印象は隠せないものの、まるで苦吟の跡など留めないのが脅威ですらある。

 「やすらひ」と「やすらぎ」の間曰く言ひ難し白曼珠沙華折れ伏し
 かの時に触れあひたるは刎頸の朋の胸骨剣状突起
 今生と根性と紺青の差のさもあらばあれ人焼けば灰

まあ結局この人はノルマを課そうが課すまいが、毎日毎日なにかを詠む、言葉を押し出し、それと戦いながら加工し続けざるを得なかったのだろう。

 力士四つに組んで折重なり喘ぎ喘ぎつづくる一人は童貞
 バッハ管絃組曲二番ロ短調死語にし聴かばふたたび死なむ
 「酩酊船」書きたる頃のランボーは海を知らざりけり十九歳

「誌魂玲瑯」の跋文には、「壮麗な独断と爽快な偏見を発条とせぬ立論や創作は空論に等しい」とか「想像力、即ち創造力を、一瞬に言語化=詩歌變に導け」という方法論が吐露され、さらには「マイナス10×マイナス10=プラス100、この百は正数10の10倍の百とは根本的に異なる」という信条が披瀝してあるが、いかにも言霊に魅入られ、言霊と戯れ、言霊と刺し違えたこの歌人らしいと思う。

 必ず滅ぶとは思ひつつ日本もみづからも水無月の緑金も
 究極は言葉に背きつづかて歌人たり 水無月の初霜
 ここ過ぎてまた修羅の市、白緑に濡れて夕暮せまるユーカリ


「残暑お見舞い申上げます」呟きながら道端で息絶えてゆく町内の爺婆 蝶人

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なにゆえに第54回~西暦2018年文月蝶人花鳥風月狂歌三昧

2018-08-03 11:02:17 | Weblog


ある晴れた日に第519回



なにゆえにアルファロメオが増えてきた安倍蚤糞の受益者が買うんだ

なにゆえに有名人の訃報が相次ぐ昨日は猛烈な暑さであった

なにゆえに突然豪雨が降りそそぐ異常気象が酷くなるから

なにゆえに突然豪雨が降りそそぐ最近地球は機嫌が悪い

なにゆえに「世界第2位」を謳ってる専門学校文化服装学園

なにゆえに耕君朝からイライラ電話台風のせいで嫌なお天気

なにゆえにタオルの洗濯を忘れてしまっただんだん酷くなるおらっちのド忘れ

なにゆえに松本智津夫を死に処する国家は誰も殺してはならぬ

なにゆえにオウムの7人殺しつつ上川陽子はドンチャン騒ぐ

なにゆえにビシバシ死刑を執行する殺される身にもならずに

なにゆえに死刑制度を維持している中国イランサウジイラクパキスタン日本

なにゆえに亡国法案が次々通るあんたが自公維を選んだからさ

なにゆえに皇族たちを敬称で呼ぶ元は我らと同じじゃないか

なにゆえに身も蓋もない歌を詠む身も蓋もないオラッチだから

なにゆえに警報裁判有罪率99.9%弁護士が証明せねば無罪にならない

なにゆえに嘉風負けて5連敗体調悪いかやっぱり年か

なにゆえに朝から35度の暑さが続く「みんな焼け死んぢまえ」と太陽光線

なにゆえにトランプは女王を無視してどんどん歩くお前は老人への思いやりがない

なにゆえにサイモン・ラトルのマーラーは詰まらないベルリン・フィル退団コンサートなのに

なにゆえに安倍はカジノにかじりつくトランプの選挙資金の出どころだから

なにゆえにZoffの眼鏡を買うてしもうた安売り広告がもの凄いので

なにゆえに命にかかわる暑さが続く安倍蚤糞への天の怒りか

なにゆえにまた「国境なき医師団」のDMが来るこないだ寄付をしたばかりなのに

なにゆえに最後は自公案まかり通る最低国民が選んだ最悪政党

なにゆえにそれでも町には人が溢れる喉元過ぎれば暑さ忘れる

なにゆえに生産性を賛美する無産階級の無産者こそが国の宝よ

なにゆえに岸田は総裁選から逃亡する金玉無くした腰抜け野郎

なにゆえに外国人が保険の適用を受ける保険金を払いもせずに

なにゆえに麻生は総務相にガンを飛ばす腐れ財務省のガンの親玉

なにゆえに台風12号は左折した右に行くのがやんなっちゃったあ

なにゆえに安倍蚤糞は倒れない議会の中では何も変わらぬ

なにゆえに組合から逃亡するストすら打てない労働犬ども


 なにゆえにベーシック・インカムてふ言葉に惹かれる意味も分からず短歌に使う 蝶人

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しりあがり寿著「弥次喜多inDEEP4」を読んで

2018-08-02 13:22:48 | Weblog


照る日曇る日 第1110回



カオスはますます渾沌を極め、「晩餐会」の「5」では、弥次さんは、危うく怪しい奴らに喰われそうになる。

そこで私は、はしなくも「泊羅變」のなかの一首を思い出したずら。

 ヴァンサンカンと晩餐館の駄洒落など嗤ひつつ二十五歳も過ぎつ 塚本邦雄

   凶悪な台湾リスを放置する八幡宮の慈愛は深し 蝶人
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